すべてのおすすめ
スーパーで売られている無花果はスーパーなイチジクではない
ミルクが切り口から出ていない
それでも ためつすがめつ見る
皮の色合い ふくらみ 同じものは ひとつもない
紅をさしたかのような口が美 ....
君があまりにも傾いた樹木として
僕に近づいて来たように視えたものだから
君の大きな瞳の奥の
二三の星の連れ子を伴った
密かに見え隠れする
もう一つの月の貌を受けいれる
現実という測り知れな ....
空が青いこと
水が冷たいこと
人が笑っていること
急に寒かったり
季節が隣で
急いでしまうこと
優しさの前で
戸惑う誰かの
ボタンが光ること
細かいもの全てが
クリスマスに
飾れ ....
ちゅうとはんぱに知っているふりをしない事
無知はゆめの入口のようにきみを待っているのだから
神さまに出逢ったら日頃の礼を言ってみよう
少しはこの世界の愚痴をこぼしてもいいとおもう
そし ....
熊笹の獣道を誰かが歩く
うっかりと穴を踏み抜く
ガサ
滝つぼに落ちたあと爆発音がして
誰かの身体はもう粉々
自分のなかにはそんな穴があって
胸に手をあてたとき
大きくもないその手はすでに ....
「あぁあ、こんな地方の駅前で
テレビ局ですが
家ついて行っていいですか?
なんて言われない限り
うちらの世界は変わんないよね」
「でも、見せるものもないよね」
「そうだよね
全 ....
詩人の肖像は
誰にもわからない
あるときは
長く執拗な夏
異教徒の祈り
暮色の岸辺の苫屋の
清貧という夕餉
園遊会での貴婦人の
緊密なコルセットの誘惑
屋根裏の経済 ....
茶色く疲れ果てた蔓の途中で 朝顔の紅は
夏の追憶の中に留まろうと もがいている
枯れ急ぐ葉に抗う 小さくなった花は
冷えた朝露に濡れて うなだれる
永遠への憧れは たそがれて切なく
....
ある人から
窓をもらっていたことを思い出して
とりだして開けてみた
窓の向こうは
地平線まで何もなく白い地と
日も月も雲もない白い空
ふとその地平線に
何かの影があらわれた
だ ....
冬休みが終わると
みんなお金持ちになっていた
ぼくは仲間外れ
なんでおじさんもおばさんも
いとこもいないの?
わけを聞いても
よくわからないけど
おじいちゃんおばあちゃん ....
うまいこと言いたいとか
いらんこと言わないとか
あまり気にしなくなって
うまいこと言えないし
いらんこと言っちゃうし
自由でいいんじゃないかな
各々そんな感じだから
当然まとまら ....
それから
足りないものを
探して
どんな決まりも守らなかった
そして
小さな指輪が取れなくなった
どこから帰っても
この部屋の窓からはなにもみえない
割れた備前焼の茶碗が
....
青く照らされた砂浜に
微かに残した面影は
君が海へ帰る時
足跡は波間に消えて
涙だけが満ちてくる
「私を探さないで」
砕けた波飛沫は呟いた
寄せては帰る海の鼓動
君への ....
毎朝 死にながら生きているような
生きながら死んでいるような
憑いているような
毎朝 この感覚をしかり舌で味わっている
帰りたいと気安く表現などしたくない
この悪戦苦闘の肉眼を ....
よく見て
これがあなたを一番愛してる人
私はあなたを悲しませない
そう誓った暗い夜のこと
はじめての日
ひとりぼっちが自慢だった
あなたの知る世界
作ること任された
間違ってなかっ ....
やけに赤い夕暮れ
仕事で何度もミスした
気持ちは今も落ちたまま
仕事帰りに独り酒
初めて入る古びた居酒屋
温かい店主の声がもやもやを取る
料理の良い匂い
酒の良い匂い
楽し ....
スズランスイセンが揺れている
こくこくと揺れている
つまずいたら
抱きとめる つもりか
はる
ひと房の 想い
とりとめのない
イメージだけが
残る過去
過去を塗りなおす
想像とか
思い出にひたる
郷愁とか
死ねばいい
記憶も思考も
なくなればいい
斜陽のとき
時折さす ....
そよかぜは、そよそよと吹いて
そして、いつからか、よそよそしい
「そよちゃん」と呼びかけたって
振り向きもせずに、通りすぎていく
かつてのように、またお話がしたいのに
....
日がな一日
謎は謎として在り続け
私は五感の縛りに沈む
思いは鬼火のように揺動し
逃れる的を掠めていく
現象する本質を
律動する思考を
掴みかけては取り逃し
夢の底で溺れている
予感 ....
麦わら帽子を頭に乗せると
水平線から陽が昇る
少しの風など相手にもせずに
そうやって高い場所を探した
空気が薄くなり
どんな言葉も丸くなる
天国の途中で
ビルの屋上に名前を置いたら
....
私たちは今という瞬間に生きている
今という瞬間にしか生きられない
今という瞬間は常に死んでいく
私たちは今という瞬間に死んでいく
今という瞬間にしか死ねない
今という瞬間 ....
古傷を隠した真ん中に
君の指先が届いた日
もう崩れても良いと思った
痛々しく泣いて
少しも動けないはずなのに
君の吐く息で
飛んでいける気がした
恋をすると
皮膚は薄くなり
僕たちの ....
世界っていうのは
自分に与えられた箱だから
自分はその中で
精いっぱい生きるだけだ
気持ちいいも
悪いも
自分の中にだけある
子供の頃から
使っている目覚まし時計
ソフトな音だけど
すぐに目覚められる
不思議な音
目覚まし時計がなければ
上手く起きられない
鳥の囀りをを聞きたい
爽やかな気分になれ ....
人ってことが僕というものの一要素に過ぎないように、
雨粒たちも、雨ってだけではないんだろうと思う。
木々を擬人化して考えるとき、
人も同時に木へ近づいて、人から少し離れていく。
人でい ....
星がしゃべるとき
わたしらは無口になった
あかりをみんな消して
肌で暖をとった
嘘とそれ以外
世界にあるものの
すべてを好きだった
言葉は
いくらでもあるのに
引き抜こう ....
耳の奥
誰も追い駆けて来ない場所に
音楽は流れ始める
好きな季節に
理由など聞かないで
無意識の中に
溶けてく気持ちが
虹色の服に着替えている
敵も味方も分からずに
優しさを遠慮なく ....
この手は拒まない
例えば冬の凍て付く月を
耳たぶに飾って光るなら
夜しか生まれずに爪を渡る
明日はきっと
何も聴こえなくなって
心だけで
叫ぶでしょう
秋の名残りの
ひとしずく
庭の木に
ひとつ残った
もみじ葉の
夜露に濡れた
別れの言葉
そっと
グラスを近づけて
琥珀色の
芳醇な香りを
楽しみながら
....
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