すべてのおすすめ
a)
足りない
右の手
に
朝
本は昨日から
ゆっくりと
閉じられた
まま
b)
たくさんの階段や
もっとたくさんの
階段
のぼる足音や
もっとのぼ ....
西病棟の長い廊下に湿ったモップをかけるから
清掃婦の後姿は僕の幼い娘に似ているから
寧ろそれは僕の幼い娘ではなく君に似ているから
決して君ではなかった
何度目になるというのか また「正」の ....
青い空の向こうから
巨大な顔が降ってくる
にこにこにこにこ
笑いながら
うわあこっちにくるな
洗濯機が、地響きも小さく回っています(グオーヤ、グオーヤ)。床をころがる、ずり回る、LANケーブルの蛇たちはついに世界をぐるぐると征服、電線のフリをして鳥たちをからめとりました。地響きの回転は早くなっ ....
おうい
て声が聞こえる
聞こえる
振り返らない
熊が山を降りてゆく
呼ばれたわけでもないのに
呼ばれたのは
君じゃないのか
とさっきから
そこでしゃがんでい ....
何度も何度も恋をした
した
確かにした
はずなのに
みんなどっかいっちゃって
どこにいったかわからない
どうもすみません
ところで元気ですか
渋谷だらけの東京を秋雨前線が通過していく
地下鉄は簡単
指先のさじ加減で喜ぶことも可能です
走れ!って ぎっ?
トルエンをやめて三年目の兄弟が叩くレジから発生した油
川の流れ ....
一人でいることに、何年も飽きなかった。シートの、海に伝わる神話を読みながら、永く暇をつぶしていた。精霊の女、の横顔の表紙。空腹の中、海に向かう道、カセットで、オペラを聴きながら、わたしは車を走らせた ....
迷子のお知らせをします
赤い帽子をかぶった
ワンピース姿で
後期量産型の
中年男性が
迷子になっております
アナウンスはスロープを
なだらかに崩れ落ちる
伏せられたメガホン
かぶせら ....
記憶は
思い出に似ていて
にどと戻りはしないのに
私の体を小刻みにふるわせる
港町の風景が逆光の影のように
寒くてしょうがないのはきっと
季節を呪った
ブランコのせい
吹きかけ ....
もう出会うことのない
未来の恋人たちに
かすかに血の匂いのする親密な
Hello
自転車の荷台にフランチェスカが座る
バスタブのお湯がフランチェスカのぶんだけあふれる
回送電車 ....
午後3時に建物の外に出ると
ひとっこひとりいなかった
というのは冗談で
こんな大雨なのに
腕を組んでいる二人組がそこら中にいる
かくいうあたしだって
日付が変わるころに
お酒に飲まれ ....
黄色い線までお下がりください
下がってますよはいはい
車掌さんいつもありがとう
風の強い夜
電車は黄金色に煌々と輝き
静かにわたしの前に滑り込む
ドアが開く
乗らないでいると
後ろ ....
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している
その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
よる寝ていたら
彼が帰ってきて
ひどく酔っていて
わたしは体を起こした
そしたら女の声がして
女もひどく酔っていて
大きな声を出してる
「もう帰れないんだし泊めてよ」
髪の長い
白っ ....
逮捕されたそのオトコには
十億円の借金があったそうだ
四十年のジンセイで
どうやったらその借金が出来上がるのか
そしてそのオトコの数年は
十億円の価値のある
ものだったのか
それとも
....
夜明けはちかい
けさは3時から起きて
調べものをしている
ほんとうはきょう
水曜日はぼくの公休日なのだが
うちあわせがあって午前中だけでも
でてくれといわれたの ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする
抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ
産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした
今も少し
する
....
*
目覚めると音のない世界
カーテンの隙間から灰色の光が射している
明けていくカーテン越しの光のなかで
青磁の肌が鈍く輝く
この部屋はこんなふうに朝を迎えるんだね。
僕は君を置き去りに ....
明日、うわさでは僕は傘をうわさどうり
に、こんこんこんこんからりんこ、としてやった、、不謹慎
1920年〜1924年にかけて徐々に生まれそして
育った僕はロシアへ向けて竹やりを数分間添えた
だ ....
「笑わなくていいよ」と
店長が言ったので
わたしは笑わなくなった
一本調子で値段を読み上げるだけ
夜のコンビニに、エロ本を買いに来る男を
警戒するようになった
バイト終了時間の待ち伏せ ....
今夜は
無性に 胸のあたりが苦しいので
闇の中
家の裏山に ドラえもんを探しに行く
おそらく
好物のどら焼きをえさに
すずめを捕るような仕掛けで
竹篭を逆さにしておけばよい よう ....
あざのない君の美人 ささくれのない惑星に
イチゴ食ってこぼしてシミつけた
その場限りハンキチガイプチ悲鳴
偶像は惜しみなく白い内臓送信した
たいしたことないカマキリ風の未来感覚で
キ ....
くそ じじい と
おまえは また そのすこし
ぽってりとした くちびるを ゆがめて
はきすてるように いうのだろう
なんだよ と
ふたりのあいだにある へだたり ....
「病院」と云う単語を口にすると、決まってあたしの脳裏には秋の終わりの桜並木が過る。枯れた葉が風に巻き上げられ、足を進める度にかさかさと乾いた音を発て、粉々に散った。手が冷たくて、外套のポケットに入れて ....
おばあちゃんがわらっている
黒豆があんまりにもふっくらしていて
それはね、圧力鍋で炊いたのよって
たねあかしをしてしまうのが惜しいくらいに
私の魔法であると思わせたかったの
私は去年 ....
噛み付かれながらもまっすぐに
吸わいとられる
ごむ。
メるヴぇいゆ。
夜のくうきに両手を挙げては火のような けつえきに、覆われていく あばらのやまの 影から見つめる わたしは
あなたに
....
きのう
ゾウガメに乗って
都庁へ行ったら
穴がいっぱいあいててさ
モグラはみんな1メートル
ふさふさした毛で
ごあいさつ
鉄筋も
コンクリも
大好物なんだってさ
かわいいね
わた ....
ほら
こうして
鈴をつるしたフラスコの
空気をだんだん抜いていく
鈴の音はやがて
震えるだけの記号となって
あのフラスコにわたしは
どうしても
ティンカー・ベルを入れ ....
山にこもる友達が
もう疲れたからって言って
キャンプ場から2、3キロ離れた場所から
ずぶぬれで降りてきた
俺の部屋で毛布をかぶり震える指で
タバコを吸うので
うまいかい?と尋ねたら
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32