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陸があって
呟きがあって
知り合った
冬の夜に
繁華街の路上に
落ちた割り箸の
片割れみたいな
よごれ方は
気に入ってる
夏の
失明する真昼に
無数の甲虫が光って
あぶらぜ ....
空が晴れていることを
飴玉にくるんで
青葉を打って落ちる
雨が
夜
ヘッドライトが近づく路上で
浸った黒さの中で
金色の連弾が
跳ね上げる音は
かき乱す
裏側 ....
海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波 ....
悲しみやら
目につけば
水に腕をくぐらせ
滴のきらきらと落ちかがやくさまが
この雨降り以外
かわかし続ける陸のうえ
路の上で
美しくなどないよ
とりあげられたある日は
何 ....
教会の壁は白いものだ
僕はそう思う
緑色の夏の池の前に立って
池の向こうの森に
屋根と十字だけが見える
教会に行こうとしないままに
*
よく晴れた休日には
出歩 ....
僕は睡蓮の池の絵に
名前を付けた
夕暮れ
どこかヨーロッパの石畳の町
大きな花屋が一軒あって
歩道に沢山の鉢植えの花をいくつもならべて
ほとんど黄色の花が多いみたいだけれど
どれも金塊を ....
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に
*
やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても ....
・
痣のある猫がいて
部屋の中に僕といる
・
ベランダで風に
煙草を吸っていると
くるぶしに柔らかい体が触れる
・
敷きっぱなしの布団に座 ....