毒がす
R.F.

おとうさんとおかあさんが
体をすこしずつちぎりあわせ
ぼくは生まれました。

二子三子四子五子
きょうだいが集まってきます。
せまいぼんべの中にとじこめられきゅうくつです。

一人二人三人四人。
すこしずつ出ていったきょうだいたち。
そのたびにちょっといやなひびきのする歓声がわきおこります。

ふわふわ、ふわふわとしながら。
ぼくらの周りのひとたちはうれしそうです。
ぼくらの周りのひとたちは、うれしそうです。

次はぼくのばん。
はじめて外にでて、かぜのながれにのってすいこまれていきます。
はいのすきまに入りこみ、ちのながれにのって。

やがてちやにくに溶けこみます。
自分が自分じゃないようなきがします。
すっかりとけこんでしまったとき、ぼくはぼくの役割を終えます。


自由詩 毒がす Copyright R.F. 2010-07-05 00:16:53
notebook Home 戻る