スプレーばら、ひまわり、とるこききょうとガーベラで大きな花束を作った。それにあわせて百合やアルストロメリアを足したアレンジメントも。体が半分かくれるくらい大きな花束。作ったら足元に水をあたえて、こ ....
ひさしぶりにかえってきた娘が
玄関を開けて
いえのにおいがする、といった
ずっとこの家にいるわたしには
そのにおいがわからない
いいにおいかどうか
よくないにおいかどうかも
わたしが息を ....
あさ、仕事に行くために駅に向かう途中、
目の隅で、何か動くものがあった。
歩く速さを落として目をやると、
結ばれていたはずの結び目が、
廃棄された専用ゴミ袋の結び目が
ほどけていくところ ....
いつかの夏の夜
蝉が鳴いてた
夜中なのに
わんわん鳴いてた
どうしても伝えなきゃいけないことが
蝉にもあって
でも私は蝉の ....
世間はみな混沌としていて、自分だけが一匹の名も無い虫のようにぽつねんと枯草の上に立ち尽くしているような、そんな朝である
川は雪代で水量は増し、次の季節を急かすように流れている
雪に抱かれて冬に体を ....
ときどき乖離する。それが何によって引き起こされるのかわからない。
このあいだはっと気が付いたときわたしが持っていたのは、膝のよこのかすり傷と、きらきら光る星形のシール、くまの形のグミ二袋、ド ....
あの子が「たまごそぼろだ」と言ったから
あの角の家にはおいしそうなたまごそぼろが咲く
神様に祈ってみたり、嘘をついてみたり
大して変化のない生活を強い風が撫でていく
更地になった場所に ....
まったく仕事のない家業の室内で、山に行かない日はひたすらネットフリックスを鑑賞し、厭になると動画サイトを見る、現代詩フォーラムを徘徊し気になる作品にポイントを付与。そのほか、時折自分のための料理を作 ....
ふわっと蒸しタオルで顔を包まれる安心感
顔を包むホイップクリーム
束の間の緩みから転落するように
カミソリが肌を滑るスリル
リラックスがこそげ落とされ
たらればが緊急に緊張を引き出し
背骨 ....
去年の秋のことだ。
老婆がひとり、道の上を這っていた。
身体の具合が悪くて、倒れでもしたのかと思って
ぼくは、仕事帰りの疲れた足を急がせて駆け寄った。
老婆は、自分の家の前に散らばった落ち葉を ....
はっきりと覚えていることがある。
むすめを連れてはじめて産院をでたとき、すこし肌寒かったこと。うちについたら宝籤が神妙な面持ちで尻尾をおろして出迎えたくれたこと。毎年見事に咲くモッコウバラが、もうほ ....
私はあなたに
泥のような愛を浴びせ続けている
いまも それでも
ものともせず 輝いて
あなたが 愛を
ものともせず
立ってもいない
泳いでもいない
ふらふらと揺蕩っている
....
恥ずかしくらい若かった
初秋の街角から立ち込める金木犀の香り
今でもその匂いを求めてさまようことがある
その、樹木のある家を見たこともなく
たぶん老人が住んでいたのであろうか
おそらく猫もい ....
ボーナス制度とは搾取ではないか。
封建制度の名残である。
賞与は褒美として渡される。
縛りつけるつもりなのだ。
(ボーナス入るまで、やめないでねって。)
給与だけなら12回の手 ....
自由詩のお墓参り(10年ぶりの)、
黄色い花を想像しながら。
そこに何を見ましたか?
水仙、菜花、ミモザたち。
爪にもピアスをした、
耳にも、めにも、内側にも。
だから自由詩にも穴をあ ....
メリットのCMの子供が歌ってる歌
いい曲だなーって探してみたら、
椎名林檎でした。
『時の流れと空の色に何も望みはしない様に』
ああこんな歌詞書 ....
陽だまり、虫たちの空港
夢はいつも
そこで見ている
日々をかたどる
ため息も呟きも
散り散りになって
空のあるべき場所へと
帰っていく、と
痛みだけか残る
整備士の足首の細さ ....
抱き合う日々の中庭に花を育て
枯れるばかりの木を持った
あなただけが擦り減って行くから
あなたに弱さを望んだ
それは醜い愛だったが
産まれたものを捨てるわけにはいかなかったのだ
....
朝方は雨に近いみぞれだったが、いつのまにか大粒の牡丹雪となり
真冬のような降りとなっている
誰にけしかけられるでもなく、雪は味気なく空の蓋を開けて降り出したのだ
すべての平面が白く埋め尽 ....
水曜日はどこにいる?
僕?
僕はあそことここと そこにもいる
土曜日は?
土曜日は向こうからやって来るから
僕らがいる所が土曜日になる
じゃあ日曜日は?
月曜日の隣かな
一日〈うんどう ....
街を
どうして
忘れたんだろう
崩れるほど抱いた
うるさい春のかわいい匂い
どうして愛を
君に見たんだろう
忘れるほど抱いたのに
ひとつも
どうして
忘れないん ....
封筒のなかで
街をそだてる
来る日も来る日も
細かくしたえさを与えて
ある春に
耐えがたい眠気に襲われるまま
5年も、6年も
あるいは500年も眠ってしまった
春は何度もや ....
二月については多くを語ることはできないくらい煩雑で混沌とした月であった。豪雪であり、闘いでもあり、不毛な労働と出費が続いたという形跡がある。だがしかし、本当に雪が多かったが、過去にさかのぼって記憶を ....
友人のうちの前に咲いてる沈丁花を嗅いだ。これは終わりの方の春だね。
そしてそのうちのなかには猫が一匹いて(黒い猫だった)、あくびしたり、のびたり縮んだりして可愛かった。
お酒をあけて、ケー ....
ヒーターの三時間ごとの自動消火を知らせる音源がまた聞こえている
あれからもう三時間も経ったのだと
日の長くなった乳白色の外を見る
あれをやらなければならない
これもやらなければならないと思って ....
小さな頃は
波打ち際が好きでした
砂のお山を作ったり
キレイな貝殻見つけたり
波と鬼ごっこしてみたり
今はぼんやり
水平線を見ています
....
テスト休みがいちばん楽しい
宿題も補習もないし
日溜まりのあくび猫みたいに
のんびりまったり遊ぶだけ
雨上がりの良く晴れた朝
ひこうき雲 ....
わたしの三十歳になる
自閉症の息子は
通っている作業所で
仲間のリクエストに応え
曲をYoutubeで再生して
みんなに喜ばれているそうだ
小さい頃から
誰が教えた訳でもないのに
ただ ....
気づいたら
私だけの公園であそぶ
誰もいなくて誰も来ないから
邪魔されない自由
反省と戯れる
止まらないブランコ 気持ち前後に振れて
おりてしまえば大したことはない
のぼ ....
悲しい日の帰り道
雨に汚れたダンボールの中に
小さな詩が捨てられていた
鳴いていたので連れて帰って
ぬるいミルクを飲ませてやった
みすぼらしくて震えてて
....
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