翼を持つもの
瑠王

天使と間違えられた悪魔が
今まさに翼を拡げて地上を去るところでした

人々の彼への愛は(またはその逆も)確かだったはず
なのに彼の血が自分達と違うのを見ると
一同揃って鍋に蓋を閉めました
鍋の中は最早“恥ずべき”が煮詰まっていたのです
そうして悪魔は友を失いました

しかし悪魔もまた見紛うほど貴かったのです
それに彼は天使でいる間中ずっと
己を悔いていたことでしょう



自由詩 翼を持つもの Copyright 瑠王 2010-06-07 22:52:47
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