ふとい尻尾さかだてて猫の目ギラリ
白兎の胎内に酒はたっぷり
うすよごれた虎はねくたれてくたくた
つくりつけの本棚はがらあきだった。
未明。ゆたかな黒髪に顔うずめて
あふれてくるくやし ....
やさしい言葉をきくと
私はゆらゆらします
やさしい言葉はきれいです
きれいなものというのは
どうやら壊れやすいですし
汚れがつくと目立ちますし
また汚れが落ちにくいようですし
や ....
横たえられた貴女
緩やかな緊張に伸びる身体
山
胸を吸い取り
旋回する鳶は私
海
月に曳かれ
道跡を渡る貝は私
波の華が夜空を
散って涙する
けれ ....
砂糖と塩をまちがえればよかった
そしたらあたしもすきのある女になれたのに
砂糖と塩をまちがえればよかった
そしたらあなたも笑顔でバカにしてくれたのに
砂糖と塩をまちがえればよ ....
俺は 最近
ひとを好きになった
恋ってやつだ
もう
恋なんて できない
しっこないと 思っていたが
自分でも びっくりしたぜ
なんにも 言わなかった
なんにも 知らせなかった
....
小麦粉と
砂糖と
バターと
卵
まぜまぜする
焼いて出来上がり
お菓子は簡単
相手を思う心と
優しさと
相手の心と
少しの切なさ
まぜまぜする
告白して出来上が ....
引き潮が引くように
満ち潮が満ちるように
繰り返される
繰り返される
喜びも
哀しみも
日が昇る
夜が明ける
輝きだす家々、草木
眠い目をこすりながら
時計を見て飛び出 ....
ネットしてる場合じゃない
今日は仕事の初日
ひげ切り整えて
歯ぁみがかなきゃ
おくれっちまう
風呂は沸きすぎ
やがて16ビートを刻むだろう
なのにこんなコトバ打ち込んで
それでも目一杯 ....
小学生の時の話で
学校に行くと先生が休んでいて
自習の名目で
突然試験をやらされた
わからない問題は後回し
けど 記憶にないから
答えず終い(俺はね)
そ ....
ああ君は 僕がどうしようもなくて捨てた猫だねえ
ごめんね ごめんね
あの頃は あれしか思いつかなかった
君を捨ててから 僕は少し暗い男になったのかもしれん
逆に 軽口度合は増したかもしれん ....
ここで
てをふることにする
かぜふくにせよ
ゆきつもるにせよ
きみはもう
とまってはいけない
いちにちやふつかは かまわない
けれど
ここで
てをふることにする
蔦は一列二列と ....
何故此処に居るのかも
何故其処に行くのかも
分からぬまま時は過ぎ
「何故」が硬く心を閉ざし
気づく頃には空一面に
咲き乱れゆく光の結晶
*2003年の初め頃に書いたものです。
もう六〇年、過ぎて行ったのですね、早くも、
理想を追った仕事師の日々。酒に、そして女にものめり
モリちゃん、ハリー、長い長いつきあいだったな、僕とも。
とうとう還暦祝の日がやって来て、今宵は一杯 ....
指の跡 みじかい文の うらおもて
いまさらの 恋が見えない あぶり出し
ときどきが どきどきするほど わるい恋
爆竹だったら良かったのに
失敗だった焼け跡は
遠いお兄さんたちの
黒コゲでいっぱいだった
彼らは飼い慣らされて
エサを待っている
焼け跡だけが寒く
エサを待っている昼 ....
その港の海は
溶鉱炉の煙突の火で燃える
月面が見たくなったら
その火柱の傍で
7つの石を 意思を
いっそ一度に海面に放れば
一瞬だけでも見れるのだ
....
砂が零れ落ちるように
水が流れていくように
その行きつく先を認知して受け入れよう
今あるこの命に限りがあることを
認めそして求めず
可能な限りのものを見
感じ
感動したい
何か ....
ちゃぶ台にて
祖母が
むく
ひび割れた
湯飲みの
影が
長く伸びる
練炭の
匂い
かつて,
妹が
一酸化中毒になりかけた
ちゃぶ台の
祖母は
萎びていた
....
水槽の中ですっぽんが首を伸ばして
息継ぎをしている
明日のことを考えているのか
昨日のことを考えているのか
何を考えているのか分からないが
じい っと
月を見ている
もうすぐ月がしずむ
....
浅く 軽く 雪が降り
朝は羊の群れになる
起こさないように
踏まないように
横たわる群れのなかを歩いてゆく
愛しい人
あなたの体に入りたいのです
でなければ
あなたの血、肉、骨までも
全てこの胃袋に収めたいのです
その全てはこの身体の熱となり
やがてこの身体をも
溶かしてくれるでしょう
そう ....
ココアの缶をチロッと舐め
「おいしくない。」 と
首を傾げる君 おめでとう
風船に鼻を押しあて
あらゆる角度からのぞき
「なにも入っていない。」 と
泣き出す君 おめでとう
布団 ....
とうさん
せんせいのおはなしには
ぼくらでてこなかったね
ぼくやまねこさんのように
どんぐりのさいばんしたかったな
くらむぼんみたいな友達ほし ....
僕がいない間に何度も
雪は降って
菜の花が咲いて
キャンプファイヤーが灯り
もみじが色を変えたから
ふいに戻っても
もう僕に向かって
輝いてくれるものはない
仲間とは一年前にも ....
耳鳴りが
止んで
はじめて耳鳴りに
気がつく
たった今も
消えなければ解らない
何かに包まれているのかもしれない
海の波の音を聴きながら
他愛のない会話をたのしむ
三年目の二人なのだから
空も海も馴染んだアルバム
月光に濡れる椰子の葉叢
思い出すら風景に沈む
寄せて来る海の波さながら
日 ....
たとえば、きれいな空があったときに、それを表すには言葉は要らなくて
指さしゃあいいじゃんと思う自分は詩人とかいうのには向いてないと思う。
言葉にしなくても
しばらく
上、向いて
見ていた ....
俺は あの人といるかぎり
泣いたり 笑ったり 怒ったり
素直になることができた
だけど
あの人はもういない
俺の愛は
春に小さく 小さく 咲いた
夏の太陽に焼かれて
弱っていっ ....
いいよ
それでバランスがとれるのなら
あたしもそうやって生きてゆく
なみだばかりでるんだ
つらいんじゃなくて生きることが
いとおしくて どうしようって
しんぱいしすぎたあと
こえをあらげ ....
おもちゃの、胴体が、首と、離れて
プラスチック
の
中に
ビー玉を、詰め込んで
勝たない生き物です
勝てない生き物です
僕を、愛してくれますか?
黄色い砂が ....
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