まだ天国にはいきたくない
油断が私を空へと打ち上げる
真っ直ぐ飛んで行く体
その姿から私は花火と名付けられた
とはいえ致命的な飛翔は数えるほどしかない


一度目
生まれ落ちた瞬間
 ....
幼い娘が川沿いを歩きます
腰に下げた袋からぽとり
ぽとりと肝油ドロップが落ちます
絵に描いたような緑色の蛇が
蛇行しながら地面をなみ縫いし
ポップな模様を描き出します

幼子が歩くたびに ....
腕が切断されていく
苦痛にゆがむ口元
ぎりぎりと捻じ曲がる針金
漏れる息に混じりこむ声
椅子に座ったまま
ぐるぐると包帯が巻かれていく
皮膚が枯葉のようにがさがさになって
白い布の上に浮 ....
漠然とした砂の続く大地
平らな線が限りなく遠くに
つなぎ合わせればおそらく丸い

砂の山の起伏もさらなる飛翔の末
なめらかな肌になるのかもしれない
女の柔い背中の上を飛んでいる

細胞 ....
{引用=「草枕旅ゆく君を愛(うつく)しみ副(たぐ)ひてぞ来し志賀(しか)の浜辺を」(万葉集 巻四566)}
或る女は旅に連れ添い
まだ若い馬にまたがりシカの浜辺へ
青々としたうつくしみの心でもっ ....
さくらのさく
みちをゆく
いつもよりあかるい
ひざしもつよい
いろはあざやか
ぬくもるからだ

つよいかぜがふいて
やわいかぜもおきて
さくらはさそわれる
どちらのかぜにのるか
 ....
 月夜の晩に森に迷い込んだ。ブリキでできた木の幹と葉っぱの上を、糸状に光が跳ねていくので、歩くだけで遊んでいる気分になった。
 月のかけらを吊るした糸を、ぶら下げながら歩く男の子と出会った。騒がしく ....
なつかしさの種が食道をくだり落ちて
心臓部の琴線に抵触した瞬間に
桜の花火がぱっと開いた
ゲル化した私が弾け飛んで
半透明の世界は天気雨の日と同じだけ輝いた
街行く人には乱反射する光でしかな ....
十億光年の彼方から
飛来した一枚の花びら
一生をかけて旅しても
たどり着かない遠い星

送られてきた切れ込みの
入った桜の花弁から
感じる宇宙の拍動

地球は丸く
銀河は楕円
さ ....
黒髪にだってひっきりなしに雨は降る
墨の中で踊る粒子が枯らした手と手の隙間
微妙な距離を詰められずにドーナツのこじんまりとした完結
温度を失ったものの粒子をかき回す電子の波のうねりのようなものの ....
湿った砂の温度
掘るほどに水が滲んで
肌で感じて頬に触れる
潮風の温い感触
乾ききれない海草の匂い
思っていたよりも
生々しい身の回りのすべて
ひりひりと目に沁みるあれこれが
頭を取 ....
あの人が舐めるナイフの冷たさを頬で感じた(栗山千明)

実感がないというより年末の実感自体実在すんの?

泣き止めば殺さずにすむ恋心みどりの魚も赤く熟した

たましいになってしまえばたまし ....
朝が来た起こそうとする君の手が震える今日も僕は死んでる

大量の雨脚が降る足音が強くなったり踊り出したり

ぼんやりとした水色の空の壁まん中にいつも僕がいること

リンリンと胸が高鳴るクリ ....
春へと旅立つ
厚い氷のトンネルを抜けるたび
金属の車輪が鶯の鳴き真似をする
繋がって泳ぐ魚は駅に出会うたび立ちどまる

雨水が硬い表皮を滑り落ちる
やさしい雨の季節だ
ちいさな水の粒子に ....
これから私は慣れないことをする。
感想文を書くのだ。
詩で、しかも中也の詩で。

中原中也の詩に「月夜の浜辺」という詩がある。教科書に載っているくらい有名な詩なので、馬鹿な私でも知っている。裏 ....
勝ち負けだけで決まることのほうが少ない
省みられる過去に絡みつく
勝敗のフェンスを潜り抜けて
思い出は形を損なわず光を放射する

勝ち負けを判断するのは誰か
私か君か親か世間かそれとも ....
拝啓

今はいつ頃だったか、暦を見なくなって久しく、曜日感覚も失くしてしまいました。俗世から切り離された場所に身を置いていると、今が何の時期なのかよくわからなくなってしまいます。身の回りの変化には ....
水さえ眠る凍てつく朝に
歩くもののいない歩道
寒さが静けさをより深く沈める

空が白んでいるのに
明るいままの街灯
信号機は気楽そうに青色を灯す

背の低い草叢に霜がおり
間接に照ら ....
君を纏って眠る(君はいない)君の気配に包まれて

君は君の家に戻って、私も私の家に戻って
異なる日常で眠るのだから

身の回りにあるものの中で、今もまだ当たり前に存在し続けているもの
(と ....
息が降りてこない
空へと昇っていったきり
呼吸が喉に引っ掛かり
上澄みだけが入れ替わる肺

足の指にたまる気だるさ
休日の果実を芯から腐らせていく
引き伸ばされた娯楽が中断するたびに
 ....
ビニールの金魚
尾はヘドロと浅い海
袖で眠るヘビの嘔吐
男と来たばかりの憂鬱だけ
さよならはブリーチで染めたのに
ワイングラスの方代わりに夕暮れと鼾が
踊ろう久しぶりの密林とバカンス
秘 ....
末広は吸い込まれて消えた、平凡の象徴として
ありとあらゆるものが末広と化した
末広がりという社会現象

末広という名前の子どもが急増し、末広に改名するものが続出した
ある調査によれば国民の ....
名前は親からの最初の贈り物
光と書いてヒカル
その名前を彼女はあまり好きではなかった

「光は周囲を照らすけれど
光が照らされることはないの
虚しい人生だと思わない?」

いつも甘いタ ....
俺は話がしたい
壇上に立って
聴衆に聞かせたいことがある
常日頃から思い募ってきたこと
ぼんやり座っている奴らに浴びせて
腑抜けた日常から目覚めさせてやる
息巻いて
照明の降り注ぐ舞台に ....
じゅういち時 しめきったへや しめったかみ しんしんと陽ざし

つめたいはずの風 さびしげにまどをたたく
あるくひとはこごえて かれはがころがるほどう
空にてんてん くもはこまかい

ガラ ....
あの方を好きになったのに
あの方のことで頭が
いっぱいになるはずなのに
私は滅びていく

恋すればするほど空になる
どうしようもなく君を思うのに
あの方は私の心にいない
あの方がわから ....
供述によるとお前は
うつくしい女と出会った
彼女は駅の階段でうずくまっていた
いくら声をかけても反応がなく
そっと肩を叩いたとき
顔をあげた女と目があった
お前はこれがほんとうの恋なのかと ....
ホッチキスでとめただけの簡単な詩集、でもそれを君は本と呼んで、束ねられた数枚の紙でしかないそれを僕に差し出すと、君は下を向いてコップについた水滴を指で撫ぜた。
何気なく開いたページには、立てこも ....
素麺はすいすい泳ぐ箸などにすくわれるとはつゆとも知らず

うつくしくやさしいひとをひとりだけわたしのそばにおいてください

虫の鳴く声がキィキィ単調に響いてさして美しく無く

今までに積み ....
試験管を試験官の尻に差し込みフラスコをステテコに押し込んで足のところを縛ります
塩酸を凄惨に撒き散らし人体模型を靭帯がもげるまで捻じ伏せます
BTB溶液をBLTバーガに流し込み胃液で溶かします
 ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
バンジージャンプを1階から自由詩5*13/6/8 14:24
天使は川辺にて自由詩3*13/5/27 23:13
まぼろし自由詩2*13/5/26 18:59
自由詩5*13/4/20 19:06
うつくしみの うつつ自由詩4*13/4/13 17:55
桜の散った街を往く自由詩1*13/4/6 20:27
ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法散文(批評 ...3*13/4/1 0:15
ゆくえ自由詩3*13/3/23 15:38
小宇宙から流れくる自由詩4*13/3/9 13:55
コーラの泡が弾けてる自由詩4*13/3/2 0:28
涙の落ちるところ自由詩7*13/2/16 0:10
桃色の泡を吐き出す世界ではみどりの魚も赤く熟した短歌3*13/2/11 0:09
これからはあの子を探し続けるよ見つからなければ独りで死ぬさ短歌0*13/2/10 23:14
各駅停車で、春に向かう自由詩5*13/2/9 16:09
【HHM参加作品】エロい詩(感想文と妄らな空想)散文(批評 ...4*13/1/27 18:48
スピンアトップ自由詩4*13/1/21 0:38
書こうとしたことを忘れてしまって自由詩4*13/1/13 0:43
冬の眠り自由詩2*13/1/12 23:42
I love you自由詩3*13/1/5 0:33
息蛇魂夢自由詩3*13/1/2 0:40
去りゆくものたち、生まれくるものたち自由詩4*13/1/1 1:01
末広がり自由詩3*12/12/30 0:12
光について自由詩3*12/12/24 12:40
私語硬直自由詩2*12/12/23 19:21
やさしいうた自由詩3*12/12/22 0:05
滅私方向自由詩1*12/12/15 18:08
供述によるとお前は……自由詩5*12/12/1 17:26
ホッチキスでとめただけの簡単な詩集、でもそれを君は本と呼んで自由詩10*12/11/23 9:08
不整脈絡[group]短歌2*12/11/11 13:38
実験室    です。自由詩3*12/11/10 15:45

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