わだつみ
水島芳野

広い海原からたったひとしずくの真珠を拾い上げるような
そんな途方もない思いで、

今にも枯れ朽ちそうな薔薇を掻き抱き
わたしはこの道に佇む





どこへ行けばいいの?

  靴すら持たずに


どこへ行くというの?

  何も信じられないくせに


どこに行けるというの?

  故障だらけの腕のまま





朝焼けに焼かれ、泡立ちながら沈めばいい
そんな無意義な不安など。


地図を焼き払い、準備を進めよう



「宝物はなんだ」



問いかけはそれだけでいい
選びたいなら目指すだけだ
こんなにも美しい、世界の片隅から。


自由詩 わだつみ Copyright 水島芳野 2008-06-08 11:41:25
notebook Home 戻る