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{引用=月夜の{ルビ泡沫=うたかた}
ひらいた辞書に
針をおとす}
夜の端を
そっとめくると
月は
その裏側で
輪郭をにじませる
言の葉は
月影を背負い
蝉時雨の風と
果 ....
{引用=見上げた空のたかさを
とおく 感じて}
皮膚はまるで
とうめいなガラスのようだった
ふりそそぐひかりを
全身で吸収していく
こころに咲いた
まだせかいを
知ら ....
ことばの森の中
今日も歩き続ける
迷い込んだ
ずっと奥深く
流れていく
ささやかな小川は
さら さら と
どこに
流れ着くのだろう
ことば
それはただの
ツールにすぎない ....
見上げた空から
はらはら 葉が
ながれていた
なみだ、かと思った
それは
落ちていたのではなく
夕暮れの空
まっすぐいちれつに
ならんで昇っていた
りょうてから
ふわり ....
{ルビ人気=ひとけ}の少ない
菜の花ロード
あなたと肩を並べ
静かに歩き始める
記憶の隅っこを
居場所に選んだ
幼い記憶をたどって
とおくとおく
忘れてはいけない
ささい ....
閉ざされた想い
祈り合わせた手から
こぼれ落ちた
二枚貝
黄金色
さざめく波に乗せて
打ち寄せる波が
群青色の夜に輝く頃
誰かが届けた二枚貝
時を刻み
異国の景色を
映し出す
わたしの中、唯一
開かれた小さな窓から
ぼうっと眺める
つながる点と、点たち
ペンシルが弧を描き
強弱をつけながら
行き先を定める
それは幾重にも覆われ
その鼓動さえも
....
もうすでに
切ったはずのスイッチ
なのにまだ
じわじわと温め続ける
あの時この手で
切ったはずのスイッチ
なのにまだ
どこか心の奥の方で
このまま
切れたスイッチのまま
も ....
身辺整理は着々と進んでいるのに
心の整理はつかないまま
あなたの言葉は
やさしく
残酷だ
身辺整理が着々と進んでいる中
今頃やっと気がついた
あなたの言葉は
額の中に向けて ....
深い深い記憶の奥
絡み合う蔦の
苔むした石橋
深緑に輝く水に
めくり上げた素足を浸し
木漏れ日に目を細める二人
手をとり
見上げ続ける
僕らはいつも一緒だった
それぞれが
....
芽吹きの季節とはいえ
冷たい風が菜の花を揺らし
川面を颯爽と走る
光が流れていくのを
ただぼんやりと見ていた私は
纏わりついた髪をすき
静かに歩み始める
荷物は案外少なかった
....