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それは全て愛だった。
それは全て愛だった。
父が少しずつ貯めた積立金。
何かの足しになるようにと内緒にした
大きな空き瓶いっぱいの小銭。
「銀行に持っていったら、8万円になっていた ....
魔法使いが
ドライバーを手にやってきて
雪原を走る夜汽車を止めました
壊れた換気扇の交換
最後に頑張って回る姿が
とても可哀相で
「よく頑張ったね」って二人で言いました
私た ....
ひょい、と
おまえを肩に乗せると
よりいっそう
にぎやかな
居間になる
わたしには
さほど高くない
いつも通りの目線だが
おまえにとっては
宇宙ほどの
高みであるのかも ....
換気扇がぶっ壊れて
機関車みたいな音がする
台所であなたと目を合わせたら
困ったような笑顔がどこかへ旅立つ
暮らした年月を
思い出させるすべての劣化
年をとったわね
夜
....
正化さんじゅうなん年
世間では
本を検閲する政府と
守る図書館で
どんぱちやっているらしい
銃弾の飛ぶ
大通りの裏路地で
私たちは聞かせる
ひととき ....
時々思考が靴擦れしてしまって
開いた口が痛い痛いと叫んでしまう
時々思考がふやけてしまって
歯ごたえのない口になってしまっている
時々思考が気化してしまって
きかない筈の口も ....
今 冷静に考えればおかしなことは幾つもあった
学生服のボタンが陶器に替わったのは良いとしても
疎開先の山村に棲む父の従兄の大工小屋で
兵隊さんたちが材木を使って
角形の潜望鏡のようなものを ....
こどものころ 戦争は いつかなくなると 思っていた
実際の話 古代や中世の時代と比べたら
安易な理由では、人は人を殺めたりはしなくなったのだろうか
むかし 中世の時代に 真鍮の牛という処 ....
表意文字同士で手を繋ぐ駅裏の小路
休んでいいかいと言った少年の姿はもうない
弦楽器の音合わせに
五本の指は小さな画面の上をひた走る
青年は手を自由にし煙草に火をつける
再び繋ごう ....
築十八年になる
カステラハウスと呼ばれる
小さな三階建ての家に住んでいる
毎週日曜日になると
潔癖症の夫と二人で掃除をする
掃除機を抱えて 嬉々と
バトルスーツをきた戦士のように
家 ....
夜のある時間には
落とし穴があるのです
いきなりストン
やれやれです
居心地よかったり
泣きたいのに泣けなかったり
しにたくなったり
落とし穴が
ちゃんとあることにほっとし ....
スクール水着にしてるのは 萌えるから燃えるから
o °
学生時代からスタイル変わってない
° ° ° ....
151015
古くさいことばだねぇ
明治生まれの親父も使ったこと有るかしら
いつまでも候文を書いていた父も諸君!と叫んだことは有るまい
直立不動で自分は〇 ....
平坦な生き方しかしてこなかった
それでいいと思っている
薄っぺらなままだった
それでちょうどいいと思っている
しかし
味はいろいろ覚えてきたつもり
甘めの醤油味みたいな
ざらざら ....
その日は
お花見の桜より うんこの話のほうが
うつくしかった
お隣さんが用意してくださった花見弁当を囲んで
いっしょに 盲の方と お花見をした
お洒落な桜色のスカー ....
一匹の青むしが
道路を横断している
ゆっくりと
ゆっくりと
(小さな青虫だから)
這っていく
きっと
道路を渡りきってしまう前に
あの青むしは
車に轢かれてしまうだろう
そ ....
独房の堀で羽を休めるアゲハ蝶
憐れみの蜜を吐き出す
黒い光沢に光りが反射して
影だけ先に飛んでいく
十七歳の部屋では少女が
明日を憂えていた
それでも敏感に影を捉えて
不意に彼女 ....
『物差し』
幸せとか、不幸とか
いったい誰の
基準で決めるのですか
その基準となる物差しを
いったい誰が
持っているのでしょうか
あなたですか
神さまですか?
『 ....
何処にも見つけることは出来なかったはずだ
そう訴えているかのように
私の視覚を証言台に立たせ尋問する
画家であれば画材は其れまでに蓄えてきた感情の十色
上手く言葉を塗り付けようとするが
もう ....
ある日
水槽の中で泳ぐ
熱帯魚が
テレビに映った
青い南の海をみた
こんな狭い
水槽の中では
すいすい泳げない
テレビに映った
広い海に憧れて
ここから
逃げ出そうと ....
あなたがこどもになった朝も
遥かな場所で列車が発車し、低い速度ですすみ、
セイタカアワダチソウを揺らしている
イケブクロ ニ イキマス
イケブクロ ニ イキマス
と、くりかえしな ....
あなた
安売りをしていたので
星をひとつ買った
命名権付きということで
相応しい名前を小一時間考え
以前飼っていた犬の名前をつけた
部屋の電気を消すと星は仄かに瞬いて
偽物みたいに綺麗だ ....
いっちょまえに
子(娘)が親(母)に意見(もんく)をいう
いっちょまえに
子の方が稼ぎが多くなってきた――
一緒に道を歩いていたら
いきなり娘に腕を掴まれた
「なにするん?」
背後か ....
賢者の声が聞こえない
それが
若さの特権
止める愛情を突き破って
彼らは荒地に出て行く
何に駆られるのか
熱い鼓動を抱いて
故郷を振り返ることはしない
刹那の中にだけ宿る純 ....
風をたくさん挟んで
送り出す
君への便り
いつまでも止まらない翼は
想い出を回し続け
空に漣を描いていく
今日あった小さなぶつかりは
すぐに修理できるから安心して欲しい
....
大きな風車がゆっくりと
ゆっくり ゆっくり 回って
大空の舞台の主役
晴れ男と雨女に観客になって欲しいと
今日も羽根を広げているよ
つばめはどうして
にんげんのうちなんかに巣をつくるのだろう
だれも住んでいない家にはつくらないんだってよ
わたしはひとりがすきだけど
つばめがいるからひとりじゃない
えさをはこん ....
パソコンに向って
キーボードを打っていたら
ブ~~~ン
という音が聴こえてきた
蚊か?
気づいた時にはもう遅い
手と足と三ヶ所 刺された後だった
痒い 痒いと掻きむしりながら
蚊の気配 ....
毎日が当たり前でうめつくされているから
あらがうこともしないでいた
それをひとは逃げというだろう
水分をとらないでいたら
いけませんよ おじいさん
何度いってもとろうとしない
おじいさ ....
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