君と僕とが向かい合って手を繋いで
綺麗な楕円を作る時に
手の中には2人だけの空間ができる
実体同士では合体できない僕らの
空気を媒介にした融合
でも1日3回の食事の度に
手を取り合っては見 ....
たっぷり雨が降ると
地球が泡立ちやすくなる
足がスポンジを踏むたびに
虹色の玉が踊り出る

包み込む優しい隙間に
母なる手の香りがある
清潔な臭いに落ち着いて
久々に限界まで息を吸う
 ....
悪魔を見た
安いビニルの身体で
人の空虚を食っていた

記憶は物質だかんの
食えるんじゃ
塩気やら辛味のある
辛気臭えのが美味え

長すぎる手を
折り曲げて立ち
瞳は大きいが細め ....
もう春なのか
私は暁を覚えていない
布団の底はじんわり温かく
一夜の体温の溜まり場

冬の朝はまだ寒くて
張り詰めた明星の氷が
体温で溶けてしまいそう
私が眠っていることで
誰の邪魔 ....
新しい年の最初の日
朝起きたら羽根が生えている
きっと人間の進化した姿なのだ

翼を広げて大空を飛び回っている
きっと気持ちいいのだろう
高度の維持に必死でよくわからない
俯瞰する町は青 ....
空から硫酸の降る日
傘は斑に溶けていく
大仏は涙を流し
瓦屋根に湯気が舞う

雲はどこからともなく
地の表面を覆い尽くす
気圧の低い雲の群れが
灰と煙に燻される

拭けば傷つく硝子 ....
経験のない事を書くべきでない
本当に理解していないものを
書いてはいけない
書けるはずがない
と思うから
経験と理解の引き出しを探ってみる

実際に体験してきた事など
人より少ないくら ....
風が通り抜ける
身体を行き過ぎる
遠く西の方からやってきた
少し乾いて冷たくなっている
涙も雪も枯れてしまう
心臓を破く坂を越えて

壁のまえ足踏みするようにつむじ風
落ち葉を浮かべて ....
今年も終わりましたねと
トナカイは角を外しながら言う
雪と埃を落としながら
布をぐるりくるりと巻き付け
元の通りビニール袋に入れる
黒く細長いケースを開け
赤い柔らかな型に嵌め込む
今年 ....
パイを焼き上げた
外はこんがりたぬきいろ
中は湿ったきつねいろ
眺めて味を想像する時
食べてる時より良い顔
眼には優しさの炎
口元は甘い微笑み
恍惚に濡れた午後
煙を立てないオ ....
飛行機はスランプだった
最近どうも離陸が上手くいかない
Uターンして少しずつ速度を上げて
真っ直ぐに走りぬけて
いざ浮かん
さあ今こそ
ほら
気ばかりが
浮いて沈んで抜けていく

 ....
 僕はロボット。少しでも君の人生が豊かになればと未来から送り込まれた、ロボット。君が大人になるまでという約束だったから。僕はもう君の前から消えなければならない。君のためならヒマラヤに咲く青い花を摘んで .... 私が私を感じなければ
ここには誰がいることになるのか
体内には一人分の意志しかない
自分で自分に触れるとき
誰かの手が触れるときのように
鼓動が跳ねることは無い

手が叩く音は
壁を越 ....
私を
慰めて

未亡人は
うつむき加減に
黒い手袋を見る
墓石には
微かに生命力を残した
花が零れている

息は
震えて

地面の染みは
誰のもの
何が滴り落ちて
濡ら ....
線路が2本ある
上りと下りの電車が
すれ違う場所がある
鉄骨の狭間
砕石の中
ひび割れた
コンクリートに
根を張る
一本の花が
風に巻き込まれて
揺れている


電車はすれ違 ....
ここに線路がある
砕石が敷かれ
枕木が均等に並び
二本の金属が延びる
電気もあるのに
走る物がない
ただ線路があるだけ

男が一人
石を撒いて木を置いて
二本の線を固定する
誰か ....
夜に開く
ドラゴンフラワー
神秘的な誕生の儀式
月下美人は
二日は咲かない

花三つ
煮こんで食べた
蕾漬物
枝天麩羅
果実はまだか
ヒトつきかかる

龍がごとき
実は眼の ....
シルバーキャットは元気が無い
どうしたどうした虚ろな目をして
どこか遠くを見ているところか
何か飲む物でも欲しいのか

生きてる風に見えなくて
池に沈めて斜め切り
水が揚がれば元気も出る ....
電話を鳴らしても出てこない
呼べど叫べど来ない風景
あの景色を見たい
写真より広く範囲を捉え
動画より物を捨象する
この目で構築された世界を
浴びながら景観を走りたい

電線が感覚だけ ....
文字が独自性を持って叫ぶためには
一体何が必要なのだろう

あいうえおだろうが
藍植え男だろうが
愛飢え雄だろうが
音は全く同じなのだ

五十音の中で五本の指に入るのは
あいうえお
 ....
眼は空を見ない
虹彩は青色で
真ん中に瞳孔
ぽっかりと

水晶体は写さない
紫外を遮断し
屈折した流れを
じっとりと

視神経は読まない
走る刺激を
新鮮なうちに
さっぱりと ....
あの方の肘にある小さな貝殻は
古傷特有の湿り気を持っていて
滑らかな光が淡いピンクに色付いている

後ろから抱え込む時に我が左手は
決まって彼女の右肘に触れる
幼い頃に負ったすり傷の残る手 ....
言葉で嘘をついても
言葉に嘘はつかない
言葉は嘘から生まれ
言葉が嘘を産みだす

言葉を嘘だと認めた時に
言葉と嘘は切り離される
ある空き地の前を通ると
泣き叫んでしまいそうになる
通い慣れて遊び倒した家を思い出して

我が家より我が家だった

主を失った家は売られ
しばらくして潰された
ショベルカーがガリばりと ....
マーガレットの花の綺麗さを
1ハナハナとするならば
君のかわいさは80ハナハナくらいだろうか

君は僕のことを好き嫌い好き嫌い好き
占って嫌いで終わってしまうと
40ヘナヘナで芯をくるくる ....
原形を留めたままで喰う
残酷さが消えないうちに
生きていたものを殺して
口に放り込んだ事実を
背後に捨ててしまわないために

出会わなければ生きていられた
腹の中の栄養素たちは
かつて ....
すきすぎたんだ私
飢えたノドから浮き出た舌は
裂けてまたさけて裂けて
枝分かれた舌を折るように握り締めて
獲物に襲いかかろうか
果実をもぎ取ってやろうか


はりつめていく胃とは裏腹に ....
彼は椅子を畳むのが上手かった
足を器用に動かして
瞬く間に畳んでしまう
八脚のパイプ椅子を分けて
両脇に抱えるようにして
収納スペースへと収めていく


彼は日々を畳むことに長けていた ....
泣くな屍
乾き始めたその目の変わりに
俺が大きな涙を流してやる

お前は遺体
もう人ではない
身体の機能に欠陥などなくとも
脳に損傷などなくとも
動かす何かが抜け落ちた

冷たくな ....
地面を速く走れる鳥は飛べないものだ
海深く潜れる鳥も飛べないものだ
蒸し暑い地べたにへばり付き走り回る
身を切る寒さの水中を泳ぎまわる


空を飛ぶことは辛いものだ
毎日がボクサーの ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
一心異体自由詩008/1/17 0:41
洗脈[group]自由詩008/1/13 0:28
悪魔はできるならば嫌われたくなかった自由詩2*08/1/10 1:40
遺された朝自由詩1*08/1/7 0:42
進化する自由詩2*08/1/6 1:04
サンセーウ[group]自由詩008/1/5 0:05
鉛筆を回す時自由詩008/1/2 22:45
赤い風船自由詩0*07/12/31 12:40
アフター25自由詩2*07/12/26 21:56
パイ自由詩1*07/12/11 23:06
ジェットスランプ自由詩1*07/12/4 0:18
彼は別れ、変われる。散文(批評 ...0+*07/12/1 0:46
君想うゆえに君あり自由詩0*07/11/28 23:55
クリスマスローズ自由詩1*07/11/25 1:24
路傍自由詩0*07/11/24 0:22
線路自由詩1*07/11/23 0:17
どらごんふるうつ自由詩0*07/11/18 12:34
SILVER CAT自由詩0*07/11/13 0:02
自由詩2*07/11/11 1:19
あいうえお自由詩1*07/11/7 0:01
めんたま自由詩007/11/2 23:40
真珠自由詩007/11/1 23:55
自由詩1*07/10/25 19:26
背高泡立草自由詩1*07/10/23 23:51
ハナハナ自由詩1*07/10/18 23:15
どうぶつ自由詩0*07/10/15 1:06
すきすぎた自由詩0*07/10/13 23:31
椅子畳職人自由詩2*07/10/12 1:14
相棒自由詩1*07/10/11 0:03
死鳥自由詩0+*07/10/10 0:32

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