夜の澄んだ空気にあてられ

街を歩いて湖畔に向かった

ざわめく気持ちに呑まれながら

歩みはただ疾さを増して


静寂の水面が鏡となる

自分の姿をそこに映して

湖島の闇 ....
「弦楽四重奏をついうっかり
公園のベンチの上に置き忘れてしまいました
どなたかに拾われてしまったのなら
諦めて下さいな」

銀杏の葉っぱの黄色い成分と
手編みの夕陽を丁寧に織り込んだ
ニ ....
記憶が真っ青に
枯れ果てた木々に降り積もり
目では見えない星くずの上で
だんだん夕暮れてく
抗うすべもないまま冬
空腹で消えていく記憶たちの
理由を探してシャッターを切る

ファミリー ....
二〇二二年二月一日 「たくさんのぼく」


 ぼくはたくさんのぼくからなっていて、なにごとかを言ったりしたりするときには、そのたくさんのぼくの同意のもとで行われており、ときには少数のぼくの見解を ....
いくつかの枝葉をのこして、花を切っていく。もっと沢山の花を咲かせるために必要な処理だ。
そして、わたしたちはまた違う街へきた。

これまででいちばん短い期間での引越しだった。短い春と長い ....
夜風に紙垂がゆれる

 一文字だけの汗

斜影のない自転車を追いかける

       金星はいつも金星で

見上げれば笑う檸檬の月

御前三杯酢をと乾く舌から 季節は巡り
 ....
10月15日(土)、
 少し遠くの図書館に行って、小説を借りてきた。陽だまりは懐かしく澄んでいた。小説からは、少しレモンの匂いがした。
(小雨の朝とは違う昼の光や、少し遠くに来たという身体の浮遊感 ....
無音の闇の中

キンキンと耳鳴りの音

時々聞こえる時計のアラーム

起きては消えていき

朝の喧騒が近付くのを知らせる

目を瞑れ

目を瞑っていろ

圧力は増すばかり
 ....
異邦の人、独り
高曇りの空、歩む

街、穏やか
涼風は吹き抜け

現に馴染んだ者達
群れをなし
秋の甘やかな大気に浸る

異邦の人、独り
平静に包まれ
高曇りの空を歩みながら
 ....
交わされる会話と会話との狭間に
干からびた蜻蛉の羽を
玻璃のように砕く
緩慢で冷たい秋の風に舞いあがって
日めくりの暦はもはや作業的に剥がされてゆく
はいいろのため息を漏らすために
つくら ....
二〇二二年一月一日 「多元世界の門」


 ロバート・シルヴァーバーグの『多元世界の門』、さいごの245ページまで読んだ。主人公と娘はスパイ容疑から外れて助かった。のちに主人公は死んだと思わ ....
{引用=季節は詩作と飲酒を奨励する}
ナナカマドの実を髪に飾って
わたしの夢と現実を行き来する
顔のない女のようなものが
縫い付けたり解いたりして
季節の匂いを囁いている
雨上がりのしどけ ....
正直今日の日はえぐれるような1日だった
いろんな意味で
あたしはもっと強くなっていかねばならない
昨日よりももっとぐるぐるめまいがした
あたしはもっと強くならなければならない

 ....
ぬかるみにまどろんだ
つきのはなしをしっているだろうか
雪はふりつづけ
ものがたりをせがんだこどもたちは
まだねむれずにいるというのに


わたしたちの王国のはなし
夜空をのみこん ....
あらゆる全部に値札がついて
かんたんに花をつむこともできない
ぴかぴかの看板を背負ってあるき
いちにち集めた小銭とひきかえに
やさしい、こまかい花を持ちかえる
世界はわたしを許したこ ....
顔の無い自分の顔の部分について考えている
なぜか?
非常識だからだ
洋服を着た
からだだけが
ぺたんこになって地上に映し出されていた
これからもわたしたちは
なんとかマップにマッピングさ ....
二〇二一年十三月一日 「断章」


 ジョンは五千人程の男女の中に見えなくなった──。誰も彼もが灰色のヴェールを被っている──、凍って粉々になった残骸は〝意識〟と呼ばれ、人々の中に動かしがたい様 ....
ウンチの実態は
食べ物の残りカスではなく
細胞の死骸なのだと聞いて
私は脳細胞の死骸だと
勝手に思ってしまった

確かにトイレに籠って本を読み
粘ると便が出ることが多いので
脳細胞の代 ....
真っ暗なのは
見えないのではない
闇を見ている

無音なのは
聞こえないのではない
沈黙を聞いている

不毛なのは
生きてないのではない
死を生きている

広い視野と
 ....
えと、
うんと
だらしなく
恥をさらし

今は
真ん中で、真ん中で
均衡を取りながら

ひたむきな思いを抱いて
鋭く閃く思考を鳴らして
肉の苦痛に日々耐えて

  *

 ....
まだ、地域猫と言う概念のなかった遠い昔、
ぼくの住む小さな漁村にキジトラの、年老いた猫がいた、猫、と呼ぶにはあまりにも堂々とした体躯、しなやかさ、とはかけ離れたふてぶてしいcat walk、ぼくはそ ....
二〇二一年十二月一日 「夜の大海の中で」


 ヤフオクで落札した、グレゴリイ・ベンフォードの『夜の大海の中で』が到着した。画像で見た表紙の傷は仕方ないけれど、本文はきれいだった。本体190円+ ....
{引用=
「夏の思い出」江間章子

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空
霧のなかに うかびくる
やさしい影 野の小径
水芭蕉の花が 咲いている
夢見て咲いている水のほとり
石 ....
 いろいろあったようで、そうでもなかったような、そんな数年が続いていた。なんとはなしに、脳の中に霧が立ち込めているのではないかと思うくらい、心底何かを思考する気にはなれないのだ。
 川村は山小屋を営 ....
ひと山いくらのりんごから
いちばん赤いのをみがいて
光らせて持ち帰る

夕暮れに
朝焼けに
割れるような喪失を持ちながら
生活のすみずみを拭き上げる

その割れが
ひとかけ ....
昔僕はタイに出かけた。LCCでひとっ飛びして、夜のドンムアン空港のそばの道を歩いていた。良く、空港の周囲は治安が悪いと言われるが、たしかにコンビニの前には野良犬がたむろしていたりと不穏な雰囲気はあ .... {引用=*}
溺れそうな空
まつわる光はまつ毛に重く
秋桜に迎えられ
坂の上まで送られて

いつも喪服を着た
踏む者もいない影が
ことばを忘れたものたちの
風とまぐわう声を聞く

 ....
地下駐車場に止めてあった高級外車にガソリンをかけて火をつける
三つ又の銀色のエンブレムがボンネットの先端についている
メルセデスベンツぐらい、クルマに興味のないおれにだって分かる
炎が上がり、熱 ....
二〇二一年十一月一日 「現代詩年鑑のアンケートへの返答」


現代詩年鑑のアンケートへの返答

詩集5冊

高柳 誠 『フランチェスカのスカート』
荒木時彦 『(Aの一日)』
長田典 ....
心のようなものを失くした
裸になった
代わりに心になった
裸足になった
切なくなって
よろしくと言った
はじまりはいつもびぎん

じっとしていた
ヨーグルトになった
甘くなくて、懐 ....
七さんのおすすめリスト(1404)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜の湖畔で- 自由詩522-10-23
cross_road/秋の不在証明- ちぇりこ ...自由詩422-10-22
コンビニとかで売ってるグラマラスバタフライ_三分バージョン- モマリサ ...自由詩4*22-10-18
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秋桜- はるな自由詩922-10-5
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詩の日めくり_二〇二一年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*22-10-3
クソみたいなウンチク- イオン自由詩10*22-10-1
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