ニコライ堂 ー五月の朝ー
……とある蛙

新緑の季節
五月の朝の陽光を浴びた
ニコライ堂 緑青に覆われたドーム屋根

明るい陽光に
くっきりとした陰影を残した
コンドルの遺産は
一二〇年経った今日も
聖橋から靖国通りに向かう坂
毎朝降りて行く我々を見下ろしている。

五月の陽光は街路樹の
若葉の透間から
歩道を歩く我々に降り注ぐ

鐘楼の鐘は
まだ鳴っていない
その鐘の音は往時の人々に
異国の朝を想わせたのだろうか
僥倖にもその音を聞いた時我々は
昔日のモダーンを想うのみで。



今うきうきとした気分で坂を下り
もう颯爽とはいかないが
歩くリズムに淀みは無い

今日もまた生きている
一日が始まる。
明日もまた生きて行けそうだ。



自由詩 ニコライ堂 ー五月の朝ー Copyright ……とある蛙 2010-05-22 10:10:21縦
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