すべてのおすすめ
古タオルに黒マジックで
ぞ う き ん と書いた
ぞ う き ん
なので反対側の端っこには
き り ん き ん と書いてみた
き り ん き ん
家人に見せると
きりんきん では ....
家族の写真がない
両親が離婚すると決まったとき
それでも家だけは誰かが守るだろうと信じ
写真はすべて置いてきた
そしてすべては処分されたと聞いた
いつかここに帰るかもしれないとい ....
君は僕を
まだ待たせる気なんだね
今まで20年も待っていたのに
更にあと30分も
○ところで皆さん!
ところで皆さん!
口を開けてください!
と、日記に書いた
書いたのは私一人
読むのも私一人
そこから先が続かずに
皆さんが口を開けて待っている
....
とろとろと笑う
あなたの目のしたのしわ
みぎ と ひだり
違うようにおちている 目じり
かわいく
ひざの上からまだ
離れない
おもく あまい 温度
生きていること
わたしに教 ....
それは十二月二十四日のこと
日々忙しい二人も、この日だけは会おうと
どうにか予定を空けて待ち合わせた
場所が学生街も近い高田馬場とはいえ
こぎれいな店はどこも予約で一杯で
二人はしかたなくフ ....
コロッケだ
コロッケだ
今日の夕食は
コロッケだ
肉屋が揚げた
目の前で
包み紙の
いちまいは
香ばしい油で
透き通って
透き通って
赤銅色に
きらきらとして
三十円だっ ....
きみにとってぼくがそうであったように
ぼくらにひとつの指針が ....
今年の鮎う ちっこおてえ、
{引用= 夕方
小さい頃から毎年聞かされてきた
親父の秋を告げる声
ここ数年は}
空港工事で もう釣れんわいね
{引用= と続く
....
熱海といわれても
有名な温泉地という以外
実はなにも知らないのだった
このお題、絶対残るよなと思いつつ (※)
毎週書きつぶしていったけれどやはり残りつつあって
途方にくれながら飛行機で ....
「きんぎょ」
かすかに覚えている
ものごころついたとき洪水があって
まだ泥だらけの
でも復興しかけた町で{ルビ市=いち}がたって
母に手を引かれ買い出しに行った
長靴が泥でじゅぽじゅ ....
アメリカ人はみんな金髪なんだと思ってた
マリリン・モンローがそうであったように
売れたいがために染めたのだと知ったのは映画を何本か観た後だった
TVじゃ相変わらずデイブ・スペクターがからかわれて ....
きゃらめる 2
たまご
1
もしもし
だれかがよんでいる
こんこん
かべがふるえている
へんだ
わたしまだ
みみ ....
「義男や
あんた、あたしを年300万円で捨てたね。
路上や山に捨てたら犯罪だけど
ホームなら犯罪じゃないんだね。
ゴミと同じかい?
あたしは?」
「恵子さん?
あなたは清 ....
私の前に渇いた冬が横たわり
私は枯れた花に叱られていた
道には鳥が落とした羽根があり
私はそれを拾って空へ投げる
冬空は何か物悲しいと言い
私は何が物悲しいかと訊く
ただ確信をもっ ....
天城峠の牧場で
猪たちのけなげな芸をみた
観光バスに乗りあわせた貴婦人たち
厚ぼったい化粧をしたのやら
寒くもないのに毛皮をはおったのやら
やたらに貴金属を装着したのやらが
少女のような歓 ....
産婦人科から出てきたみえこが
あっけらかんと言った
「二ヶ月のなかばだって」 ....
私の方向音痴を笑いながら
手を引いて
東京タワーはあっち
六本木ヒルズはあっち
あれが皇居
お台場は向こう
新宿はあのあたり
晴れていたらあの辺に富士山が見えることもある
さて
あな ....
ある乳飲み子は
愛ある母の乳を飲み
栄養の意味を知らずとも
子供に育ちゆきゆきて
ある男子は乳を忘れ
愛撫ゆえに乳首を吸い
重ねる日々に乳房を選び
ある日衰えを知ってゆく
ある ....
せなかあわせじゃ
きになるもので
おなかあわせて
しせんあわせる
なんかしあわせ。
*
せなかとおなかあわせ。
とうさんのおなか、なかなか
あったかい。
うえをむいたら ....
夢のなかで
影踏みをしていたら
踏まれたわたしの影が
スッとあしもとから離れた
夕暮れのながながとした影たちのなかに
わたしは自分の影を見失った
目が覚めて
燦々とふりそそぐ陽の下で
....
思いと傷の深さは比例するという
言葉のあやとり キャッチボール
傷の深さ 存在を笑顔の奥にひた隠し
おざなりの営業スマイルで
微笑むあなたは どこかの他人
犀川の河原
しゃがみ込んだらあ
対岸の
浴衣色が滲んでるげん
うちの気持ち
いっくら解いても
解いても
頑固に
縺れていくじい
いじっかしい
こんな
うちの気持 ....
我が国の経済発展および
国民の豊かなる生活のために戦い
既に残業月百数十時間
この酷い戦いに散った魂は
靖國の英霊となれるでありましょうか?
嗚呼諸外国の安き人件費で生産された
数多の ....
紙に書いてください
書けるものならば紙に書いて
紙に書いたそれを見せてください
世界を
モニターの向こうにまで感じるとるためには
第六感まで動員しても
なお追いつかないような想像 ....
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという
静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという
小走りに途切れて
靴音の後ろか ....
ある時あなたが産まれた
あなたを抱いた看護婦さんは
「わあ〜やわらか〜い」
と、とても暖かな気持ちになった
ある時あなたは小さな子供で
あなたのまるいほっぺたを見たおじさんは
「ああ、 ....
窓枠の向こう側に海溝が寝転がっている
紺碧が逆立ちした午後
ぼくは物語と煙草を携えて
ゆらり生える象鼻の先に
時をぶらさげた
路地裏の化石にチャイを注ぎ
....
切なさをもっとたくさんください
君のお父さんとお母さんは
中途半端に愛し合っていて
ほんとうは 友達だったけど
セックスも何だかなまぬるくて
彼はずっと壁を見ていて 彼女は天井を見ていたので ....
まばゆさの
明かり障子 前にして
あらゆる形状の輪郭は
努めて 溶け
まばゆさの内にあり 薄く 美しい水墨のようで
それでいて
あらゆる形状は 悲しかった
思わせ振り ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24