真空
草野春心



  消えて
  し、舞う
  塵芥
  ひとつ、
  旋律
  ひとすじ、
  吸いこまれ、
  消えて
  し、舞う……



    無は……
    最後では
    ……ない
    無は……
    さらなる無を
    囲み……
    ……無は
    在る
    ……最後では
    ない



  消えて
  し、舞う
  言葉
  ひとひら、
  沈黙
  ひとひら、
  吸い込まれ、
  消えて
  し、舞う……



  楽も
  苦もない
  窒息の底で
  漏る嗚咽は
  行為ではなく
  在



  きしむ椅子に
  深く掛けて
  目、耳、すべてを
  ぎゅっと閉ざして……
  色の
  響くことのない
  世界を
  ご覧




自由詩 真空 Copyright 草野春心 2008-12-06 12:23:46
notebook Home 戻る  過去 未来