写真 二篇
soft_machine

  一


写真におさまる声はないのに
いつまでも聴こえてくる
花がひらく唄
雲がきえる叫び
沖にとどろく神なり
それから、あなたの唇のネガ

どれもいまは違うものになって
どこか違う場所にあって
或いは引き裂かれ
また愛し合ったりしているらしい
と、ファミレスで聞いた
メニューにそう書いてある


  ニ


集合写真のわたしたちは
いつか色あせていた
気づかないほどの速度で
しかし確かにめぐる月日が
距離を引き伸ばす
隠してつないだふたりの指も
いつの間にかほどかれ
シャッターが落ちる
いつまでも
耳にのこる一瞬

白墨のブラウン運動
時計の針にかみつく螺旋
焼却炉にしろい羽根がおちて
わたしたちは透きとおってゆく



自由詩 写真 二篇 Copyright soft_machine 2021-12-27 20:05:07
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