仕事を終えて部屋に戻ると
  ベッドの上に死人が載っかっていたのだが
  その耳朶があまりに綺麗だったので
  ぺりりと剥がして自分のと取り替えた



  ワイングラスを揺 ....
  寒いときはストーブのかわり
  暑いときには
  砂浜と風鈴のかわり
  あなたがいれば



  うれしいときは歌のかわり
  かなしいときには
  ぼくの心とから ....
  黒い
  八肢を載せた
  白さが
  恰も肌だ



  呼ぶな、
  呼ぶな。
  肌は、
  危うさの面だ



  息を
  潜らせ、
  探ってい ....
  馬鹿と呼ばれて
  夫は酒瓶を叩きつけ
  妻はヒステリックに叫んだ



  馬鹿と呼ばれて
  有名人は会見を開き
  一般人は参考書を買いに走った



   ....
  身構えないで
  かなしみは空のように
  僕たちとともにある
  あるときは透明に
  あるときは責めるように



  手放さないで
  よろこびは風船のように
  ....
  実りすぎたのだろう
  夕暮れ
  ぼたぼたと光は落下し
  夏の川に
  鈍く奏でられる



  水は鳴り
  子等も響く
  夏の川は
  ひとつなぎの譜面とな ....
  いつも想っているよ
  きみは可愛いから
  宇宙がきみをつかまえて
  さらってゆくんじゃないかって
  今日も会えたね
  おかえり



  じつは妬んでいるよ
 ....
  なまえをつけようね
  あなたの
  たましいに届くように
  大声で伝えるね
  きっと
  忘れないでね



  なまえをつけようね
  しだいに
  それは漢 ....
  歩きたい
  ひとつひとつ
  言葉を知っていきたい
  赤ん坊はいつか子どもになった



  遊びたい
  唄いながら
  どこまでも駆けていきたい
  子どもはい ....
  ある日の授業で先生が言った
  宇宙を暗唱してください



  興奮したように
  エントロピーやら引力やら
  べらべらと捲くしたてた委員長は
  廊下に立たされた
 ....
  嫌い、
  それは速い。
  あっという間に届くから
  いつも取りもどせないんだ
  嫌い、
  それはウサギ。
  いじわるなウサギ。



  好き、
  それ ....
  そのとき
  歌うのをやめていた
  いっせいに
  目蓋も
  胸に泡立つ
  つたない血球も
  もう歌うのをやめていた
  きみが
  心をこめて笑ったとき


 ....
  新緑の木々と風が
  奪い合うように睦み合うそばで
  夕暮れの光とあなたが
  隔て合うように惹き合っている



  もしも生まれ変わることができたら
  同じ時に同じ ....
  夏の朝の
  コインランドリー
  放りこんで座る
  わたしと
  あなた



  何だろう
  あなたは笑って話している
  わたしは
  聞いていない

 ....
  仕事をおえ
  歩む家路の安らかさ
  大切な人とともに食べる
  白米のしぜんな旨さ



  簡単に愛してよ
  行間にひそませた
  なんやかんやはいらない

 ....
1.社会


  職場に社会があり
  学校に社会がある
  家庭に
  託児所に
  公園に社会がある

{引用= 夕餉の時間
 うつろなサイレンとともに
 社会の ....
  恋に落ちる
  わたしが落ちる
  瞳が
  胸が
  たましいが落ちる



  小石のように
  みずうみに落ちる
  透きとおっている
  水草もゆれる
   ....
  夕暮れの教室に
  ぼくたちは産み落とされた
  生きてゆくことは
  いつ終わるとも知れぬ居残り
  帰る家もなく
  子どものころ
  教科書をひらくと
  とうめいな雲が立ちのぼり
  そこだけに雨をふらせた



  教科書はいつも
  本のかたちをしていなかった
  どこをひらけば ....
  未来のような
  だだっぴろい草原で
  詩を読んでくれたのは誰だっただろう



  幸福のような
  雨が降っていたのはどこだっただろう
  なにからなにまで
  や ....
  初夏、
  一日が終わるころ
  本を読む



  人が死ぬ
  ふとしたとき
  自分以外の人が死ぬ



  心は、
  陳腐だ。



  そう呟 ....
  大気が
  産卵している
  (だれの子?)



  繁殖する
  七月
  七月、
  七月……
  (幾つも、
   尊い。)



  夏の
  膜
   ....
  余計な話ばかり
  聞いて
  喋って、
  つかれてしまったよ



  関係ない
  関係ない
  椅子と
  ブランケットをたのむよ
  飲みものはいい

 ....
  きみは一篇の詩
  ただひとつ
  この星にうまれた
  かけがえのない一篇の詩



  時間は目眩めくリズム
  若さに弾み
  老いて穏やかな
  飽きることのな ....
  世界があまりに苦すぎるので
  曇り日の朝
  空を飛んでいた
  歌を
  菜箸で奪った
  噛みしめたそれは
  {ルビ土塊=つちくれ}の味がした
  それっぽい朝に
  それっぽく目覚めた
  鏡に映るのはうんざりするほど
  それっぽい僕だ



  午前はそれっぽい本を読んだ
  正午に池袋へ出て
  君とデートを ....
 {引用=CHAGE&ASKA「SAY YES」への返歌}

  余計なものなど無いよね
  ……っていうか
  何もないよね
  仕事やめて
  ミュージシャン目指すとか
  何?
 ....
  山道の途中
  荒れた道の真ん中に
  母が落ちていた
  僕はそれをリュックに詰めた



  川に至り
  清水で口を漱いでいると
  父が流れてきた
  僕はそれ ....
  月だ、光だ。
  ここには、
  二人だ。



  何故だ?
  ありもしない壁があった。
  ふぞろいに静止した。
  ここには二人だ。
  腕だ、乳房だ、
  引力 ....
  昔々、
  真昼の公園で
  だれよりも巧みに
  おままごとをしてみせた
  きみが主婦で
  ぼくが会社員で



  時は今、
  少し違うのは
  きみもぼく ....
草野春心(1149)
タイトル カテゴリ Point 日付
死人自由詩211/7/11 16:25
かわり自由詩411/7/10 17:17
蜘蛛自由詩011/7/9 12:05
馬鹿と呼ばれて自由詩1*11/7/6 18:18
空と風船自由詩2*11/7/5 16:04
夏の川自由詩4*11/7/4 18:03
おかえり自由詩1*11/7/3 23:41
たましいのなまえ自由詩5*11/7/2 23:39
願い[group]自由詩3*11/6/30 18:40
自由詩7*11/6/29 18:40
ウサギとカメ[group]自由詩1*11/6/28 18:34
休符[group]自由詩3*11/6/28 12:33
転生自由詩5*11/6/27 18:38
コインランドリー[group]自由詩311/6/26 13:34
かんたんに自由詩6*11/6/26 9:22
思想シーソー自由詩711/6/25 10:18
みずうみ[group]自由詩411/6/24 18:32
居残り自由詩3*11/6/23 17:51
教科書自由詩211/6/23 17:33
喪失[group]自由詩411/6/22 23:27
本を読む自由詩011/6/22 17:33
夏の卵自由詩211/6/22 17:27
銃声自由詩5*11/6/21 18:32
世界はきみの歌自由詩4*11/6/20 18:32
曇り日の朝自由詩4*11/6/19 18:13
それっぽい一日自由詩4+*11/6/18 17:07
SAY NO自由詩1*11/6/18 8:17
山道自由詩311/6/17 17:33
放置自転車自由詩4*11/6/16 16:42
おままごと自由詩5*11/6/15 18:12

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