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ひとつが
どこまでもひとつに感じられ
ふたつが
どこまでも数え切れなく感じられる
街が街を過ぎるような
水のような音の時間を
子は歩む
子は沈む



千の手の波
 ....
とても静かだった
自分の前後に自分がいて
とても静かだった
口笛で消えた



手のひらは離れた
離れながら鳴った
いろいろ混じる無色の
音未満だった



声は ....
わたしは何かを見に来ていた
一匹の蝿
一羽の鳥
空は空に
海は海にひとつずつあり
遠くも近くも聞こえずに
陸へ陸へと近づいていた



ひとつがひとつのまわりをまわり
 ....
肩は既にはばたいていた
鎖骨から胸へと流れる羽を
抱き寄せようとする腕もまた羽だった
耳も髪も眉も目じりも
風にそよぎはじめていた
咲きつづけるからだをひらき
子はひとり川辺に立 ....
どうしようもなく空に向かい
わたしは
影を失くす



足の下を踏みしめ
家々をすぎ
すべてに接する崖へと至る



見えない花のわたしは
ひとつの大陸でできた楽器 ....
窓から世界が見えすぎるので
何度も何度も触れつづけては
指とガラスをたしかめていた
消えた素顔をたしかめていた



描かれた線に雨は重なり
音だけを残して見えなくなった
 ....
小さな手
小さな目
欠けた空を映す鏡に
歌のかけらを置いてゆく



重なりつづけ
重なりつづけ
どこにもつながることのない
造られた花のような子供たち
たじろぐ腕をとり
 ....
昨晩 幽霊の子が部屋に来て
コンピュータの前に座り
しばらく居座っているウイルスと
何やら会話をしていた
書きとめようとしたが
いつのまにか眠ってしまった


目が覚めると
 ....
わたしを
知りたいというわたしはいない
わたしは
わたしが鳥でも人でもかまわない
わたしは
あなたによってかたちになるのに
わたしは
あなたがあなたなのかわからない
わたしは
 ....
道を分ける白線の上を
影のない影が歩いていて
こちらに気付くと
逆の方に歩きはじめて
突然消えた



日曜の夜は
誰もおいでおいでをしてくれない
わたしは窓から身をのりだして
身投げのような夕陽を見ていた
消える 消える と小さな声が
両手をあげて泣き顔で
通り過ぎる祭を追った



わたしは高すぎて
わたし ....
頬から頬へ
まなじりからまなじりへ
打ち寄せる震えを
降りおりる応えを
音は見ていた
けして くちびるには訪れないものを
音は見ていた
ひとり 見ていた
光したたる場所に立ち
足元にまとわりつく魚を見ている
緑が照らす灰の息
耳のすぐそばにいる雨雲



肩に沿って
光はこぼれ
水に落ちて
声に変わる
たどりつけ
たどりつく ....
この世界のどこかに
わたしにならなかったわたしがいて
やはり ひとりで歩いているなら
おそらく わたしは
声をかけることができないので
せめて すぐ前を歩いてゆく
少しで ....
高みへ 高みへ
翼をひろげる鳥の群れに
空はふちどられたままでいる



音が音をひそめながら
緑に曇る午後を見ている
離れているのに離れずに
ともに震えを待つ姿
見 ....
曲がり角に沿う壁を
鳥の影がすぎてゆく
風のない午後
一羽の午後



少ない雨が来ては去り
灰は薄く街にひろがる
置き去りの光
置き去りの火



黄緑 ....
おだやかなのに
おだやかでない
雲の陽の今日
この翳りの日
聞こえくる歌
不思議な歌



矢をつがえることなく
矢を放ち
届くことなく
消えゆく軌跡
向かう先なく
散 ....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる



新しい言 ....
あちこちに月がひそむ夜
銀を一粒ずつ踏みしめて
雲をあおぎ歩みゆくひと


月の手は風
月の火は雨
ただなごむ
死のように



いのるひと いるりひと
いるり ....
音の無い空
音の無い花
近づきながら 離れながら
混じることなく
川の上に重なる川
川を映す川をゆく


花に触れ
鎮む流れ
陽は分かれ
影は過ぎる
花は音 ....
幻の終わりと塩の光を抱き
鳥はひとり 海にたたずむ
波に重なり ゆらめく陰
待つもののない午後の陰



船を終えた船の列が
小さな声に照らされている
空をゆく声 落ちる ....
手に触れる花からはじまる
円筒形の歴史があり
空と目の間でまわっている



音が音を奏でている
こすれあう音
すれちがう音



変わりつづけるかたちの夜
とどめおけ ....
光のなかで光を引きずる
あちこち折れた羽のように


増えては
増えては 軽くなる
はばたきに似た歩みの音


灰のにおい
羽のにおい
いつのまにかひとりの道
鈴の音
陽 ....
何もない手に
白が降りて
名前を呼んだ
もくれんよ
もくれんよ


微笑む間もなく
雨は来て
空を伝い
午後を撒いた


灰の鱗
一人歩きの傘
午後の陽の行 ....
わたしは投げ出す
わたしは拾う
手は銀になってゆく


つばさ失く飛ぶ火が越えてゆく海
ただ音だけで造られた海のむこう


骨と魔術師との対話
夜に生まれ
朝に消え ....
冷たい水の熱さに触れ
公園に立つ冬を見る
檻のなかの時計と噴水
公園に歌う冬を見る



風は痛く
水は閉じる
風はたくさんのものを集めている
誰もいない道を
ひとつ ....
草の原には緑の花が
常に誰かに呼びかけるように
異なる緑にまたたいている


山へ山へむかう道
途切れ途切れつづく道
雨の滴と羽虫がつくる
無音にひろがる水紋の夜


荒れ ....
音と音のはざまに積もる景
積もることなく消えてゆく影


夜の雨のむらさきが
朝の雨の金に変わる
そのはざまの 一瞬の銀


ふるえのはじまり
つづくはじまり
はじまりとはじ ....
堕ちた孔雀が集まる場所で
ただひとりかがやくものは傷を得たもの
白く織られた光の羽の
かすかなほころびから見える花
光や音の波の向こうに
見えること 見えないことの向こうに ....
    浅く 軽く 雪が降り
    朝は羊の群れになる
    起こさないように
    踏まないように
    横たわる群れのなかを歩いてゆく
さちさんの木立 悟さんおすすめリスト(32)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
降り来る言葉_XVII- 木立 悟自由詩704-10-7
ノート(極小音)- 木立 悟未詩・独白504-9-9
ノート(埠頭)- 木立 悟未詩・独白404-9-6
鉄と羽- 木立 悟自由詩404-6-23
ノート(器)- 木立 悟自由詩704-6-21
ノート(白窓)- 木立 悟自由詩804-6-18
ノート(白歌)- 木立 悟自由詩504-6-15
ノート(幽霊_Ⅱ)- 木立 悟未詩・独白804-6-14
ノート(わたし_あなた)- 木立 悟未詩・独白604-6-10
ノート(幽霊)- 木立 悟未詩・独白404-6-6
ノート(夕陽)- 木立 悟未詩・独白904-5-30
ノート(降る)- 木立 悟未詩・独白204-5-30
ノート(指)- 木立 悟自由詩504-5-25
ノート(どこかに)- 木立 悟未詩・独白704-5-23
午後の手- 木立 悟自由詩504-5-19
黄緑- 木立 悟自由詩704-5-17
ノート(不思議)- 木立 悟自由詩704-5-9
器の子- 木立 悟自由詩1204-5-7
ノート(夜野原)- 木立 悟自由詩404-5-5
降り来る言葉_XIII- 木立 悟自由詩904-5-4
隔花- 木立 悟自由詩404-4-24
- 木立 悟自由詩504-4-16
葉音- 木立 悟自由詩604-4-11
ノート(木蓮)- 木立 悟自由詩904-4-9
銀の手- 木立 悟自由詩704-3-19
- 木立 悟自由詩504-3-15
緑の輪- 木立 悟自由詩604-3-10
異なるはじまり- 木立 悟自由詩504-3-7
天花(てんげ)- 木立 悟自由詩604-2-24
ノート(39Y・12.8)- 木立 悟未詩・独白204-2-11

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