にびいろの声紋(六)
信天翁

      町並みが息を潜めているのに
   プロムナードは息を吹き返している

    空がセレナードを奏でているのに
      海はレクイエムを歌っている

   風が雑木林へ愚痴を吐いているのに
      光は庭木へウインクしている

    箒星がクロノスを黙殺してるのに
     明星はカイロスを黙示している

   あゝ こごえている四次元の裏側で
    またたいているものはなんだろう

       ─わたしは飲み込んでいた
のど仏に貼りついたひとかたまりの唾液を


自由詩 にびいろの声紋(六) Copyright 信天翁 2007-07-08 19:07:58
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