すべてのおすすめ
五段の醤油団子と七段のあんこの団子の
櫛が五本並んであって
隠れた山葵入り団子を探してみる
こころにもないものは
不味いものだと教えてくれた先生は
いまはいない
和紙に乗っかって
上 ....
雨だれになりたい
樋を伝って膨らんで落ちて
敷石の上で仄かに爆ぜる
細い雨だれになりたい
せせらぎになりたい
闇とも光ともつかぬ暗がりを抜けて
この世界の遥 ....
五感に塩漬けされた記憶の味が
酸っぱくなってゆくようだ
母は既に亡くなり
カビの生えた世間知らずの正義と理想を
空は紐で繋いで晒し者にする
生温い風に扇がれて
都会のビルの間で尾鰭を振 ....
夏が透ける雨の隙間
渇いた紫陽花が
雨を、乞う
おにぎりを握るてのひらで
詩を書いた
いつか
おにぎりのように
なるように
わたしたち、ちいさな山のちいさなおうちで、朝食のお皿を並べて二枚、三枚、並べているうちに足りなくなって、並べても並べても足りなくなって、テーブル継ぎ足しても足りなくて壁つきやぶって外に伸ばして、それで ....
私たち親子の手を見比べると
娘の手は白くて 細くて
張りがあって美しい
私の手は皮膚が薄くなって
血管が浮いて見える
やはり手には年齢がでるね
真面目なだけが取り柄で
洒落っ ....
冷たい石の陰に身をひそめる蜥蜴
葉の裏で翅を休めるクロアゲハのように
公園から木影のはみ出している場所へ
車をすっと 滑り込ませる
小柄な老女が日傘をさし
現場作業員の日焼けした顔の向こ ....
おはよう
僕のベットの隣に君がいる
肉と皮を蒸発させた君がいる
地上に置いていった骨だけの君がいる
ろうそくの炎が揺らめいている
数本の線香のか細い煙が揺らめいている
僕の ....
パンツが脱げない
言葉からパンツが脱げない
たった一枚なのに
にゃあんばらやんや
まみゅうまみれんぼやあんあ
しゃしゅうしょすはらみんみん
にょうにょううううう
だめだ、早まってはいけない
落ち着いてそして振 ....
祖母のつくったまめごはん
白いごはんのなかに
緑のまめがぽつぽつ
家族はあまりすきじゃないけど
だまってたべる
白いおちゃわんに
緑のまめがぽつり
おばあちゃんもぽつり
すきじゃな ....
無垢な聖域で飛び回る小鳥
そして口のきけない少女が笑っている
パンドラの最後の希望は
この地で淡い松明に囲まれて飛び立つ瞬間を待つ
百年の孤独から目覚めた太陽が泉から怱怱と昇る
....
夜の静寂に歌のような言葉
耳たぶに引っ掛かって時を揺らす
此処にはいないはずの
あなたが聴こえてくるのです
朝の雑踏に歌のような言葉
靴紐を解いて時を忘れさせる ....
桜の季節がやって来たのに
泣く子はだあれ
桜の樹の下で一日中探している
薄桃色のかくれんぼ
向日葵の季節がやって来たのに
泣く子はだあれ
背丈より高い向日葵畑で探している
黄金色 ....
庭に遊び場があったころ
雨の後には水たまりが出来
蒼空を写していた
青空には雲が流れ
雲の中にぼくの顔があった
けれども
水たまりが有ると
ハンドテニスや長縄跳びが出来ない
早 ....
あなたの声が聴こえてきます
空は美しいと知ったのは
それから間もなくのことでした
あなたの声が見えるようです
雲に隠れていても
太陽の輝きはわたしを慰めます
あなたとどうして出 ....
死にたい って
やっぱ
逃げたい ってことなんよな
何から って
せめないで ってことなんよな
みかたがいるよ
ひとりじゃないってことに
すがらないと
生きられないよ
桜 ....
もう二度と心から笑える日は来ないと思います
見たところ私よりも一回りも若いあなたは
これから半世紀以上続いていくであろう
(続いていってほしい)あなたの人生を
一度も心から笑うことなく歩ん ....
一滴の言葉が零れて戯れる水面
幾つもの円が現れて小刻みに揺れている
小さな痛み
やがて拡がっていく苦しみ
透明な水も湖底の泥に掻き混ぜられ
無邪気に太陽を愛したあどけなかった言葉も
汚 ....
余白のたっぷりある
読み物は心が和む
白い部分は
単なる余りではなく
空想だったり
誰かの想いだったり
空(そら)だったり
色んなものを
入れ替えられるから
あくせく ....
紫の葉が落ちた時
生まれた頃の泣き声は還らない
腐敗が始まった土壌で
夢は悪臭を呆然と放って歌は枯れていく
耳の役目を終えた貝殻を二つだけポケットに仕舞い
少年は東へと永遠に消え ....
おやすみとさようならが相槌を打つ
今日あったことは内緒にしよう
玉手箱にしまっておいて
一年後おはようとこんにちはに開けてもらおう
おはようとこんにちはがその計画を
未明のうちに知り ....
いいえおじさん心の
じゃなく
心は闇なんですおばさん
そこに光は射すでしょう
頭蓋骨の中
風さえ入って来るでしょう
明るい気分が領します
色彩がこぼれ温度がながれ
音声がはずみ意味がお ....
蒼く青く人・人・人無数の人青く碧く
蒼く青く見物人・紳士・恋人・貴婦人青く碧く
蒼く青く丸い輪郭・二本の線・
形状の違う輪郭・二本の太い線・青く碧く
蒼い青い空一つ空青く碧い静止し ....
冬
誰もが道行く姿に目をみはった
くすんだ家並の下町
それは何よりも奇異に映えた
女は山の手の私立病院に通う
病人ではない、看護師で
給料とボーナスを貯めて八年
恋人のひとりも作ら ....
雲を取り払った空は青い平面
落ちてはこないアクリル板
そこに涙はなかった
そのさらに上で霞んだ声が聞こえる
降りてくることのできない渡りは
濯がれる術もなく
啼きながらその ....
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(京葉線東京駅、東京国際フォーラムの朝焼け)
電車にもたれ
風を切る音に身を任せる
いつもは
意識の外に置いている音や揺れ
....
あなたが思いついたように
乱暴なことばを荒げているころ
スタジオではあなたのような顔が
感動に値段をつけている
私は愛を知らないからと
あなたはなんだって吩咐かる
ささくれ立った棒を突き立 ....
吸ってしまったドの音は
かみなり雲の腹下りだったら怖い
今日はどんな音楽聴かせてくれるのか
頭上の空の黒鍵盤と白鍵盤
しかし飴と紙芝居で喜んだ昔と違って
百年先までシミュレーションし ....
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