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「きんぎょ」
かすかに覚えている
ものごころついたとき洪水があって
まだ泥だらけの
でも復興しかけた町で{ルビ市=いち}がたって
母に手を引かれ買い出しに行った
長靴が泥でじゅぽじゅ ....
かぐわしいてんごくのような体験は
薔薇体験
といいます
いっぺんにしらがになるような体験は
灰体験
といいます
きみのことばで
薔薇になったり
灰になったり
おお いそがしいこと ....
遠くを見るよ
とおくをみるよ
岩に開いた小さな窓から
とおくをみるよ
涙は軽石の窓枠に
音も立てずにすいこまれてゆく
誰か
小さな梯子でここまで
登ってきて
ザラザラに負けないで ....
ぼくにとってきみは さいはて
とどかないとどかない どんなにおもっても
ひさしぶりにきみのゆめをみて
ふういんしていたみずうみのそこから
うすあおのあわがほこっとうかんできた
あいた ....