心臓の外壁が毛羽立って
秋が来たのだなと思う
それまではツルツルと滑らかな桃色で
トクトクと脈打っていたのに
潤いを失ったようにチクチクと壁面を広がってきている
それは太陽に透けたいつかの彼 ....
超高級種も仕掛けもないビーフ舌でとろけて尻で固まる


夏前の視覚の審美報告を受けて腹へと指令が出された


バイオロボ最新鋭の内燃機にんにく2かけ鼠径に充填


縫い上げた ....
彼も昔は普通の水辺に住む生き物だった
腹が減ったら飯を食い、身体が求める通りに泳ぐ
底の方から水面を覗いて藻が緑色に透けるのを楽しむような
平凡な日々を過ごしていた

ある日、少年が彼の住む ....
肩甲骨を背中で閉じて胸を大きく開いたら
幸せな蒸気を肋骨の間に詰め込んで
淋しさが背中に滴る前に
あの人の元へ急がなくては
走る背中を丸めたら翼が広がってしまうので
人ごみでは邪魔になる
 ....
ずっと昔のことなんだけど
ずっと一人で、近所をさ迷っていたことがあるんだ
公園の一人分の幅しかない滑り台を占拠して昼寝したり
ブランコを遊べないように上の軸にぐるぐる巻きにしたり
作りかけの砂 ....
命が終わりを迎えたら、雨を降らせましょうねと
彼女は園児の手を引きながら盛り土に
緑色した象の如雨露で水をかけてあげている
園児は鼻の頭を赤くして鼻をすすっている

園児には見えていた
住 ....
その日私は熱を出し、かかりつけ医の待合室で
テレビに映るワイドショーをぼんやり眺めていた
来るまでの道すがら風に体温を奪われ
厚着をしてきたにも関わらず、身体は芯まで冷えてしまっていた
頭はニ ....
人が通れるくらい木がまばらな林では、木の葉が鮮烈な色をしています
目に滲んでくるような赤色や、星のかけらのような黄色のものがあります
二色が混ざりつつあるような葉もあって、死ぬ前の輝きのようなどこ ....
授業を終わらせるチャイムが僕らに
仕舞い支度を促し、先生は
名残惜しそうに黒板の裾に触れて
開いた小さな穴へと3色の
チョークをぽとりぽとりと落とす

号令にやる気なく起立する僕らは
椅 ....
深い森の中に
最初の一滴が降り
雫は静かに瞬きをする
鳥の瞳になるのだ

枝葉を羽根に変えて
もぞもぞ動き始める
紅葉でもするように
深緑から脱色していく

すべての色は
深緑を ....
あなたの右膝から生まれました
膝小僧(右)です、身に覚えはありませんか
こんなに大きくなりましたよ
どの敷居でも頭を打つほどに成長しました
今回あなたに会いに来たのは生き別れた双子の兄弟
膝 ....
建物を出ると驚くほど寒い
7時間ぶりの外の世界が
熱を帯びた脳を冷ます
薄曇りの空の中
提灯のように
月がぼんやりと光り
遠すぎる等間隔で
街灯が照らす田舎道

努力の底が見えない
 ....
血液は旅をする
一生の半分は心臓を目指し
残りの半分は心臓を懐かしむ
何周も何周もするのだから
何度も何度も繰り返すのだろう

プールの前に体温を計る
血液が今、何を思うのか
知るため ....
ああ死にたい
死んでしまいたい
指の先から煙になって
心臓まで燃えてしまえ(なるべく痛くないように)

ああ死にたい
しかし誤解しないで欲しい
私は死にたいと口にすることが快感なのである ....
埋立地に学校を作る計画が生まれ
超高層小学校は数ヶ月前に着工された
現在建設中のその建物は黒い外壁と窓が
オフィスビルのように鈍い輝きを放っていた
すぐ目の前にはコンクリートで固められた海岸
 ....
必ず
二人同時に好きになる
胸がときめく
最大人数は二人で
最小人数も二人で
どちらがより好みか
考えているうちに醒めてしまう
おいおい
どっちでもいいじゃないか
脈がありそうな方に ....
低血圧もなんのその
早朝から鳴く雀の子3羽
寺の境内にはススキが5本
日曜だから公園に小学生
休みくらい寝てりゃあええのに
ボールの音に、高い声ばっか
笑っても男か女かわからんわ

柴 ....
この道を歩くと妖怪になれると聞いたので、来ました
噂の通り一升のお酢と一丁の豆腐を持って

幾つかのお寺が密集する間に、古びた町屋や商店が連なり
たまに覗く路地は、人がすれ違えないくらいの道幅 ....
河原にたくさんの愛が落ちている
否、河原には愛しか落ちていない
そのうち(どれを選んでも良いのだが)の
一際尖ったものを拾いあげ
膝の上、ふとももの天井をスッと裂く
裂こうとする、血が垂れる ....
地下にある本屋
立ち読みした雑誌
一枚の写真
そっと感性の膜を開いて
アフリカの荒野を
胸に差し入れてくれた

ピンクのフラミンゴ
湖を染めている
見たことのない風景
フラミンゴの ....
山を歩かなくても
高山植物をいくつも
見つけることができた
お花畑だった
小さな草木が
つける大きな花

青い花が好きだった
眩しいくらい明るい
白や黄の花よりも
吸い込まれるくら ....
色々なものに触れてきたはずの
手はくすんだ色をしている
そして力に満ちている
地上のいかなる節足動物も到達できない
しなやかさを持つ

指を伸ばした手の甲をそっと見やれば
4本の指の2つ ....
僕は知っている
通学路の途中にある花坂斜路の下には
恐竜の化石が埋まっているってこと
それをいつか僕が掘り起こすのだ

春には桜が咲いて
夏には向日葵が咲いて
秋には金木犀が咲いて
冬 ....
朝、ドアを開け部屋を出たら
うなじの気配がした、かなり巨大なうなじだった
嗅覚の部署が暴走し、象一頭分くらいのうなじを髣髴とさせた

左脳が「オーデコロンに浸けすぎた女性が通った後の残り香であ ....
水色ストライプのひさしの向こうに
ぼんやりとした青空が広がっている
目の前に広がる防波堤
空の青が海の青を映したものなら
空気は随分とくすんでいる
陽射しに透けているこの小屋根の方が
 ....
私は昔、風でした
どこからが私で、どのような私か
わからないままに
木々を揺らし、髪を靡かせ
生きていました

高いところから低いところへ
汚いところも、美しいところも
青いところにも ....
首の長い扇風機を買った
赤い羽根を気に入った
風に乗る、生まれたての
プラスチックの臭い
わくわくと吹く風
私はその扇風機を
赤児と名付けた

夏の夜、
仕事机で読書する
私の横で ....
新鮮すぎて盛られた皿の上でなお、ぴちぴちしている鯛の煮物
洗剤で洗われた後、絵の具で鮮やかなピンクに炊き込まれたご飯
を食べた途端、生きている意味がわからなくなって
ちょっと重たかったけれどテー ....
わたくしは実は生まれる前のことを
かすかに覚えているタイプなのでございます
かつてわたくしは青いピラミッドの中にいたのです
ピラ内では日によって香りが変わりまして
花畑にいたのでしょうか
そ ....
ラブホテルとカプセルホテルの間に空き地
緑色の針金フェンスが建てられ
雑草除けのコンクリートが敷かれた
そのうち
フェンスは壊され誰かがバスケットゴールを持ってきた
もはや人種職種を判断しか ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
心臓と銀杏自由詩2*08/12/1 1:24
【短歌祭参加作品】後は野となれ夢となれ[group]短歌4*08/11/29 1:00
さらわれた魚怪類自由詩3*08/11/28 20:44
回雪の彼方自由詩0*08/11/27 2:30
「空の字をじっと見てみて」「うん、みたよ」「パンダの顔に見え ...自由詩1*08/11/25 1:23
如雨露[group]自由詩2*08/11/23 1:07
単純な犯罪自由詩5*08/11/22 0:41
あたたかいものを、ひとつ自由詩2*08/11/16 0:34
指定席自由詩3*08/11/13 1:15
鳥たちの雨[group]自由詩2*08/11/8 21:27
しょーゆーこと自由詩0*08/11/7 1:12
夜を噛む自由詩2*08/11/4 13:34
平熱自由詩6*08/10/30 22:53
永久脱亡自由詩1*08/10/26 0:19
解凍パニック自由詩0*08/10/25 1:16
自由詩1+*08/10/23 1:07
あれチャウチャウちゃう?(チャウチャウちゃう、柴犬や!)自由詩2*08/10/21 16:45
人指し指から、お願いします自由詩1*08/10/20 1:38
自由詩1*08/10/18 15:01
生きるを切り取る[group]自由詩2*08/10/15 2:02
ソーラーパネル自由詩2*08/10/11 16:24
じつと手を見る自由詩2*08/10/10 0:16
斜路自由詩3*08/10/8 0:53
感覚器倒錯的迷走期自由詩2*08/10/7 2:41
影のない犬自由詩8*08/10/5 1:57
風を見ると懐かしい自由詩5+*08/10/3 19:34
赤児と緑児自由詩2*08/10/2 23:38
意識が飛ぶということはつまりそれだけの自由詩008/9/30 2:01
青ピラ自由詩1*08/9/28 3:20
真夜中にダンクシュート自由詩2*08/9/27 1:00

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