世界で最も美しいのは4度なのだそうだ
黄金比について熱心に研究しているという友人が
居酒屋で生ビールを飲みながら言っていた
モナリザの微笑みを温度で表せという問いに
4度と答えた人が統計の半数 ....
幼い流れ星が
きらきらと
空を走り抜けて
尻尾のおばけ


太陽の十倍の速度で
7時半の闇の中を
そろりそろり
笹船と競争するように
流れ流れていく星
真っ直ぐ進まないと
いけ ....
表情がない女性だった
人よりも植物に近い
南国よりも北国の植物
針葉樹のような鋭さはなくて
維管束には冷たい水分
いや維管束すらあるかわからない
造花のような表情をしていた

これ生き ....
汗っかきな子でねぇ
いっつも首にタオル巻いて
シャツの首元なんかすぐに
茶色くなっちゃってねぇ
ほんと汗ばっかりかいてたよ

あの子の座ってた石は
すぐにわかったな
お尻の形に濡れてて ....
風が吹いて
(そう、風が吹いて)
服が膨らんで
(白いシャツ、背中から)
頬を行き過ぎて
(少し緊張していて)
涙を誘う、何度も
(遊びにでも誘うように)

私は彼女が好きだ
(思 ....
睡眠、不足
よだれ、たれ
たまらない、ポチ公
部屋、片隅
凍る水蜜桃、嗅ぐ
月兎模様、紅色暖簾
ハサミ、刻まれ
切り絵、描かれ
暖簾、風穴
埋めてけ、隙間
切り子細工
音高く、風 ....
部長は激怒した
書類の誤植が見つかったからだ
大森専務が大林専務になっていた
すぐに部長は平社員の小林を叱りつけた
小林は木を一本加えて
森にして書類を作り直した

誤植を直すためには
 ....
時が止まると
ほんとうに
すべてが無防備
動かない、だけでなく
浮遊している
力が働いたまま
宙ぶらりんの、世界

時が動いている、とはいっても
今、は
実は何一つ動いていない
 ....
私は疲れていました
致死量の仕事を終えて
自宅に帰り着いた2時
夫は先に眠ったようです

机の上に塩むすび
豚の生姜焼き
キャベツのサラダ
豆腐とワカメのみそ汁
レンジで温めると
 ....
鍵、いれる
扉、ひらく
靴、ぬぐ
鍵、おく
髪、ほどく
服、ぬぐ
上、下、ぬぐ、ぬぐ
靴下、ぬぐ

筋、のばす
息、はく
足、すすむ
ゆれる、ゆれる
ゆれる、ゆれる
水、の ....
蝶は虚構の中で
自在に飛び回り
隙を狙い天国に
紛れ込んでいく


根の支配する地底
ないまぜの死体が
植物に甘い粘液を
いくつも咲かせる


夏の風に膨らむ帆
高すぎる ....
僕は駄目な男です
僕は今日も眠ります
夢は想像を消さないと
影すら見せないので
舵は枕任せです

枕は北風を浴びて
雪で遊ぶことに
決めたようです
一面に雪が積もります
冷気が沸き ....
シーツの滑りが良すぎて
窓辺に頭を預けられない
身体に力が入らない
部屋は底から白んでいく

ペンキのはげたベランダから
甘いクリームが弾けていく
ただの牛乳だったので
私は
生クリ ....
{引用=
振り返ってはいけない
前がわからなくなってしまう
声を出してもいけない
進んでいる事に
気付かれてしまう
前だけを見つめて
トンネルを抜けるまでは


遠くに小さく見え ....
一枚の百円玉があったなら
あなたは何をするのでしょうか

小学生のあなたは
遠足のお菓子選びに
悩むことでしょう

部活終わりのあなたなら
購買で紙パックのジュースを
買うのかもしれ ....
手ごろなプールがないと
汗でぼたぼた水溜りを作りながら
巨人は初夏に愚痴をこぼした

海なんてどうかねと
杖をお守りにしている老人は
巨人には見えているだろう河口を指差した

大きな足 ....
この頃はどうも選択物が乾かないので困る
心の窓辺、カーテンレールに
外に出せないでいる選択物がずらり

じめじめと蒸し暑い室内で
頭脳が知恵熱を出しながら文字を打つ
――愛してる好きです付 ....
白い石畳が光に溢れ
行き交う人々の顔が
白色に洗われていく

追い抜いていく
自転車から
黒髪の流れ落ちて

梔子咲き零れる側を
歩く、口無しの恋心
ため息の後に芳香

機が熟 ....
雨樋の裂け目から
私だけに降る雨がある
長方形の庭の隅
縁側から三歩進むと
雫の群れとの遊び場

傘に隠れてよく泣いた
いつも悲しいときは雨で
そのおかげで気が晴れた
傘を回して雫を ....
小さな花がたくさん咲いて
母さん、思わず泣いてしまうほど
健気で、非力なのに全力で
息を合わせて丸くなる
丸くなっているのが、また、さ

垂直な茎が正しい主張をしている
程よい距離で集ま ....
桜桃を美味いという人の気が知れない
身が小さい割には種が大きいし
小振りなスモモの甘さしかない
驚くほどに痛みやすくてすぐ腐る

果物屋で売り物にならなくなって
処分に困っていた変色した桜 ....
食器を洗う熱湯
湯気、水流弾ける音を
換気扇が吸い上げていく

じゃばざ
じゃばばばビタばば
つるるろるうう

きゅんと蛇口を締めて
前掛けを擦り上げるように
手の水分を拭き取る
 ....
ただしいことが淫らにあふれる
バケモノの住むきょういくの場
がっこうはしゃかいの縮図
誰もが自分のことしか考えない
我が身を守る我が儘のせいで
ダレモガ悪事に加担する
セイロンが押し寄せる ....
{引用=
地下の明かり取りの窓から見上げると、五月の太陽の眩しい頃に葉っぱを押しのけるように咲いていたツツジは枯れ萎み入れ代わるように(雪の頃には枯れ枝のようにツツジの植え込みから突き出していた)紫 ....
君とずっと話している
僕らの間には水たまり
いろいろ溜まっている
涙怒り汗悲しみ唾喜び不安
水の底にはくぼみがあって
深い溝に感じられるけれど
目の前のたまりはずっと
僕らの関係を深く湛 ....
温かい日と少し寒い日が
入り乱れるようになって
太陽がある間は上着が
邪魔になってくる季節
上着はすぐに荷物になる

そでがあれば心が安らぐ
薄い長そでを着続けたいと思う
いつの間にか ....
窓は私と世界をつなぐものだ
晴れの日は紋白蝶の光が注ぐ
粒々だらけの目で愛でる世界
雲は脳を冷ます高純度の白で
純白の雲は影がない密な氷だ
私は頬張りたくて口を開ける
窓が息に曇ってすぐに ....
傘までも逃げ散る月曜に
体温を奪われた透明傘
水玉越しの水溜まり
電線は交差しない方が良い

映り込む景色を真っ直ぐ走る
線、雨上がりの青い天井
別世界へ潜りたくて
足を踏み入れて拒ま ....
太陽は自信をなくしていた
孤独な夜を思い悩む
自分は何者なのか
本当に太陽のおかげで
朝が訪れているのか
タイミングが同じだけで
自分なんかいなくても
朝になるのではないか

月が世 ....
丑年の豚を目の前に
涎れを抑えきれぬぬぬ
関取並の腹の虫
残った残らぬ晩の飯

あら足元に青い鳥
モモ肉頬張りたい涎れい
骨パリパリス青い筋
焼鳥黒いなやyiゆyeよ
骨だけ白いな青 ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
ビヨンド自由詩5*08/8/1 3:45
空に星が綺麗自由詩2*08/7/29 1:17
妊婦のロボ子さん自由詩3*08/7/27 0:14
あの子のあの頃自由詩5*08/7/26 17:59
初恋自由詩1*08/7/24 23:38
ポチ公自由詩4*08/7/23 21:05
迷い森自由詩8*08/7/22 2:43
時の隙間[group]自由詩1*08/7/20 2:47
つかれてしまいました自由詩6*08/7/18 13:10
ゆれる自由詩3*08/7/14 22:05
Eastern stamp自由詩2*08/7/12 23:49
セミダブルベッド自由詩2*08/7/10 2:00
クリームシーツミルク自由詩2*08/7/9 0:07
イニシェーション自由詩3*08/7/7 2:19
コインロッカー自由詩1*08/7/6 0:27
巨人[group]自由詩3*08/7/5 2:34
生乾き[group]自由詩1*08/7/3 21:50
口無しの目覚め自由詩3*08/7/1 23:57
雨の日の庭、傘から聞く風景[group]自由詩3*08/6/29 11:48
不思議の国のアリウム自由詩3*08/6/28 0:36
桜桃忌に捕まえて自由詩7*08/6/20 1:18
ありとあらゆるあらいもの自由詩6*08/6/18 1:14
たえがたくうたわれたうた自由詩2*08/6/15 0:16
ジューン・ブラインド[group]自由詩0*08/6/12 1:27
たまり[group]自由詩2*08/6/11 23:27
半そで自由詩1*08/6/9 21:26
願わくば白い光の中を自由詩2*08/6/8 14:33
晴れ時々、愛め[group]自由詩5*08/6/4 1:16
模索する太陽自由詩0*08/5/31 20:04
ラグ自由詩008/5/27 20:17

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