白い紐
木屋 亞万

糸が風に揺れるものだと知ったのは
窓辺に垂れ下がるブラインドの
二本の紐が揺れていたから
同じ所を出発点に垂れ下がり
似たような団子の頭を持つのに
決して同じ揺れ方はしなくて
走り出す足のように交互に振れ
糸で引っ張られたように滑らかに
先から時間差を持って波を伝えていく
ブランコのように行ったり来たり
わずかに開けられた窓のすきま風に
くるくるくるんと絡まりあい
ほどけあっては走る
波が緩やかに上昇していく
細い糸であっても風を受ける
空気は誰も無視したりはしない
絡まりあったまま揺れて
波打ちながら走る
初々しい手の繋ぎ方
強すぎない遠心力が
絡まりあうことを
刺激的に繰り返す
風が止めば少し休んで
じっと寄り添ったまま
安定するのも悪くはない
等距離で沈黙を共有していく
思い出したように気まぐれに
適当に吹いている風に
好きに踊らされて二本
楽しそうに時を過ごしている


自由詩 白い紐 Copyright 木屋 亞万 2007-10-06 01:54:23
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