糸が風に揺れるものだと知ったのは
窓辺に垂れ下がるブラインドの
二本の紐が揺れていたから
同じ所を出発点に垂れ下がり
似たような団子の頭を持つのに
決して同じ揺れ方はしなくて
走り出す足の ....
世界には自分とおんなじ顔の人が三人いるらしい
こいつらはおんなじ顔だから見つけやすいのだが
世界に放たれた俺の分身達は顔が違うぶん見つけにくい
遺伝子がおんなじのクローンであるはずの分身達は
 ....
煙草の煙が頭に染み付いている
医者がいくら胸部のレントゲンを取ろうが
脳が灰色に色付いているのだから
透視でもしない限り異常には気付かない
肺はもともとピンクらしいが
灰色の肺のほうが洒落て ....
金魚は夕暮れに尾びれを伸ばし
水際を弾いて飛ばす雫
橙の流れ込んだ窓辺で
白いレースのカーテンは濡れていく


オレンジは甘酸っぱいイチゴを核に
水際から懐かしさに痺れて
暮れなず ....
観覧車は回っていなかった
小部屋は小学生のように
棒の周りを回り続けている
ジェットコースターは
ビニールで覆われて
休日の母親のように
動かず眠り続けている

敷地内に入れたことを
 ....
産声に感情はなく
ないままに鳴く美しさ
呼吸をするように等間隔で
真っ赤な顔を丸めながら

始めて読む物語は
温度も匂いもないまま
時と共に流れ去って
脳の隙間に染みていく

一目 ....
いくら混じりあっても一つにはならない
個体の混合物でしかない
何度振ってもかき回しても同じ
努力でどうこうなる話でもない

いくら純度が高いからって
きっかけ無しで何が始められるって言うの ....
私は燃え上がる
とてつもないエネルギーを
言葉にして吐き出すこと
言葉を読み耽ることに向けていた

私の燃焼期の思い出
燃えるような心を手に入れた
あの日から高まってしまった
鋭く研ぎ ....
油を失った毛先は
ポンチョの裾の紐
風に僅かに持ち上がり
緑黄緑の筋が覆う
粒粒の乾いたもろこし
錆びかけたギターの弦が
擦られながら音を弾き出す
牛が歩く砂利の坂道
脇に咲く種の向日 ....
ひと夏のあいだ
あおぎ続けていた団扇
骨だけになって
白いプラスティック
手に馴染んできた
縦じまの持つところ
右手を呼んでいる

いつから皮が剥がれ落ちたのか
水かきの無い手のひら ....
相変わらず愛だの恋だのは人気者で
夏ともなると入道雲や青空が歌いだす
どの番組も同じに見えてしまう
入り込んでしまえば
違いは歴然なのだろうけれど

ほらまた
蝉が時雨と共に夏の奏鳴曲を ....
皆の集まる前で反転する世界に漏れてくるのは赤い光で現像されていく想像が生暖かい風に乾かされ浮かび上がる光と赤い目

既に焼き付けられた紙を前にしてくり貫くまでも憎めず塗りつぶすには惜しく火で燃やす ....
明けない夜はないけれど
夜しか知らない人がいたら
永遠の夜は存在する

夜に生まれて
明ける前に死ぬか
夜しか目覚めないで
朝を見ずに死ぬか
したらば

夜は永遠となる
永遠が遠 ....
濡れる町 晴れれば乾く 潔く 降らぬ街ほど じめじめと蒸す

並木道 水溜まり割る ハイヒール ムカつく奴に 投げ付けてやれ

ピアノへと もたれ掛かりて 懇願す 近付くフィーネ 終わりたくな ....
黙祷を捧げる
命が大量に羽ばたいた日々
白い鳩は真っ黒な烏に
焦げた

世界一大きな毒キノコが
街二つを飲み込んだ

雨を降らした

見たくも無い
地平線が見えただろう

 ....
雨粒が空から降ってくる時
水滴達が地に落ちてくる時
故郷とさよならを交わした後の
乾かされた空しさが
すべり落ちたハンカチのように
頭の上に降ってくる

十数える間にもう地面だった
故 ....
ビニール傘を連れてバスに乗る
車たちはいつもより低いところ
色も形も残らない淡い流れ

信号の度に苦しそうな馬力
ため息つくバス停
鼻づまりアナウンス

ポケットを探ると298円3セン ....
マウンドに立っている
誰も守らないグランドの真ん中

ほんの少し前まで
外野で黙ってろと
生えた草むしりとか
雲数えたりしていたのに

気付けばマウンドに立っていた
大きすぎるグロー ....
あけない夜はないけれど あけにくい夜はある
みんみんゼミは今日もねむれぬ夜をすごすのだ
月にはくものむれが重なって
まんまるお月さんはうたたねうたたね
虫かご持った男の子虫アミ片手に走り出し
 ....
モデルが 影をどけて と叫んだ
影が後ろから足を引っ張ってくるの
照明を目の前にして 背後に伸びている影
右足を男の手が 左足を女の手が 足を引っ張るの
忌々しげに影を振り返るけれど 影は真似 ....
鶏が屋根で鳴いている
風見鶏が朝の方を向いて

窓から海を覗く
明けなずむ空は
緊張感の狭間
じっと見つめる
こげ茶の目2つ

隣では年老いた夜
足を三角に折って
星を片付け ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
白い紐自由詩0*07/10/6 1:54
ドッペる自由詩0*07/10/4 23:49
一服自由詩1*07/10/2 0:20
やっぱり足が欲しい自由詩0*07/9/25 0:48
台風娘[group]自由詩007/9/21 0:13
原動自由詩1*07/9/19 22:01
ヒ化学反応自由詩0*07/9/17 2:01
燃焼自由詩1+*07/9/12 20:40
まきび自由詩1*07/9/5 15:03
夏の骨自由詩3*07/9/1 0:50
葉考[group]未詩・独白1*07/8/29 22:06
皆既月食発生日自由詩007/8/28 21:54
永遠[group]自由詩2*07/8/26 23:48
雨風味[group]短歌4*07/8/13 23:48
黙祷[group]自由詩2*07/8/11 22:43
水記憶[group]自由詩3*07/8/9 1:00
モラトリウム自由詩1*07/8/5 0:21
一人野球自由詩4*07/8/3 23:19
絵本自由詩1*07/7/31 23:32
モデルの影自由詩0+*07/7/30 0:11
夜明け自由詩0*07/7/27 1:00

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