すべてのおすすめ
使い方も覚えた
ようやく
夏が乾き
昨日へと遡ってゆける余裕が生まれる
抱えたことのない問題によって
ひとは計られるとするならば
誰も 誰一人として
濃い青空や
水に濡れた感熱紙に
....
えりちゃんのにおいがして
雨がすこしふった
きれいなえりちゃんはふきげんで
ようふくの襟を
ひんまげて
おとうさんはとかげを撫でて
まどを
すこし開ける
えりちゃんの隣に ....
血を 花を
みどりの草地に散らかして
突っ伏している 兵士たち
風のニュアンスを聞きわけた
鳥は しばらく帰ってこない
家具屋に行った
広いフロアを丹念に見て歩いたが
家具はどれも高くて
困ってしまった
結局小さな置時計をひとつだけ
買って帰ることにした
また時計を買ってきたの?
呆れ顔でそう言う妻に ....
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 ....
未開の地に降り立った
巨大なる男根魔人の翼
の陰にひっそりと咲く
可憐な一輪の花のよう
なあなたは道行く人々
の喉元に見境なくその
尖った牙を突き立てる
のだけはお願いだから
もうやめ ....
車の走る音が聞こえていて、「くらい」と「くろい」の境目をさがしています。光る点は、ぼくは、時間とは。かすかに白がぼやけて湿らせた夜、ゆら・ゆれるあふれをせきとめるようにして、すれ違う日々/人々をなぞり ....
自転車のペダル踏み、学校を出てすぐに
いつもの、知らないおじさんに携帯で写真を撮られる
足下には、夕焼けが落ちてきて
ああ
影がもしもこのままなくなれば
世界は終わるのではないかと
思いな ....
とどがいます
打ち上げられました
寝ています
どこにも行けません
助けて
なんて頼まない
とどだから
なんだか疲れたので
しばらくここで休みます
ひとりです
ダイヤモンドダスト
....
ため息が汽笛となり
涙は色の無い雨となり
配膳車で旅をする
乗っているのは
おまえたちというより
俺たち
港町
哀歌
巨大なカウンターに腰掛け
俺たちは
おまえたちの肩を
そ ....
ふでばこを開けると
アフリカの草原が広がっていて
夕日に向かって一人
お相撲さんが
四股をふんでいる
何故あの日
僕はふたを閉じてしまったのか
守るべきものなんて
まだほんの少しだ ....
夕暮れに出会ったあなたと
お酒を飲んで
煙草を吸って
ホテルに行って
セックスして
テレビを見て
お水を飲んで
別れた
通りをふらふら歩いていたら
太鼓の音がぼんぼんぼんと
聞 ....
いつでも石を
なげつけ られたがる
ひんぱんに騒ぎを
おこさずには おられない
そんな人たちの そばでは
夜
知らない住宅街を
自転車で走っていたら
なんだか怖くて
気がついたら
みんなが家の前に座っていて
ああ困ったな
困ったな
そう思いながら
わたしはペダルをこぎ続けて
前から
....
ジャララ
6月の弾力はぼくらを弾ませる水力が
そこらじゅうで揮発する
近すぎる誤解を向日葵の種の側に埋めたりする
ジャララ
太陽の方角を追い続けていくことも
ぼくらには必要なことかもし ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
トキくんはバリヤーをつくった
トキくんはあたしのためにバリヤーをつくった
あたしがどんなに危険な目にあっても大丈夫ってバリヤーをつくった
トキくんがつくったバリヤーは ....
濡れた鉄塔を越えて
そのままの振動で
ゆがんだステンドグラスを割らないように命は膨張する
このふしだらを運転する技師は
都市にいる幼児のみに聞こえる歌を
アドリブで歌う。
朝刊を配 ....
双子の兄弟が天秤の右と左に乗った
同じものを食べ同じものを着ているのに
右にのった弟の方が重かった
弟が髪の毛を数本抜いて
ようやく天秤は釣りあった
天秤から降りると
母親は二人の ....
夜闇。暗さに光線、たとえばただアスファルトの隆起したひとかけらを照らしている。点は(このままだよ)とささやき、いつしか光の粉をまいて。すふすふと積もり、埃のようにけむりながら少 ....
わたしの恋人は
痩せていて
あまり食べないの
お酒と
煙草と
お刺身が好き
映画と
音楽と
こどもと
カメが好き
たぶん
わたしのことも好き
部屋の中で素振りをしていると
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる
シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていた ....
めぐりきた
この日はなぜやら 決まって晴れる 蒼い
冥い中天に垂れなびく布帯 黄 紫 緑
八方の声明 太鼓と鉦 衆生の足は土をたたく
たたく
肉焼くにおい 黒ずみはじめた果実の甘露
巡 ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
太陽とは太陽系のなかでもっとも内包する矛盾が大きい存在だ
くだらない分別
分かる、理解する ということのくだらなさ
そして逃す
逃し続ける
分からなものを逃し続ける
つまり不幸だから分 ....
大きな犬に
吠えられたので
逃げる
逃げると
追いかけてきて
かぶりと
噛みつかれる
そんなことは分かっている
分かっているけど
大きな犬だと
怖いから逃げる
逃げると
....
愛情を持ってことばと向かい合う
簡単なようでむつかしい
誰かの作品を読む
誰かの日記を読む
誰かの声を聞く
誰かの
親しみを込めて私はそこに立つ
私の親しみを
だけどあなたは知らな ....
毎日たくさんのものが
あなたから生まれることを知っている
それは言葉であったり、声であったり、感情であったりする、けれど
それらはあなたの分身でしかないことも知っている
そのことをあ ....
放送室では今、とてもいやらしいことが行われている
マイクの編み目一つ一つ、アンプ、インジケータ
視聴覚室で上映されているビデオ映像
ズームイン、ズームアウト、駆使される技術
....
雑音まじりのレコードを絵にしたら
古いテレビの画像みたいになって
鳥と葉っぱの区別がつかなくなった
川べりを歩く ゆうぐれ
右の道が途切れると
橋をわたる
左の道が終わりそうになった ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32