10W×56L
大覚アキラ

未開の地に降り立った
巨大なる男根魔人の翼
の陰にひっそりと咲く
可憐な一輪の花のよう
なあなたは道行く人々
の喉元に見境なくその
尖った牙を突き立てる
のだけはお願いだから
もうやめてくださいと
いうような悲痛な物語
に一同揃って号泣なん
ていう陳腐極まりない
孤独なドラマはいつも
隣の部屋から午前2時
をまわった頃に聴こえ
てくるのですが最近は
むしろ猛烈な腐臭の方
が取り締まり対象とし
て警視庁および関係省
庁から厳重な監視下に
置かれていることを絶
対に忘れてはいけない
よとしょっちゅう口癖
のように呟いていた曾
祖母が昨夜遅くアンデ
スに続くこの道を歩き
始めた困難な速度にお
ける流線型が今まさに
開始される交差点がフ
ラッシュバックする青
い角度と強度の角膜に
よって震えて欲しいと
青く撒き散らされた凶
器と無益に費やされた
ワイングラスが遠くの
風に揺れているという
曖昧な合図を見る午後
の夢はどこまでも赤く
限りなく赤く物寂しい
太陽の重さに気が狂っ
ているように思えるロ
デオの壊れていない馬
から払い落とされるた
めの終わりと始まりの
ないイミテーションの
世界ではあらゆる外部
がすべて同時に内部で
あり相手を衝動的に殺
すようなことぐらいい
とも簡単にやりかねな
いような斬新さで世の
中を圧倒してやまない
という事実が私の心を
激しく掻き乱しながら
やがて回転は徐々に減
速していくのだろうか







自由詩 10W×56L Copyright 大覚アキラ 2005-06-15 00:53:57
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