我々は日にちを表す言葉を長きに渡り使用してきた訳であるが、本日2011年4月1日を以
って「日日」の言葉の意味するところが従来の昨日になり、「日」の言葉の意味するとこ
ろは従来の今日に改正される ....
車が燃えている
クラクションを響かせて
さよならの時だ

出棺のように
天国へ召されていく
車に墓はないけれど
廃車になって
プレスされ
溶かされるか
埋め立てられるか

家族 ....
明けない夜はないのだという言葉は
果てしなく長い夜を過ごしているときには
何の役に立たないのだということを
知っている人はあまりいない
と、憂いている人は少なくない

もしも眠れないまま
 ....
手ができて間もない頃
ゆびを動かすのが苦手だった
骨がぷにぷにのお肉に邪魔されて
うまく曲がらない
ゆびとゆびの仲もよくなかった

ちょうちょむすびは絆が大事
右手と左手
息をあわせて ....
久しぶりの君は髪が白かった
最初は帽子かカチューシャかと
一般的な白髪とは違う
老化ではない白髪

「どうしたの?」と聞いたら
「触ってみる?」と言う
優しく触れたはずなのに
パラパラ ....
悲しみが止まらない夜
涙をおくる腺がどこかで
切れてしまったようで
泣こうとしても涙が出ない

悲しみだけが
ぶくぶくと腹の底から
湧いてきて
行き場をなくした涙が
身体の隙間を埋め ....
ほほえむ
ほほがふくらんで

ほっとゆるむ
おくちとめじり

ぽっとともる
こころのあかり

ほのおのように
あたたかい

ぼんやりとした
ちいさなあい

ほかのだれかの ....
誰かが困っている時でも
音楽家は歌を歌うしかない
芸術家は絵を描くしかない
報道陣は報道するしかない
消防士は火を消すしかない
医者は医療行為をするしかない
科学者は頭で考えるしかない ....
冬がうたた寝を始めて
目を閉じるたびに
春の匂いがする
生まれたての花弁の匂い

つめたい風に目を開けば
空はうすい水色で
か弱い雲が流れている
太陽は北風と仲たがい

春はすぐそ ....
空を自由に飛べる鳥をうらやましさで見つめる
羽ばたいても人の腕はむなしく空を切るだけ
風をつかめる羽根がこの手にもあったなら
自転車を両手放しで疾走する、コートの袖ははためいている
天を仰いで ....
なぜ生まれてきたのか
そう問われると
とても悪いことをしている気分になる
なぜ盗んでしまったのかと聞かれているような
なぜ殺したのかを尋ねられたような
質問の正しさが怖い

なぜか
 ....
木馬が回転する荒野
芝生の丈は坊やの前髪
風が吹いても揺れやしない
朝の光を忘れた頃に
夕暮れ、赤い日が落ちる
白いタテガミ、回転木馬、揺れぬ緑の草の上

空から降るのは億千の星の粒とか ....
身体の水分をすべて練り上げて
わたしは丸い生地になる
一晩寝かされて
発酵するのを待つ
悶々と悩む
自分はこれでいいのかと
腐って消えてしまう夢を見た後に
大爆発を起こしたい気分になる
 ....
封筒に花をつめて贈る
もう届くはずのない海の底
砂とコンクリートで満たされた場所で
白骨化した魚類たちと眠っている
赤いポストに届けたい

気取るつもりはないけれど
想いを物に変えて何か ....
雲ひとつない空の青が眩しい
どこに太陽があるのかもわからないくらい
水色がひたひたと目に入ってくる
校長先生と呼べる人がいる場所を遠い昔に離れ
気だるい朝「今日は雲ひとつない晴天です」と
快 ....
救急法
誰かを助けてなくては
僕はもう誰も信じられないかもしれない
明日朝が来たら
いやたとえこなくたって
僕はもう明日にむかって歩き出している
待って
追いかけても背中は遠く
小さく ....
黒猫を追いかけろ
目の前を通り過ぎようとする
猫を

まだ小さな
毛先の乱れた黒い猫
この目の前を横切らせてやるものか

追いかけたら逃げていく
追いかけるから逃げていく
笑ってい ....
庭に農園を作ろうと
トマトを植えたのが運の尽き
青さの残る赤い実がごろごろついた
続いて植えたナスもきりがない
次から次から青い実がついて
肥料が足りずに味はいまいち
育ちすぎたキュウリも ....
雪が降ったので何となく家から出てみた
辺り一面にうっすらと雪が積もり
細い塀の上まで忘れられずに雪が積もっている
いくつかの足跡が切り抜かれた道を歩いていけば
太い縞模様になった道路と出くわす ....
年が明けたあさ
目を覚ますと目の前に
水のたっぷり染み込んだぞうきんが
そばの油揚げみたいに旨そうな姿で置いてある

これは床でも拭けということかと
年末の大掃除のようにぞうきんを手にとり ....
北風が吹き込んで
天空の冷たさで街が満たされたら
山の端が私を呼んでいるような気がする
雲が驚くほど早く流れているのは
いまが師走だからなのだ

北極の揺れている音がする
歌っているか、 ....
人を怒らせるのも1つの才能です
成績の面でも写真で見ても何一つ遜色は無いのですが
彼女のいる所で突然誰かが怒り出すことがあります
それも尋常ではない速度で怒りが爆発するので
前兆も何もないまま ....
森の中を進む
木の無い森
草の無い森
ただ土で満たされた森
水は砂の底を流れ
砂があちらこちらに山を作る
表面は水の波紋のように風と遊ぶ

「ここはかつて森であったのだ」
と言う人が ....
生きなければならない
しかしそれは義務ではない
1が限りなく並ぶ世界で
0に限りなく近い私は
生きていなければならない
それは誰のためでもない

生きていくことに意味があるとしたら
そ ....
寒くなってくると幸せが細く薄くなっていく
すこしずつ、少しずつ
朝と夜の冷え込みが幸せをすかすかにして
ちょっとした風や接触で
うすく、薄くなってしまう

何かの弾みに急に寒さが押し寄せて ....
恋人がほしいと呪文のように唱えていたら
顔もわからぬ女と激しく抱き合う夢を見た
寺のような板間のうえで
薄いテラテラの布地のワンピースを着た女
黒い髪の女
ちょうど私の上に覆いかぶさるように ....
あれはフラスコみたいなものだった
化学反応が期待される液体を溜めておく容器
そしてそこに時おり栓をしてチューブを突き刺す
煮えてもいないのに液体と固体はグラグラと泡立って
それは恐らく酸を帯び ....
秋の夜長が静かにこちらへ歩を進めている
もう虫が鳴いている
昼間の入道雲が萎んでしまえば
いそいそと秋が町のあちらこちらに姿を見せる

ところがどうだろう
私はまだ秋の準備ができていない
 ....
女という物体は生きている
水を入れたコップに落とされた
一滴のミルク
絡まった細い糸
水中を漂う霧
少しずつ溶けて
最後は白濁

男という物体は動いている
幹に絡み付こうとする蔓
 ....
白球を追う
その中に小さな骨が入っている
太陽は肌を溶かしていく

皮膚を腐らせて
骨がむき出しになった女は
化粧の下地で隠そうとする

服を着たままでも興奮していたものが
下着 ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
非実在日時の健全な使用に関する条令について自由詩3*11/4/1 1:55
Electric Last Moment(エレクトリック・ラ ...自由詩0*11/3/30 0:31
眠れない夜、止まない雨、励まさない詩自由詩3*11/3/28 2:24
ちょうむすびとおりがみ自由詩3*11/3/26 23:02
雪解自由詩1*11/3/26 1:18
戻り涙自由詩1*11/3/22 1:58
smile-スミレ-自由詩2*11/3/14 22:55
いつも通りと祈り自由詩5*11/3/14 0:30
冬眠を憐れむためのうた自由詩1*11/3/10 2:46
空樹自由詩2*11/3/9 1:26
世界が始まらないことを願って自由詩3*11/3/8 18:11
夜に遊ぶ自由詩3*11/3/6 3:30
宇宙は膨張している/わたしのなかの自由詩2*11/3/6 0:17
なんという幸運自由詩4*11/3/2 2:30
空の青さが眩しくて支えきれずに自由詩4*11/2/26 2:32
泣く寸前の色自由詩0*11/2/24 22:45
My kitten has kittens in the k ...自由詩1*11/1/30 0:04
愚かな農園自由詩1*11/1/21 2:24
If winter comes, …自由詩3*11/1/17 2:11
正月はどこか饂飩に似ている自由詩4*11/1/2 23:56
繰り澄ます自由詩2*10/12/24 1:50
陪席する触媒自由詩1*10/12/11 2:14
ノルウェイの森とは全く関係のない森の話自由詩2*10/12/10 0:00
生きる自由詩2*10/11/23 0:54
薄幸と的自由詩1*10/10/27 23:08
ラブ・ラプソディー・ブルー自由詩2*10/9/25 19:01
夢万夜自由詩3*10/9/23 0:35
夏なつかしく秋になく自由詩4*10/9/2 1:15
子どもの目の届かない冷暗所・夏自由詩1*10/8/30 1:33
熱帯夜自由詩2*10/8/18 1:37

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