すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった

少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
今日は月夜かと思ったら。
空にあいた穴からボトボト蛍光色の液体が流れてきた。

筏でも作ってあの穴まで漕いで行ってやろう。

穴はいくつも空いていき、様々な蛍光色の液が混ざり合って
風景が ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて 
帰ってこない のに


201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
落っこちたのに
僕は生きていた
確かめるものはなく
暗い陥没点から深く
上空
光の一点を見つめていた

ねじれない空気
透き通る闇
すすけた壁
恐いのにただぼんやりしている

 ....
どこかの方から誰かが去って
白い砂漠がぽつんとあって
顔のない人が歴史の本なんか読んでいるのでした
私は私を側に置いて
私を見つめ続けなきゃならないのでした
ひとつ思うことがふたつに別れ
 ....
気が付けば、漂流している目覚め
手を伸ばすその先
十センチメートルで
落ちるばかりになっていて
とりあえずここに、漂っている


どうやら
世界の端は滝になっているらしい
落ちてしま ....
電子の気配に
目覚め

点滅する記憶を再生する

あれは 5月だったね
細く開けた小さな窓から
ふたりして夕暮れを眺めながら

またこの季節が巡ってくるといい、と
小声で話した ....
月曜は、月がよろこぶの、
自分の日だ、って、
新月でもないのに、
月が飛んでいく。

二時ごろ、
線路に立っていると、
へんなかたちの電車が止まる。
車内は奇妙にあかるくて、
気がつ ....
街の上で
朝を 投げている

小さな 丸い 飛沫が
きらきら ころがりながら
あふれかえる

夜よ
よき 友人よ

くりひろげられる
問いの多くを 吸い取り
泣きな ....
  雨が降る日曜日の午後
  雨宿りをした金木犀の木の下で
  電線に連なって揺れる雫を見ていた
  耐えるように震えながら
  世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
  君はその小 ....
おだやかで生ぬるい風
消毒液のにおいを消してくれるまで
君の部屋には入らないと決めた
病院からすべてを見下すように続くながい下り坂を
ガードレールにぶつかりながら歩いた
僕の手は機械 君の手 ....
暗い
宇宙の夜に中に
最初の人間が現われる
途端に 宇宙の空は晴れ渡る
ように見えるが それだけだ
相変らず
宇宙は 際限のない夜に包まれている
最初の人間はぼんやりと坐りこみ
すべる ....
毎日が 
ずっと、遠浅だったらいいのに

って、言ったのは
あなただったか、わたしだったか、
もう わすれてしまった
うつろいやすいふたりだったから
ただ
手をつないだ

波が
 ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです

夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
 ....
たとえば
この曲をきみのために捧げたとして
いったいそれに
どんな意味があるというのだろう

おれは
もはや ただの亡霊
朽ち果てていくだけの運命

白鳥の視た束の間の夢の中で
歪 ....
そこいら中に溢れる言葉が
私の角を削り取っていくよ
奔流に晒された丸い石ころ
転がる石はロックじゃない

貴方に言いたかったことは
いつだってのどの奥に蟠る
何時から貴方と私の距離は
 ....
溶けるまで
眠れそうな遠くの日々が
溶けていくまで
深々と、動かない部屋で
指を折る
指を折る


ありきたりな言葉では
追いつけなくなりそうで
街灯がつくまでの時間を
静かに歩 ....
地球はもうはぜてしまったくす玉だ。色褪せたリボン。散らばってしまった紙吹雪。蔦はどこから生えていいかわからなくなって、橋桁から橋桁にかけて危なっかしく川を渡ってゆく、川の向こうには一本のけやきがあり坂 .... もうすぐ船が発ちます
朝までには雨の都に着きます
深い夜にさしかかる船室で
二分の一の足取りの 旅の者は寝床に誘われ
誰も彼ものまぶたが重く まどろんだ呼吸が漂っています

共犯者のあなた ....
踏み込んだところが山の入り口でお眠りここがゆめの入り口


僕はまだ死んでいないとあなたから雲の手紙がひろがる深空


この花の名前をあなたに聞いたはず昨日の夢の廃屋の庭


生きて ....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている


嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから

 ....
さらり、さらり
さら
さら
さら

もう少しで越えられそうな
海辺の砂の城が
指を折る度に
遠ざかっていく

懐かしい人の声で
ここから離れることのない
耳の奥で鳴り続ける乾い ....
誰かが言った 蒼穹は大地を抱きしめていると
月まで行かなければ空に抱かれる地球は見えない
遠い星まで行く気がないのなら
僕らが何に抱かれているのかは いつまでも分からない

         ....
やわらかく流れる小川わたくしのちひさな闇にきらめくひかり


クローバー探して回る少年と少女の絵画にみとれるぼくら


ぼくたちのこの関係を奪うのが風なら運び来るものも風


河原に ....
夜は死ぬ
その中に秘密を宿らせたまま
ふたたび夜が生まれ変るまでの
小さなひととき
人は夜がその死に際して降らせた
ばらばらの
暗い破片を
胸に突きさしたまま歩く
何かおかしい
どう ....
蝶々蝶々蝶々蝶々
あの街へまっすぐに続くこの道から
次々と黒揚羽が湧き立ってくる

蝶々蝶々蝶々蝶々
抜けるような今日の空から
次々と大水青が舞い降りてくる

午後二時
陽が自らの重 ....
  暖かな雨に追われて迷い込み君と出会った六月の町


  徒に花びら数え占った恋の行方を君も知らない


  花は花やがて綻び散るものの定めの前に花鋏有り


  裏庭でか ....
現れては、消える
どこか遠い宇宙で
星がはじけるように、生まれるように
現れては、消える
深い
深いとだけ言える心の水面の縁に腰掛けて
切るようにしてつま先を遠くへと投げ込めば
それは確 ....
山の端にさそり座一つずつ昇る
釣り針の尻尾が銀河を吊り上げる

文字盤を重ねて二つの柄杓時計
麦と真珠 腕をそらせて指ししめす

冠をひとに贈りたがったひと
冠をひとに贈りたかったひと
 ....
塔野夏子さんのおすすめリスト(1178)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
すべてのあとで- たもつ自由詩4705-6-2
月の穴- 佐藤伊織自由詩14*05-6-2
メゾン_『ノワール』- 千月 話 ...自由詩34*05-5-30
たどる- 石川和広自由詩9*05-5-30
誰かが去って- tonpekep自由詩7*05-5-29
漂流- 霜天自由詩1005-5-29
リロード- 紫野自由詩8*05-5-29
月曜の夜- ピッピ自由詩505-5-28
とべない_鳥のために- 砂木自由詩16*05-5-28
六月の二人- 嘉野千尋自由詩13*05-5-27
しゅかん- 示唆ウゲ ...自由詩105-5-25
人間- 岡部淳太 ...自由詩6*05-5-24
とおい日の、ホライズン- 望月 ゆ ...自由詩19*05-5-23
星めぐり- はな 自由詩39*05-5-22
或る夏の理由_「風の通り道」- 藤丘 香 ...自由詩33*05-5-21
ファントム・オブ・ザ・パラダイス- 大覚アキ ...自由詩1*05-5-20
低体温症候群- コマキ自由詩4*05-5-20
モノクロームの窓辺から- 霜天自由詩805-5-17
地球はもうはぜてしまった- 佐々宝砂自由詩105-5-16
約束- たちばな ...自由詩405-5-15
DAYDREAM_BELIEVER- 本木はじ ...短歌1205-5-15
ソネット(触れている)_(2005.5.15)- 和泉 輪自由詩2505-5-15
少しだけ寂しい音に- 霜天自由詩705-5-15
寓話_H2Aと抱擁の関連- クリ自由詩305-5-15
見上げる木蔭に思い出が降る- 本木はじ ...短歌11*05-5-13
夜の鍵- 岡部淳太 ...自由詩6*05-5-13
夏__午後2時- 黒田康之自由詩405-5-13
紫陽花ヶ丘- 嘉野千尋短歌16*05-5-12
日々のゆらぎ- 霜天自由詩1105-5-10
立夏直前- 小池房枝俳句12*05-5-8

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