あなたと住んだあの街を
今日久しぶりに訪れてきたよ
駅の改札でスイカが使えるようになっていて
なんだか不釣り合いな感じがした
私が働いていたビデオ屋さんが
つぶれていて驚いた
ほかにもいろ ....
写真にうつっている僕は

満面の笑みでカメラを見つめていた

でもそれは過去の遺物

その写真にライターで火をつけて

灰皿になげすてる

今なら言えることは

昨日は言えなか ....
たっぷりの熱湯の中に
捨て台詞を少々加えて
マカロニを入れる

いつまでも未練がましく
くっつかないように
十分注意しながら
再び立ち直れるまで
何回か掻き混ぜる

アルデンテ ....
迸る鮮血がブーゲンヴィリアの赤になり
夏の陽だまりが向日葵の黄を匂わせている。
それと喚かなくとも
存在自体がある色調を帯びているような
そんな確かな色が僕にはない。
微かに茫洋と滲んでいる ....
晴れた日の自転車は
ちりちりと
陽射しが痛くて
風を切ると
明るいシャツに羽虫のシミがぽつり
白や黄色の
果実の予感を湛えた花は
土埃の上で
清しく開き
匂いを放つでもなく
た ....
まだやわらかに
すこし濡れた髪のうねりも
正確に笑えない口元も
プレミアムカルピスも
だいじにしてね
あなたをかたちづくるもの

やすらかさと
いっぱいの情熱でもって
あなたがすきだ ....
耳を澄まそう
日が翳り
灰色の雲が天蓋を覆う
低く垂れ込めて
最初の一言を

ポツリ



耳を澄まそう
これは
幾千億の雨粒が語る物語
その一粒一粒が ....
やがて雨が降るというとき

そんなとき
一度終れたらいいな、と思う。

魚になりたがっていたからといって
皆が皆、
魚になれるわけじゃない

でも、それでも充分

幸せそうだった ....
無印で働いてるような彼氏がほしい

英語がもっとしゃべれるようになりたい


体の仕組みを詳しく知りたい


もっとスラッとしてたらいいのに


全部全部ないものねだり。足りない ....
帰ろうかな
そう思った
一瞬を幾度か
ちらして!

5月
空は氷を溶かした青で
お花のジェット
バウンド・フォー・トーキョー
千歳の上空から苫小牧
育った家を見下ろした

掘り ....
あれがやってくる

あれの足音が聞こえると心が乱される
あれの姿を目にしてしまうと頭が煙る
あれはひどく美しい
あれはひどく醜い

あれはなかなかに有名なようで
あれを有名にさせたあれ ....
慌ただしい朝
出勤前に身だしなみを整えていたら
妻から声がかかる

 バァチャンガナクナッタ

僕らの結婚当初からお世話になっていた
九州から出てきた妻は母親代りに慕っていた
おばあち ....
私はおんな
毎日のお天気が気になる
紫外線にお洗濯
毎日のお天気とも闘う


私はおんな
キラキラしたものが大好き
可愛いものも大好き
だから自分が一番好きで
一番嫌い


 ....
手を引かれ歩く。
懐かしい匂いのする君
その面影は記憶の水底
私が潜水夫になって強く握り返すと
つないだ手には水たまりができて
空の色を映す。


薄暗い緑の茂みの奥までくると
 ....
ゆっくりと、撫でてゆく
背中から本能までの
または、今日から命果てるまでの
測れない距離を、あの人の言葉は
簡単に届いて、そして、
明日に色を書き足してゆく


友情、と言っていた
 ....
あなたが先に眠るのならば、
あたしはその吐息で眠りにつきましょう
背中会わせた粒に分け入り
壊さぬように水を汲み上げるため
細く柔らかい根が
灯りもつけず 土を進む

折られる季節
軽い音先に連れ去られる
綺麗なところを
好いて微笑む指

見知ら ....
マニラでの仕事は十分で終わった
事務所に顔を出しただけで終わらせたのだ
日本の社長の心ない言動で
まったくやる気を失っていた
まあ自分で指示を出しておいて
途中で梯子をはずしてきたということ ....
砂浜に続く小さな花に
潮風が囁けば


あの日の
僕らのはしゃぐ声が

遠く、

残響していて




ふいに、

よせる波が
すべてを打ち消した

 ....
音楽は止まない
それは
人々の指先から溢れるものであることを
私/あるいは、あなたが
知っているからだ

そうして
その熱に触れる度
私/あなたは
それが
ありふれてい ....
はつかみる
ほころびさける
言の葉の
うらがれとはず
あをきをいのらむ

I could never be what you need
(譬え、始まりを告げたとしても)

たまゆらの ....
夜桜がきらびやかに

うすい光のなかで

景色を染めていた

咲くから散るのか

散るから咲くのか

いずれにして儚い物は

うつくしかった

爪先立ちした兎は

背伸 ....
海岸からは海岸が見えなくて
これでは砂漠と同じです、あなた
水があるだけよ
ただ水があるだけの砂漠よ

遥か 第五感界の外の霧を掴むには
衰弱するのがよいと聞きました
あちらこちらに船を ....
眠れないまま過ぎてゆく
夜明けとともに
境界線の不在を知る
そのために

昼を住処としたわたしは
眠らない深海のさかな
見えないものは無いわけじゃない
何度もなんども、ただ気付く
深 ....
どんなにダメダメでも
ダメじゃないよ。大丈夫だよ。そんな日もあるよって言ってくれる。

ありがとう。そばにいてくれて良かった。大好きなんだな。
キミのあいさつは
風が頬をなでるみたいで

キミの哀しい歌は
心の奥で優しく響いて

キミの世界には
朝露のひとしずくにも光があふれてた

風がやんで
歌もやんで
静まり ....
まだ遠い夏を
まだ梅雨さえ来ない5月の空に描いて
貴女は揃えて広げた掌に息をかけ
ふうっと、飛ばす

果てしない宇宙の
一番身近な部分を
少しだけ切り取って描いた世界は
たんぽぽと
ラベンダー
 ....
すうっと堕ちていくような感覚と
鈍いしびれがあるという
それでいて苦痛ではないらしい

幼なじみのあの子も
隣の席の委員長も
さらにはわたしのママまで
患ったことがあるらしい

大人 ....
テレビドラマを見ていたら
あまりにもつまらなくて
消してしまった


今までの人生を見ていたら
あまりにもつまらなくて
自殺してしまった


***


そんな彼女の
ラス ....
僕は許せないでいる
そのことに執着している
それは精神的にも肉体的にも
道徳的にも絶対によくないことなのに
そこから抜け出せないでいるのだ

じぶんがどう見られているのか
そんなことに価 ....
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