いかにも甘えた声で男を叱って
夜通し喘いでいた隣の部屋、
今は男が怒っている
机を叩いたり、ガラスか何かをがしゃんと言わせたりしながら
強い語気で呟くように何かを言っている、もう三時間もずっと ....
時代を切り開く人がいて
端切れを集めて洋裁する人がいる

露出した肌を見て、欲情する人がいて
見え隠れする谷間にそそられる人もいる

セックスと聞いただけで脳内花火大会の青年と
セイコウ ....
はるかはさめざめ泣いていた、どうして泣いているのか尋ねても何も答えてはくれない、黙って首を横に振るだけだ、それは違うという意思表示ではなく、話し掛けるなという拒絶だった、誰でも一人になりたい時はあるだ .... 椅子に深くもたれかかり
こめかみを押さえる、溜め息は青い
彼女の顔の色はモノクローム
見る者が自分の色覚を疑うほどの、
肌は飽和を通り越した砂糖水の白さ
髪は宇宙の広がりを押し留めた黒さ
 ....
世界を爆破しようと言って
銃火器を想像したならあなたは私の敵です
世界は勝手に爆発していると
目を閉じて微笑んでいるあなたなら
私の同士であると思います
どうぞこれからも一匹狼として
殻の ....
私は女ですから、髭を剃るようなことは一生ないものだと思っていました
私はいま髭剃りを手にしているのですよ
少女の私が聞けば目を引ん剥いていることでしょう
何でも機械化する時代ですから
剃刀の刃 ....
これで最後になったって構わない
そう思って生きてきただろうか
そう思って飯を食い、
語らい、遊び、笑いあっただろうか

ここで途切れても
誰にも心配をかけないで
心置きなく終われるような ....
草木も眠る丑三つ時には
言の葉寺の鐘も鳴らない

小粒の雨が纏わりついて
糸を引いている女の
肩から背中から人形を
操る天空の指のような
月の傾き、梟の
抑え気味に笑う声とか
つがい ....
キャンセル待ちの
救急車には
今日も乗れそうにない

釈然としないまま
習慣化していく
消防車移動という形式

茶を濁すような車体の
駐車方法は入射角に対して
直角な感じで

 ....
想像の桜はもっとぼんやり柔らかかったのに
僕の目には視界を占拠する粒が、桃色の粒として、
眼球の膜の中まで押し込まれてきそうだった
最近はほとんど写真でだけ桜を見ていたから
自分の目の画素数を ....
海へ飛んでゆきたい
青い、ど真ん中、未開の海の底を目指して
太陽の光が届かない底にへばりつき
飢えた獣のように砂を舐め、食らいたい

私はあなたの塩分が欲しい
ありふれた水分ではなくて、
 ....
彼の笑い方はウェスタン
陽気なヴァイオリンにアコースティックなギター
パーカッションをパカパカ鳴らして
駆けつけた夏に開かれた窓
彼の下宿で小さな夏のコンサート
馬のいななきのように響く嬌声 ....
しろくろはっきりしまうまのしま
しまうまのしまのわれているところ
それはももいろのおしり

しまうまのおしりには
しまうまのじんせいがしまわれている

くちからこうもんまでが
しまうま ....
満開になってすぐ散ってしまう花びら達が
向かい風をくすぐったくして
名ばかりの春の風の寒さや
世間の冷たさなんてものを
否定も肯定もせずに
ただ風に舞う花弁によって覆い隠していく
それはし ....
しあわせな手のつなぎ方をして
やさしいセックスをしていましたら、
ベイビーが生まれてきました
生まれる前から、この子はかなりの幸せものです

ベイビーを楽園に残してわたしは旅に出ました
そ ....
恋歌に憧れていた僕は
物語に紛れ込みたかった

ある日、ふと気付く
僕は目になりたいのだ
彼らを眺め続ける透明な視点

春が来て
僕はあなたに恋をした
立っているだけで精一杯
好き ....
年をまたいでこの冬はずっと鉄の仮面を被っていた
ネット通販を利用して、海外の鉄の街から送ってもらったものだ
ちょっとした防寒具にもなるし、ヘルメット代わりにもなった
けれど街で知り合いにあっても ....
考える
自分と、
自分以外のすべて、の存在だけが
この世の真実だったら
私は孤独に耐えられない

私は怯える、外に敵意がなくとも、内には不安が充満している

亀のように心を出し入れしな ....
裏庭に透明の象がいる
ばあちゃんはそれを知っている
他は誰も信じてくれない

夜、布団に身体を任せて
僕は透明になる
(つまり僕は僕を抜け出すんだ)
そして象に会いに行く

暗闇の中 ....
よく晴れた日の午後
麗らかな春の陽射しの中を
黄色い砂が飛んでいく
連綿と空を漂う砂の靄を
裂くように降る大粒の顔面
頬の脂肪を震わせて叫ぶ男の声

行き交う人の群れから
少女が一人顔 ....
ワシの灰皿知らんか?え?なんやコレは、チキンの骨?ママ友と茶しばいた時に、ケンタもしばいて、ハゲまでしばいたやと?お前ばっかりええのう。ワシがオイルに塗れとる間に、お前はオイリーなチキン食うて、だんじ .... 雨が降る
夜の闇に隠れている雲が
強い雨風を吐き出して上空を占拠する

最近の若者は重力に弱いと
ベンチに座り込む私に老人は言う
春は特に重いんですよと私は答えた

老人は軸の曲がった ....
張り詰めたラップを着て
新しいキャベツが店頭に
テカテカと並んでいる

両手に乗せて天秤になるひと時に
良いキャベツは感覚で選ばれる

冷蔵庫で
一枚ずつ身包みを剥がされるのを待つ間に ....
春には少し早いけれど
春のピクニックと言う
桜はまだ咲いていない

月光荘のスケッチブック
腕に抱えて歩く木曜日
たんぽぽはまだ準備中

昼の日差しはもう小春
アレルゲンも飛んでいる ....
テディベアは月の輪グマ
ステーキソースの匂い
白いお皿にお花の模様
花瓶から落ちた花びら

テーブルクロスは白いレース
光沢の禿げた木製の鍋敷き
真っ赤っかな笛吹ケトル
黄色いレトロな ....
箸を持つのと球を投げるのは右手だけど
尻を拭くのと球を取るのは左手で

右手で煙草を吸いながら
ぐっと抱き寄せるのは左手
一メートル越えの鼠は抱き心地も抜群だ

字を書くのは左側で
中 ....
生まれる前の僕は壁に囲まれていた
生まれると同時に天井で蓋をされ
それからここはただの暗闇
立方体の箱で僕を飼いながら
肉体は日々の中で生存し続けた

目は目として、耳は耳として、口は口と ....
「床の光沢に負けないオレンジの山を過ぎまして
右手に見えます高く聳えているのが缶詰タワーでございます」

買い物カートは今日も走る、
添乗員と運転手の二人きり
休日なのでややカートは過密気味 ....
クレタ島に住んでいる友達がいる
彼はよく話しかけてきてくれるのだけれど、私は返事の仕方がずっとわからない
彼はいつも一人で話し続け、たまに問いかけてくる、物理的に最も遠い友達だ

「クレタ人 ....
ふあ、こん、ふぁこん、
ふあ、こん、ふあぁこーん
{引用=真綿にマシュマロの杭を打ちます
憂鬱、あんにゅい、少女の小さな額が、前後運動}

ぴゆ、ぴゅゆ、ぴゅるるるるるるるう
ひゅっるるる ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
静かに消えてゆく自由詩2+*09/5/18 1:11
大後悔時代自由詩1*09/5/4 16:57
はるか自由詩1*09/5/1 1:50
眩しいため息自由詩4*09/4/27 23:20
出口も入口もないところにいる自由詩1+*09/4/26 2:13
水に触れる自由詩5+*09/4/22 23:31
さよならまでの助走自由詩3*09/4/20 1:46
詩も寝た頃に自由詩3+*09/4/18 17:43
超躊躇自由詩0+*09/4/15 1:17
雨が降って春が溶けてしまう前に、街へ出よう自由詩5*09/4/14 2:17
死の海自由詩1*09/4/13 3:13
ウェスタン、インフル、おフランス、OH!YEAH!自由詩1*09/4/11 1:54
しまわれているところ自由詩1*09/4/8 19:27
春と聞くだけで泣きそうになる今の私は自由詩2*09/4/5 17:26
チャイルドロック自由詩4*09/4/2 1:56
恋詩木自由詩4*09/3/31 15:28
春の機械自由詩0*09/3/30 1:38
はなればなれに自由詩0*09/3/23 1:44
盲目の象自由詩6*09/3/19 0:49
厚顔無恥の日自由詩1*09/3/18 14:55
灰皿自由詩3*09/3/16 1:43
灰の雨降る公園で自由詩2*09/3/15 12:13
瑞々しい嘘自由詩4*09/3/11 23:35
春の似顔絵自由詩3*09/3/9 1:15
キッチンの風景自由詩1*09/3/8 2:59
キ キ テ自由詩0*09/3/5 23:58
light the light自由詩2*09/2/16 3:19
ゴーカート・デパート自由詩1*09/2/14 2:31
オーキュペテーとケライノー自由詩1*09/2/12 1:16
しろい自由詩1*09/2/10 3:13

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