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わがままで
おろかだった
あの子のこと
ほんとうなら
愛したかったな。
でも
できなかったから
腕も
細すぎたし
すこし
まるくなって
遠くなった
あの子のこと
....
野鳥のさえずりも途絶えたまま
モンスーンだけが闊歩している
年間 喪中の街並みがある
だが 木魚のひびきは まるでない
私はあなたのママじゃないの
と、
言っていた君の
うるんだ、真冬の
瞳に映ることはもう
かなうことはないと、何度
知らされていても、もう
....
額縁が
絵の一部かどうか
ピカソに問えば
立体がどうのこうの
つまり
分析すればわかるらしい
見れば
平面じゃないか
世界は
あのように三次元だと
定義づけるならば
映画館で流行 ....
冬の浜辺の
一本の髪の毛を
さびしさ
と、読んだあなたの
ほんとうの名や
構成物などを
とんと知らぬぼくを、
つぎの光が
....
差し障りのない罪を
いくつも背負い込んで
眉の間に深い縦皺を寄せて
のうのうと生き長らえてきた
脱ぎ捨ててもいいような昨日を
ご丁寧にたたみ込んで
誰が見てもわかるように
不幸の ....
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だか ....
この波は揺りかご
君を包み込み 夢の中で休ませる
僕は岸辺に立ち
なすすべもなく垂らした指に 潮風は冷たい
波を泡立てながら 光と影を掻き混ぜるモンスーン
全てを飲み込み なお満たされるこ ....
{画像=110927215321.jpg}
(扉絵:雨傘をさしてニッコリ笑うボクのアップ)
(絵?:雨傘をさして飛び出して行くボク。地面には大きな水溜り。)
雨降り
お迎え ....
なにも言ってなかったけど
おりたたんだ夜をポッケから出して
さあこれからはひとりで生きていくんだよ
と
目は
そんなふうに
そんなふうに
記憶もだんだん
おりたたまれて
現住所に越して早4年
アシナガバチと共存して早4年
越して一ヶ月目に
換気扇から進入してきた時には
家中大騒ぎだったけど
今では お互いに干渉しない!ってことで
良い距離 ....
二子玉ライズの空中歩道は
向かいの広大な更地へ伸びるらしいが
この世界不況下
行き先の着工が遅れに遅れて伸び悩み
曇天の早朝
工事途中の突端には
長い銀髪の天使がしゃがんでいる
....
手持ち無沙汰に見上げれば夏のような雲の動きと
山すそは無残に切り開かれ
ひとの忌み嫌うものの一切合財を
そのはらわたに黙して受け入れているのか
それとも受け入れざるを得なかったのか
....
ヒグラシの虫かごを片付けながら
また来ますよ と夏が言ったので
私は わかってますよ と返した
入道雲と夕立も出ていくみたい
いつも 夏は勝手にやってきて
小さい 秋を残して ....
{引用= 夕暮れ近くになると
老いた女がアスファルトに
一つの箱を置きにくる
ただの箱だ
ダンボールでできた、薄暗いだけの
小さな箱
それを置くと女はきび ....
{引用=
しろやぎさんからおてがみついた
くろやぎさんたらよまずにたべた
}
::
不穏な空気に包まれた景色を見ていた
不安があちこちに転がっている
ひとつの石の周 ....
きゅっとひねって
ぐいと飲み干す
なんでもないことのように
そうできたらいいのに
あこがれと崇拝が
近づけて遠ざけるから
私はどんどん小さくなって
ペットボトルの首飾りになって
た ....
たった1年で
大人になった猫は
春には泡立つ光の匂いを
丹念に嗅ぎ回りながら
ひとつ歳をとり
夏には風呂場のタイルの上に
長々と寝そべりながら
ひとつ歳をとり
秋にはふ ....
高校生の頃(かなり昔)
FMから流れてきた(エアチェックしていた)
軽妙な音楽(イントロでやられた)
ルー・リードの歌声(好きな歌声)
メロディを崩していない(笑)
セプ ....
咲いたあとのしなびたアサガオ
ひらひらとゆれる紫のスカート
ただ今はパンをたべる
わたしは夜が明けたのでたべる
すー とする空気
誰かのたんじょうび
そのことばのままに
手を ....
高い山の上にある洞窟の中
さかさまに本を開いて
愛しいあの子の為に記号を探す
手紙を綴るために
相応しい記号を贈りたいのに
不味くて吐き出してしまったり
美味しくて食べ過ぎてしまったり ....
幾世紀もの家族がつながった半島の先端
岬はいつもそこにあって
空と海の高さを測り
見知らぬ明日の水平線を描いてきた
海を渉る鳥たちのために
半島に帰る人びとのために
灯りの落ちた ....
君がまだ小さい頃
仕事が一段落すると
すこし秋めいた アスファルトを歩いたっけ
まだ うまく喋れない君の
小さな手を引きながら
やっと歩くことのできる君にあわせ
二人で歩いていた
あたり ....
{引用= 精液が夜に喪い、形のようなものを、
鮮やかさに押し込めるために、闇を乳白
にしてゆく、スローに叩かれるエンター
キー、ポットで黙るコーヒー、まだ幼い、
少 ....
止まっている
と言われた
アルバムの狭間で色褪せていく夕日だ
と言われた
食べかけたパスタの山麓で
僕は唇を噛み締めた
進め!
滞っている
と言われた
だまし絵の ....
うそでも
すきだと
いわなかったことが
わたしのおおきな
足かせになり
あなたは
いまや
かるがると
海のうえをとんでいる
その白い線の上に
立っててね
このへんに
ぼくも立ってるから
ちょっと遠いと
近寄りたくなるし
「やあ!」
と言えば「あ!」と
返してほしくなる
だからその白い線の上に
....
彼岸花が咲く
ある日突然咲いている
地獄の手紙みたいだ
曼珠紗華ともいう
けれど茎だけの禍々しい紅色の花は
なるほど死人の声を思わせる
秋の野面に咲いている
風は盲を押して行く
つ ....
せかいがもう
徹底的に
やさしくなっちゃって
きみを
守りたかったぼくは
傷つけるとこから
はじめた
きのうは愛してたけど
きょうは愛してない
あさってはちょっとだけ
愛してるかも
そんなていどで
生きてるから
手首に線路がおろろろろ
わたしはしってる
じぶんできめる
す ....
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