すべてのおすすめ
痙攣している右手で
聞いたこともない山々や
見たこともない街並みを描く君
僕はくだらない登山家として描かれ
どんな街並みなのか見ることもなく
いつまでも登り続けている
だけど君の手が震えて ....
水びたしの指で
コンセントに差しこもうとした
叱られた
しらない世界はいっぱいある
目のまえのオーブンの火照りもしらない
けれど追いかけたりしない
食パンにまかせて
いいとおもう
....
いつまでも
と誓いをたてるにはあまりに幼すぎたのだ
姉は朝食の後片付けをしながら
思い出し笑いをする
覚えてもいない妹は
今年初めて夏服に袖をとおした
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
この世界
この大地
この地球
に
性別があるとしたら
女だ
勝手に征服され
勝手に耕され
勝手に区分けされて
でもあまり
関係無い
ほんとは
関係無い
そ ....
くっきりとあなた
顔 も良く分かり
なめらかで豊かな曲線 も
温かくやわらかな感触 も
鮮やか
昂り も
息遣い も
鮮明に
ただ 熱心に セックス
透明な セックスをすると
夢精 ....
夏前に夕涼み用の長椅子を作ろうと思い立ち
道具を探しに戸の開きの悪い物置に
金槌、鉋、釘 ・・・のこぎり
柄に赤いビニールテープの巻いてある
癖があるのに手に馴染む
ギーリゴッソ ギ ....
そらいろの
きれいなびんをひろったので
ていねいにあらって
ひるのあいだ
えんがわにおいてみた
ゆうがたには
とうめいなみずがいっぱいたまって
びんのそらいろが
ゆるゆるととけだし ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
ずーっと鳴いてる
引っ越しの後、ずーっと鳴いてる
集合ポストの下、ずーっと鳴いてる
探してる
空くはず無いと思っていたのに空いた場所に
キミが寝る前に羽織るパサッりした服
部屋を見ればドコで何したか全部わかるのに
本体が消えちゃった今、そんなもの残されてもなぁ
一つ一つの形跡か ....
今から
向かいます。
と
彼方からの発信を受けて
待ちきれずに
窓枠から
片目をのぞかせる
目の中に飛び込んできたのは
方向音痴の雨粒だけだった
そういえば
....
あいかわらず颯爽と世界は血をはく
めくるめく憂鬱にようこそとぼくは言いたい
今日も殺される夢を見たよ
教室によくいるちょっと苛立つ奴の真似とか
無駄に上手くなったりしたよ
削除されたホームペ ....
食卓レモンのかなしみは
食卓ってなんだ?と
となりのワサビに聞かれたり
きいろの表面に こまかい凹凸
みどりのふたが 大きすぎても
レモンになろうと
もがいているようで
かなし ....
昨日 いつも市場で会う少年と水遊びをしたとき
「お兄ちゃん、腕まくりが似合うね」って言われて
戸惑って
戸惑ってしまったまま 朝が来て起き上がる
いつもと同じように寝床に向かい
膝を曲げ 腕 ....
空き缶だらけの中から割り箸を見つけて
しかも 割れてなかったから割ってみた
それだけだ
見通すことも 燃やすこともない
トイレの壁紙はお前のシャツの柄に似てくるだろう
その薄い胸毛を 蹴 ....
フォークでスパゲティを豪快に巻く
彼女はそれを大きな口に放り込んで一飲みにした
「続けてよ」
僕が口に出すワンテンポ前に彼女は大きな口を開く
「馬鹿みたいだよねぇ 戦争なんて 殺し ....
ひろびろとした
大学の教室の
誰もいない
こと
たしかめて
侵入した
空調は消されていた七月の
ブラインダーの降りた
その場所で
母の作った弁当を
箸の音
なるべく立てず ....
平日
関西には大阪という名前の大きな猫がいて
背中に通天閣を生やしたり
わき腹に天王寺を縁取ったりして
とても猫とは思えないような奇声を発しながら
のそのそと同じところを行ったり ....
困ったな
すごく困った
気持ちいいところ
ずっと押されてるみたい
ビリビリビリビリ
警報が鳴ってる
ドーパミン大放出
わたしもあなたも
快楽に弱いのは一緒
すごい
気が合うね
....
このバスはどこに行くのですか?
運転手さんに聞くと
どこにも行きませんよ
と答える
もう走り出しているというのに
どこにも行かないとはどういうことなんだろう
不思議に思っているところで目が ....
わたし
そうでもないよって
思うけど
「メシでも」
って
何度も誘われるのは
ちょっといい気持ち
明るい挨拶して
あとは知らないフリしてたのに
あの男
しつこかった
....
ざーっと音を立てて
洗い流す
全部
全部
何も残らない
自分でもわからない
とりあえず帰ります
ぬるい夜風
タクシーを止め、
乗り込んで目を閉じる ....
呼吸が浅くなり
何度も何度も溜息をつく
胸が苦しく
膣が潤っている
どうしよう
わたし
誰でもいい
わけじゃないのに
誰でもよく
なってくる
あなたのこと
嫌いだ ....
富士の樹海にこもって
ひょっとこの面に
草刈ガマをもって
自殺しにきた女共に
のっかりたい
一枚岩のうえで受精したい
生命を宿す
ハッピー。
木のうえに住んで
悪魔をみせよう
....
独りの部屋で
暑い、暑い、とつぶやきながら
服を脱いでしまった
裸になってしまった
シャワーを浴びようと思ったけど
面倒で動けなくなってしまった
今日はとても疲れた
エアコンをつ ....
1
はがき一葉
舞いこみ、大要、
「言語障害が発症しているようです。発作もなく、突然電話中に失言症になり、思う通り表現できなくなりました。脳血管障害なら軽い症状で、希望が持てますが、アル ....
おともだちとお茶
いいかげんなわたしは
話し相手に
いいらしい
少し欠けた茶碗は
お気に入りのブルー
だから
捨てないで
使ってる
天気の良い日は
遠くへなんて行かないで
....
少しも思い出せない大切なはずの夢
昨日という日にそんな忘れもの
明日までにはぜったい きっと と
来る日も狂ひも ずっと今日狂のまま
昨日の忘れものはかならず戻 ....
艦を降りた
降りてから数週間が経って、僕は何も変わらない
ホッと出来た反面、逃げ出したかのような
背中の角度が、そんな居心地の悪さを証明している
不必要なほどに、窮屈に歪んだ作業服の皺
綺麗 ....
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