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鯨にある指先(地上)の記憶のように
人間にも忘れてしまった記憶がある
それはsora(翼)の記憶
身体の奥にある翼(骨)の記憶を頼りに
背 ....
君は机に向かう
ボールペンを握る
罫線の上に
言葉を置いてゆく
それは君の決めた枠
君の胸の奥で
何か切実なものが発熱している
窓の外 ....
果実
という言葉を胸に抱いて眠った
眠りのなかでわたしは一匹の鮭だった
寡黙に
川を遡上する
ほんの小さなものだった
朝がきて目 ....
俺達のことを誰も知らない
俺達は誰よりも弱い
俺が蹴っているこれよりも弱い
生きているか死んでいるかはどうでもいい
他人なら尚のこと
俺達は過呼吸すぎる
もっとひっそりと静かに佇むべき ....
寄る辺なく
君を想うことなかれ
寄る辺なく
君に恋することなかれ
朝露零れて
透いた柔肌の朝顔
吐息に揉まれし
けふ
文月小暑
忘れがたき
夕でるまでの
....
青い波間に漂う
コバルト・ブルーのきらめき
画用紙に彩られた海は今でも
烈日を待ち焦がれている
*
雨の日は部屋の中でひとりきり
孤独を思う存分楽しもう
外国の歌手が歌う
レコ ....
カタカタと鳴る
眠れない夜の四脚の貧乏ゆすり
床に喧嘩売って
チクチクと唸る
眠れない夜の二針の歯痛
壁にドリル打ちこんで
ザワザワと嘆く
眠れない夜のこんにゃく ....
ひとりじめする贅沢と
分け合える幸福
ナナ、ぼくたちは、
ひとりでは幸福になりにくいみたいだから
壁の白さに飽きたら
青空のしたに降りといで
ナナ、
世界は用意されて ....
いつも想っているよ
きみは可愛いから
宇宙がきみをつかまえて
さらってゆくんじゃないかって
今日も会えたね
おかえり
じつは妬んでいるよ
....
なまえをつけようね
あなたの
たましいに届くように
大声で伝えるね
きっと
忘れないでね
なまえをつけようね
しだいに
それは漢 ....
幸いによって用意された
名前は
あらかじめ課せられた
役割を帯びて
分厚い殻を割れば
どうどうと押し寄せてくる
風とも波とも知らない力に
離ればなれにされぬよう近付く
術さえ知 ....
歩きたい
ひとつひとつ
言葉を知っていきたい
赤ん坊はいつか子どもになった
遊びたい
唄いながら
どこまでも駆けていきたい
子どもはい ....
ある日の授業で先生が言った
宇宙を暗唱してください
興奮したように
エントロピーやら引力やら
べらべらと捲くしたてた委員長は
廊下に立たされた
....
そのとき
歌うのをやめていた
いっせいに
目蓋も
胸に泡立つ
つたない血球も
もう歌うのをやめていた
きみが
心をこめて笑ったとき
....
新緑の木々と風が
奪い合うように睦み合うそばで
夕暮れの光とあなたが
隔て合うように惹き合っている
もしも生まれ変わることができたら
同じ時に同じ ....
夏の朝の
コインランドリー
放りこんで座る
わたしと
あなた
何だろう
あなたは笑って話している
わたしは
聞いていない
....
あなたの詩に抱かれていたい
僕は乾燥し切ったせんべいです
あなたの詩を抱いていたい
僕は受信感度の悪いラジオです
あなたの言葉の調べで眠りに就きたい
僕は炭酸の抜けたコーラ
....
1.社会
職場に社会があり
学校に社会がある
家庭に
託児所に
公園に社会がある
{引用= 夕餉の時間
うつろなサイレンとともに
社会の ....
夕暮れの教室に
ぼくたちは産み落とされた
生きてゆくことは
いつ終わるとも知れぬ居残り
帰る家もなく
子どものころ
教科書をひらくと
とうめいな雲が立ちのぼり
そこだけに雨をふらせた
教科書はいつも
本のかたちをしていなかった
どこをひらけば ....
未来のような
だだっぴろい草原で
詩を読んでくれたのは誰だっただろう
幸福のような
雨が降っていたのはどこだっただろう
なにからなにまで
や ....
むすんで ひらいて
むすんで ひらいて 手をうって むすんで またひらいて 手をうって、その手を 上に
むすんで ひらいて 手をうって むすんで
*
結んで ....
{画像=110604155503.jpg}
ヒヨコの足首を二つの指で掴む
飛ぶように羽を振り
尻を振り
首を振り
嘴を振り
黒い止め穴のような眼から溶剤の涙を幾筋も流した
幼い黄 ....
ホッテントット族が眠たくなって
だらんと垂れているところを
ピグミー族が短い脚を伸ばして
落ちないよう引っ張っている
夜中の十二時半のいびき
その反対側では
バスッケト選手のアメリ ....
月を飲み込んだ男がいた
そいつの腹は
まるまると膨らみ
あたかも臨月のようだった
太陽を抱きかかえた女がいた
激しい炎に
なんて温かいのだろう
と涼しい顔で言った
星を舐め ....
踊るフラグメント
回るテスタメント
それでも止まないグリコーゲンの行進
いくら泥濘のグラウンドを藻掻いても
15歳の猫背の老兵
全ての記号を使って叫んでも
ボナパルトにはなれない
不 ....
{引用=南の男}
慙愧の塩漬け
塩を汲みに塩湖へ踏み込んだ男は
深みに足を取られてずぶずぶ沈む
攣るほど力を入れ右足を持ち上げたが
反動でひっくり返ると
もがくほど結晶に沈んで行った
....
君を言葉で表すなんて
もう僕には
出来ない
すでに
君は詩そのもの
ネックレスは
詩集の栞
香水は
ブックカバー
僕は何度もページをめくる
潤いの瞳と唇
柔らかな人差し指 ....
野原に言葉を放したい
青空の下で
道行き人に言葉を預けたい
街灯の下ででも
わたしは「わたし」を捨て去りたい
「わたし」が
わたしを拾う時まで
わたしは
「あなたがた」の影 ....
嘘しかついたことがない少年の
嘘をつく顔のまま
ずっと走り続けていた
地球がだめになって
火星も金星もだめになって
木星にようやく足跡をつけたとき
ぼくは笑っていた
光は遅すぎて話になら ....
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