星のような脆さで光っていた
鳥達が言葉を持ち
海を渡っていく
変わっていくことが分かっていた
愛だっていつか干上がるだろう
けれども僕たちの生活は
今のところまだ
星のような脆さで光 ....
夜の舟
櫂はいらない
ゆられているのは
こころのありか
星くずは
あかるく燃えながら
一瞬で消えてしまった
とても遠い闇が
触れるほど近くに落ちてくる
ここは宇宙の湊
願い ....
人工の月が自然の月より明るい世界
衛星は渋滞気味
地上は荒廃気味
権力は美味しすぎて
欲望に肥えた人間が
常に奪い合い
人工の月を大きくしていく
権力以外全部駒
その構造が変わらない限 ....
何もかもがあるべきところにない夜
君は月の鳥になって訪れる
冷たく冴えた光を浴びて
その羽の光沢はほのかな虹色
君はうたう
はるかな過去からのように
はるかな未来からのように
その調 ....
空がとても悲しくて
白いベッドに横たわる
空がとても冷たくて
熱いココアをかき混ぜる
{ルビ暮色=ぼしょく}の寂しさ微かに{ルビ凍=し}みた
潮の香り
冷たい風に吹かれ
波を見つめる
この海のどこかにいる
冷たくなって
もう体温をもたない
あなた
私は自分の掌の温かさに苦悩する
波音が浮かぶ思いを
寄せては打ち ....
冬の石畳みの
陽だまりを愛しながら
時計の針で刻めない
とおい未来から届く昨日を
思い起こしてみる
追いもしない記憶に追われもせず
そこに立ち止まって
年齢を重ねる自 ....
おむすび、
お出かけする、
にちようびの晴れた朝に、
握ってくれた、
台所の海のかたまり、
炊きたての、
白いゴハンの湯気に混じって、
海苔と塩の蒸せるような香りが、茶の間にまで活き活き ....
彼女は
最初から飢えていた
赤裸々に本能的に
男が欲しかった
肢体にも媚態にも自信があった
毎日の風呂上がり
念入りに乳房は豊かか
腹は引っ込んでいるか
隅から隅まで確認す ....
横になればすぐにわかる
どうして今まで立っていたのだ
眠るために必要なものは、
とりあえず枕と寝床があればよい
悔しかったことや腹が立つこと
悲しいことや傷ついたこと
虫歯の痛みや腹ぺ ....
もみじ、
肩まで浸かった露天風呂からのぞむ、
さりゆく、秋の赤い夕ひが、
ひとすじの、きまぐれな寒風とともに落としていった、
いちまいの、
星のカケラ、
休憩室の掲示板に、ずらりと並んで立 ....
木枯らしの渦巻く中庭で本を読んでいた
まだ蒼い銀杏の葉がページに挟まり{ルビ栞=しおり}となって
ぼくはそのまま本を閉じた
階段を昇りきると
磨かれた長い廊下は光り輝き
影を失くした透明な人 ....
恍惚の人となっても
一番愛していたことを覚えているとしたら
自分にはどんな記憶が残るだろう
愛に似たようなものはあると思うが
今はまだわからない
歳をとって色々なものが抜け落ちた後に
光る ....
太陽を焦がし
月を凍らせ
空を封印する
それから窓を閉じる
君の意識が悲しみで朽ちてしまう前に
魔法が あるいは
麻酔が必要
見えない網に絡まってしまった
言葉たちを
ひとつ ....
コナン君の決めセリフは
「真実はいつも一つ」だ
私はそうは思わない
事実はいつだって一つでも
それぞれの側にそれぞれの真実がある
聞いてくれる人がいないと思えば話さない
聞いてくれる人がいると思えばこそ話すのだ
思うだけで構わない
壁に向かってしゃべってるぅ
大丈夫、スマホさんが理を通してくれる
しかし壁に向かって ....
ことばは不思議だ
受け止められかたによって
深く傷ついたり
深く響いたりする
ことばは不思議だ
人によって
鋭いナイフともなり
時にはこころの拠り所にもなる
滔々と流れる川の水 ....
きみの言葉が僕のひかり
きみの声音が僕の音楽
きみの眼差しが僕にほほえみを与える
きみの愛しさが 僕の詩になる
ストローに残る
赤い口紅を見て
恋だと思った
消え方を知らない
炎のように燃えて
傷跡みたいな印を
痛々しく刻むから
扉を閉めたんだ
心のいちばん深い場所で
息をしていると
....
永遠は私には永すぎる
永遠の幸福は退屈だし
永遠の絶望は残酷だ
永遠に終わりがある方が
私は、救われる
○「心」
心は
いつも
生と死のあいだを
振り子のように揺れている
○「医者」
慣れてくると
「余命数ヶ月のガンです」
と宣告するのさえ
平気になってくる
慣れってこわいもので ....
あなたから滲み出る匂いを嗅ぎ
やっと呼吸をすることができる
冷えたコンクリートに囲われて
息を止めたまま凍りついていた
思考回路が野生化する花の香り
ひとりでは何をするにも未熟で
あなたの ....
純潔な果実を切り刻んだ果肉から
きみのエッセンスがほとばしる
酸く 苦く…
特効薬のガムシロップを多めに入れて
ソーダ水をかき回せたら
特製のレモンスカッシュの出来上がり
ぼくは何 ....
パサパサの餌をたべて
噛み砕けども詩にはならず
烏輪の光を受ける郷も今宵、雲裏から出ぬ草はらで
落ちてるひらがなを拾いあつめて
ぴん とお耳を立ててみる
伝説の客が行く
印刷所へ
第一級の本のデータをさっと組み
矢継ぎ早に注文した
伝説の客が
伝説の客が行く
上等の介護用品
潤沢なベッド周りをすぐ用意し
愛をこれでもかと見せた
伝 ....
岩の中に閉じこもっている
太陽を連れ出したいな
もう見つけている隠れんぼ
希望はあるのに見えなくて
冷たい岩肌にくちびる寄せて
合わせ目沁み込むように歌唄う
光が漏れるのを待ちながら
幾 ....
青空の青は
宇宙との境目。
太古の人も
見ていた
青空の青
しゃんとして
くしゃみして
しゃがんでしっかり
だぁれも知らない
自ら織り成す時空に生く
言葉には名前を書けはしないけど
自分から出たものならば
すでに似たのがあったって
悪いことではないだろう
昼と夜の献立が
被るくらいの話じゃないか
働いて帰って眠って
働いて休みは遠 ....
街も山も渓もみな
雷雨に包まれ
水の中
通勤電車もみな
雨の中
※
雨だから
何をするのも面倒で
今夜はレトルトカレー
しょうがない ....
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