すべてのおすすめ
たいせつなひとが死んだ
死ぬのは
だれだってあたりきなのに
こんなに悲しみで
ざわついているのはなぜ
死がふしぎなわけでもないのに
別れることは
だれだってあ ....
電車がトンネルに入ると
車窓が黒い鏡になってしまった
深海の底をたどるように
てのひらをあたためる
ぼくは世界を見つめている
こころの闇なんか信じていない
ぼく ....
それはあなたですか
{引用= いいえ、それは麦藁帽です
それはかぶることができます
それは夏の人々に好まれています
いいえ、それはすみれです
....
わたしは
自慰をして
足らずに
よくしらない男を
呼び出して
抱かれる
さいきんのモーテルは
清潔であかるいし
窓だってある
そうして
そこを出た足で
花を買いに ....
かあさんのあいしてるは
おつきさまみたい
やさしくつつんでくれるから
こんやもぐっすり
とうさんのあいしてるは
とうさんのせなかみたい
しんぶん ....
{引用=
ぼくがぬぐえたはずのなみだで
かみさまのいちびょうをかう
どうせ
あなたはむげんのときがあるのだから
ぼくがぬぐえたはずのなみだをぜんぶ
さしだすかわりに
かみ ....
雨は
縦からやってくるのに
雨のにおいは
横からやってくる
ボブ・ディランが
教えてくれた
「Blowin' in the wind」
その答えは
風に吹かれているだろう
雨 ....
その箱のなかには夢が溢れていた
幌馬車に乗っていたり
早馬にまたがり二挺拳銃は火を噴いて
またあるときは電話ボックスから秘密基地へと飛び込めば
誰もが海の向こうの豊かさに憧れた
....
汗が光ったのを察知して
君は一生懸命 左手で扇いでくれる
クエン酸の入ったドリンクを一気に流しこむ
その立ち姿を横目に
また夏が来たネ!と
笑いながらハンカチを渡す 麦わら帽の君
人形を捨てようとしている人に出会った
少し古めかしいフランス人形だけど
愛くるしい表情をしていた
捨てるのなら 私にください
と お願いしたら
いえ 収集車に放り込まれるま ....
歌ってはいけないことは
ひとつもなかった
嬉しければ笑えばいい
悲しければ机に突っ伏し
歌ってはいけないことは
どこにもなかった
愛しければ ....
月の光に飽きてしまい
深く眠りにつくと
君が
僕の手を切断し
それを使って一篇の詩を書いた
朝、
それは元通りに
手首にくっついている ....
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす
ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
働いて
働いて
四角い紙と
円い金属
立ちっぱなし
犬が過ぎる
犬が嗤う
中也の
失くした椅子
生きっぱなし
....
八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか
昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
他にやり方はあったはずなのに
言葉でもよかったのに
きみは{ルビ擁=いだ}くことを選んだ
他に道はあったはずなのに
きみの肩ごしに
山並みは夕日に ....
きみのうしろに
きみが見える
脱ぎ捨てたシャツのようにさりげなく
きみのうしろに
きみの母や父が見える
ひっそりとしたブランコや
いくつもの ....
洗い桶に沈んだ
果物ナイフで
指を
つうっと切ったような
昨日の サヨナラ
犬猫とは違うことぐらい
判っているよ
※
でもね
薄汚れた服でサンダル引き摺ってた女の子
大切にしてもらっているのかな
パートのお母さんと
いつも家でタバコ吸っている男の ....
歌よ、
さようなら。
みずみずしい言葉の列を
かつてはわたしに注ぎ込んでくれた
歌よ、さようなら
これでおしまい。
わたしよ、
さよう ....
「きっぱり」
という名前を
つけたい朝
痛いほどの勇気が
背中を押す
僕が死んだときには
僕のペニスを切り取っちゃってくれ
抽斗に
ナイフを入れておくから
残りの部分は燃やしちゃってくれ
僕が死んだときには
僕 ....
泥が沈むのを待って
上の澄んだ水だけを飲むことができます
時間がないんだと言われたら
濁った水を飲むことくらい
もちろん できますとも
ヒール高7センチの
先のとがった靴を履いて走るこ ....
今日に限って 折傘忘れてスコール
タバコ屋の小さな軒先で身を寄せながら
雨粒を指で拾い 掌で{ルビ弄=もてあそ}んだ
店奥のシャイな婆さんは
アガリっぱなしの{ルビ緞帳=どんちょう}が下り ....
祖母の家で
祖母と話す
昔ながらの広い居間
たっぷりの朝日が射しこんでいる
通っている盆栽教室のことを
嬉々として話す
新しく入った若い女の ....
{画像=110721225828.jpg}
鯨にある指先(地上)の記憶のように
人間にも忘れてしまった記憶がある
それはsora(翼)の記憶
身体の奥にある翼(骨)の記憶を頼りに
背 ....
君は机に向かう
ボールペンを握る
罫線の上に
言葉を置いてゆく
それは君の決めた枠
君の胸の奥で
何か切実なものが発熱している
窓の外 ....
果実
という言葉を胸に抱いて眠った
眠りのなかでわたしは一匹の鮭だった
寡黙に
川を遡上する
ほんの小さなものだった
朝がきて目 ....
俺達のことを誰も知らない
俺達は誰よりも弱い
俺が蹴っているこれよりも弱い
生きているか死んでいるかはどうでもいい
他人なら尚のこと
俺達は過呼吸すぎる
もっとひっそりと静かに佇むべき ....
寄る辺なく
君を想うことなかれ
寄る辺なく
君に恋することなかれ
朝露零れて
透いた柔肌の朝顔
吐息に揉まれし
けふ
文月小暑
忘れがたき
夕でるまでの
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50