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思い描いていた三次元曲線だったが
慎重さが足りなかったせいで
空気の抜けていく風船になっていく
やはり僕にとって未来は平面でしかなかったようだ
いやもしかしたら
点でもなく零への回帰線と ....
椅子取りゲームに負けた冬が
白い涙たくさんこぼしてわめいている
おうちはどこ
おかあさんどこいった
おとうさんどこにもいない
ふきのとうが
可哀想にと探してくれ ....
開け放した玄関はその年の夏そのものだった
わたしはサンダルをつっかけて座り
水羊羹をのせた小皿を手に女をみていた
わたしを産んだ女は真剣な表情で
庭の手入れをいそいそとこなし
と ....
ゆめの在りようを忙しなく描いては
愛おしく汚れて色付く指指
あたしたちは性懲りもなくなんども見つめあっては
数秒ずつの恋を終える
この世の輪切りを飾って悦に入るなよ
どんな隙間にも羽 ....
はる地球の回転が速まるせいか
わたしは立ちくらみして
光は速さをなくしたみたいになる
だからかはる 風が軽くなりすぎて
わたしの姿は光をうまく受けれなくなり
わたしの影はどこかへい ....
最終連は
とうに終わっていても
締められた言葉は
いっこうに完結するようすもなくて
視線は
空を漂う余韻の行き先を
見つめている
その時
一羽の冬燕が目の前を横切るも
地面に落ち ....
『奇妙な世界』
奇妙な世界を
祝日の朝に聴きながら
ここしばらくおざなりにしてきた生活を
梅干し入りのおにぎりにして食べた
陶芸教室でつくった奇妙な湯呑みでお茶をすすり
な ....
すぐ近くにあるのに、この手じゃ掴めない
あんな傍にあるのに、この高さじゃ届かない
見えるのに掴めない あるのに届かない
むず痒い思いをするのなら
この手が届かなくなる その先を ....
{画像=170223133446.jpg}
こわれそうな想いをかかえて
わたしはどうしましょう?
れいぞうこから冷えたりんごを取り
そっと大事にはこびましょう
うつくしいあなたの ....
音のない電話が置かれて
わたしはそこにはいなかった
涙がこぼれそうな音楽が流れて
あてのない悲しみはもうそこではない気がした
楽譜が全く読めないわたしは
楽器に触れても音を奏でること ....
影送りができそうなほど
晴れた日のまま
洗濯が終わった頃には
まだらの雪が降っていました
庭の梅はおおきく
息をしたようです
昨日までは
とりつくしまもないようだったのに
....
そうですファーザー僕の罪です
僕の空想の中にしかない緑の地で
彼を罰したのは僕です
絹糸のようになめらかな美しい川の流れ
を燃やしました
とてもよく燃えました
腕に黄色いスミレ紫のスミ ....
冬の群れが私を襲い
迷い込んだ高熱の森で誰かを叫ぶ
私の足腰の筋肉は溶けて
歩く音は電池の切れかけた時計
そして
この時だけは合法と見なされる白い粉を
何度も体内に注入する
四角い部 ....
鯨の街に行くならあそこ
花畑湯
ゆっくりつかって頬ふんわ
コンパススカートひるがえし
駆け落ちていく
二人はどこまでも
手をつなぐ薄明かり
海原は群青の鱗ばかり
着いたのは ....
こころの中に
たくさんのものを隠して
おとな、というものになる
たくさんの名前に埋もれて擦り切れながら
わたしは柔らかく小さい手だったことを思い出す
つみ木とスプーン
....
黄色い海があってもいいでしょう
膠を火にかける、独特の匂い、かき混ぜながら換気扇を回し
くつくつと沸く鍋底を見つめる
足りない色を数えて
描けない絵のことを考えていても仕方がないね
のめ ....
座敷の鍋の中から窓越しに雲が見える。雲に隠れた月がぼんやりと
少し前の地震で己が実を揺すられ、少し味が出汁に溶け出したかもしれない。
食欲満々の座敷の客たちは鍋の火加減を気にしている。
解体前の ....
君が響いた夜、間違えてどこへとも知れず駆けだして行って、見えなくなって。聞こえなくなって。辺りには月でつくったカンテラがへんてこな影を見繕うばかり。おーい。哀しみとは、こんなもんだっけ?君の喋り方は、 ....
思い出すこともあるでしょうか
大潮の日に月の海
舟に乗って漕ぎ出した
星の光は小さく
私もまた小さかった
からだの中にはたくさんの
ひみつのことば
こなごなに ....
{引用=冬ながら
空より花の散りくるは
雲の彼方は
春にやあるらむ
}
私たちは
時に自分に負けてしまいます
誰に赦されても
誰に愛されても
足りない命を食いちぎ ....
わたしはきっと見たことがある
祖母の灰色の目をとおしてだけれど
B29がつきぬけるように真っ青な
雲一つない空をはしってゆくのを
疎開するため
汽車で広島を出るとこだった
ちいさな伯母 ....
文章の欠片が部屋の隅で笑う
僕の脳内で言葉に白髪が生えてきて
杖のない単語がよく転んで痛がってしまう
今日は元旦
「あ」から始める餅つき
「け」「ま」りで祝う祈願成就と健康第一
「 ....
3時になったら起こしてねと言って寝室へきみは行った、それからだいたい三年が経ったように思う。
元旦、朝は曇っていたが東の方から掃くように雲は流れ、正午には空は真っ青な顔をして、気の早い蝋梅が ....
金木犀の花を瓶に入れ ホワイトリカーを注ぐ
ひと月ほどして 香りも色も酒に移った頃
金木犀の花を引き上げる
その酒は 甘い香りをたぎらせ 口に含むとふくよかな広がりを持つものの まだ ....
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな 接続詞を
あてがい続ける
たくさんの 繊細な傷を
指でなぞり 再生して
....
実家に帰ろう
犬に触りたい
温かい毛並みに顔をうずめて
額をくっつけて
体をくしゃくしゃにかき撫でて
私のために尻尾を振ってくれる無邪気な魂に
何度も「ただいま」って言おう ....
大草原の中で
馬と暮らしたいな
森の中で
狼と暮らしたいな
暖炉の前で
猫と眠りたいな
わたし
疲れてるんだな
濁るよりほかに
生き延びようがなかったから
水を欲して、
水を求めて、
ここはさながら渇きの底
濁るよりほかに
明るい方向を知らなかったから
黒を試して、
黒を重ねて、
....
わたしはもう
石になってしまいました
かつてわたしにも
水だった時代があり
白濁した粘質の水となり
やがて泥となり
固まっていったのです
土として長年を過ごし
生き物をすまわせもし
....
まっ白で
海の波とうねりに
磨かれた貝の
欠片を集めて
ぼくはオルゴールを
つくった
貝でつくったオルゴールが
奏でる音色は
聞いたことのないメロディー
なのだけれども
ど ....
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