永遠
木屋 亞万

明けない夜はないけれど
夜しか知らない人がいたら
永遠の夜は存在する

夜に生まれて
明ける前に死ぬか
夜しか目覚めないで
朝を見ずに死ぬか
したらば

夜は永遠となる
永遠が遠く長いものとは限らない

止まない雨は無いけれど
雨だけを過ごした人がいたら
雨は永遠に降り続けることになる

雨の中で生まれ
雨のまま消える
太陽と出会うことなく
雲越しに気配のみを感じて

雨が永遠となる
人生という器の中でしか
永遠を感じることができないからだ

誰かにとって雲を追い続けた老人は
永遠に雲を追った老人
誰かにとって海に向かい続けた女は
永遠に海と共にいた女

永遠に人を愛する事は魂の限り
愛し続けることであり
一生愛することより
遥かに深く難しいことである

永遠に愛するということは
夜明けとも雨上がりとも言うべき恋の終わりを
命の終わりより後に迎えるということだからだ



自由詩 永遠 Copyright 木屋 亞万 2007-08-26 23:48:23
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象徴は雨