僕がやっと言えた一言
君が好きだよ
ぼそぼそ
やっと言えたんだ
はにかんだ君が
私もと言ってくれた時
僕たちの時間は一瞬止まった
君のためなら何でもするなんて ....
君と僕の
初めての「くちづけ」は
何年前だろう
君は
大粒の涙を流して
僕の名を呼んだ
僕も泣きかけた
もう
僕たちは会えないと思っていた
間違い ....
本に挟まれた妖精がキイキイ鳴いて
目が覚めたら夜中の二時だった
丑三つ時に出るなんて妖精も日本のお化けと同じね
笑ってやったら小指噛まれた
本でぎゅーってしてやったらまたキイキイ鳴いた
気が ....
二〇〇〇年隠居元年一月一日。墓参。
東京都立多磨霊園二四側四九。
おふくろとおやじとおとうとに「無職」報告。
おそい午前のひざしはおだやかで風もない。
よどんだ時のながれのなかに六九歳 ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
俺の周りにはいつも飴屋がいた
あまい飴
にがい飴
からい飴
すっぱい飴
そいつはいつも
感情なんて面倒なものだと言わんばかりに無表情な顔で
飴を入れた桶を二つ肩にしょい
金魚売りの要領 ....
ボクは笑っていたいです。
ボクは泣いていたいです。
ボクは苦しみたいです。
ボクは恋したいです。
ボクは楽しみたいです。
ボクの中の感情全てが愛しいと思いたい。
ボクの胸は清らかで ....
星作りの夜
音が聞こえそうなほど近く
手が触れるほど近く
唇を震わし言葉を風に変える
ぱちんぱちんと音が鳴る
星のかけらを浴びて
背に生えた見えない羽を振るわせる
ぱちんぱちんと
....
サヨナラなんて
10秒あれば言える
俺は言ってない
あなたも言ってない
なのに
もう会えない
出会いには出会いの
別れには別れの
儀式が必要だ
少 ....
「 ひとりで寝るのは
寝るのじゃないよ
まくら抱えて
横に立つ。」
生きていた時
おやじが謡った
都都逸だ。
習い性になって
毎夜長い枕を抱えて
眠りに就く。
....
君の人生を色にたとえたら
何色
僕は何気なく聞いた
君は
オレンジ色って笑って言ったね
君らしい答えで
君らしい笑顔だったよ
バラ色ってほど
いいことば ....
離れていても
君はいるよ
携帯電話の中に
「好き」という言葉も
「元気」という言葉も
伝わる
でも
僕は君に触れることができない
肩を抱いて「好き」と言 ....
ことりことりと首が落ちる
シーツの上に散らばる椿の花
ことりとおちる音が聞こえるようで
耳を押さえてうずくまる
何が怖いのか何か悩みがあるのかと
たずねる男の声さえかき消されるほどに
こと ....
俺は
あなたに何か言って欲しかった
あなたが旅立つ時そばにいたかった
俺が
息を切らせて
駅にたどり着いたとき
あなたは1本早い列車に乗った
月の美しい夜
....
いらないなら
誰かにやりなよ
いらないなら
思い切って
すてちゃいなよ
どうでもいいなら
連絡なんかよこすなよ
俺の心を乱すな
オレノココロヲミダスナ
....
まけじゃんけんというものをおそわりました
さきにあいてがだしたてに あとから
わざとまけるてをだすじゃんけんだそうです
ぱーには ぐーを
ちょきには ぱーを
ぐーには ちょきを
ま ....
歌うとき体はかたしろになる
曲が持つ色とりどりの魂のうつわ
声は白く脆い粉砂糖で出来た薔薇の花
またある声は黒猫の目のようなまあるい光を描く
うつわに魂が宿る
誘われるように口からは♪がこぼ ....
僕は好きな池のほとりに
一人たたずむ
その昔
美しき姫が祈りを捧げた池
氷の花を咲かせ
冷たく微笑む
心痛めた者だけが
その冷たい微笑の奥に咲く
優しき ....
ぼくが
のびて
ぱちん
ぱちん、と
きりおとす
それは
みらいでもなく
ゆめでもなく
きぼうでもなく
いきようとしている
さいぼうが
ぼくに
あることを
しらせる ....
月の灯かりが舞い降りた
この街で今夜は
どんな夢を並べよう
涙が出そうなこの刹那達が
私を人形に変えていく
みぞれの私に
どんな色つけて振舞えばいい?
星さえ見えない夜に漂っ ....
僕は
もうすぐ
この部屋を引き払うよ
想い出が多すぎる
君と選んだ
テーブル クッション ベットカバー
君が買ってきた
マグカップ 花瓶 ワイングラス
....
なぁ、注さん。ちょっと、話をしようか。
高木と志村は、浮世のしがらみというか・・・仕事で、ちょっと来れないんだよな。
加藤は、あいつ、渋滞に巻き込まれているんだ。
(中略)
注 ....
遠く 遠く 遠く
それは恋に似た
恋で
スタートラインの踏切り方も
ペースの配分も
わからなかった頃の
記憶の欠片で
遠く 遠く 遠く
それは辿れない
距離で
....
蜂蜜色の飴を舐める
雨の雫くらいの大きさで
人差し指と親指で摘み上げると
ぷるんと揺れる
口に入れると甘くて
しばらく舐めているとしょっぱくなってくる
我慢して舐めていく
気がつくと涙も ....
いつもの道を
いつものように
歩いてはいけない
恩師によく言われたこと
同じ道を
毎回同じように歩くのでは
いつまで経っても
ずっとその場所で
足踏みをしていなければならない
....
白い膜につつまれたぼくらひとりひとりの行き先です
集まっては蒸し返す光の束を
黙って見ています
わざとらしく いまはただわざとらしく
斜め上からの眺めですが
パレードを想像し ....
夕暮れの城
ひかりは厚さを失いはじめひとりまたひとり
公園の砂場から友達がいなくなってゆく
やわらかな指の持ち主を伸びきった影が薙ぐ
夕暮れの城を築く今日の砂が水を失い
ひと葉の小枝を支 ....
たった一つの
偉大なる Earth
その中に{ルビ存在=あ}る
ちっぽけな 自分
その中に{ルビ存在=あ}る
たくさんの 悩み
その中に{ルビ存在=あ}る
一番大きな 悩み
赤道半 ....
実をいえば
俺は
電話ってものが好きじゃないんだ
その俺が
真夜中に
水に浮くキャンドルの
揺れる炎をみて
無性に誰かと話したくなった
誰でもいいって訳 ....
あした て何だっけ
陽が昇ると それは朝 て気がするんだ
確か 記憶では
でも 暗いときもあったような気がして
それも朝だったように 思い出されて
朝 て何だっけ
あした て何だったか ....
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