小さなもの
草野春心



  果実
  という言葉を胸に抱いて眠った



  眠りのなかでわたしは一匹の鮭だった
  寡黙に
  川を遡上する
  ほんの小さなものだった



  朝がきて目覚めると
  体じゅうに
  粘性の
  きらきらした液体が付着していた




自由詩 小さなもの Copyright 草野春心 2011-07-21 09:04:47
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短詩集