ありがたい
ああ
つながっている
どんなに遠くても
宇宙の内だ
静かに狂う
私を
認めつつ詩を
書いていたのであった
私は昔
こころの底に
流れていた
川の音を
ずっと聴いていた
生まれることが出来なかった私の子は
愛を知ることもなく
や ....
通り過ぎて
あなたの胸に
影になってから
はじめて言葉がきらめいた
海老蔓の秋 はじめから 記憶の形をして
深まるにつれて、
透きとおってゆく、
ちいさな、
白い水晶の房をつけた、
きみの髪にも飾りたい、
むすうに秋の野原をかざる、
あかるい大地の、
かんざし、
赤トンボたちが飛んでいる、
....
あなたは静かに家をつくりはじめる
静かに 何年もかけて
あまりにも美しくそれは成されたので
家ではなく 森や 額縁や ひとかたまりの風に見えた
静かに何年も何年も
何年も何年 ....
気がついたら雨はやんでいた
部屋は静まっているのだと
知る 僕は
僕の静寂の存在を感じ取らされた
さっきまでしていた 音を 僕は
その 降っていない 雨に
思い出していることで
{引用=
眠る街 .
何時でもそこに在る .
夜明けの灯り
はすぐそばに .. …
港に漂着する
まで .
____ _ _ ....
思い出になった
私
あなたのこころに
住んでいるのか
ここはあなた
ダイヤモンドの針をそっと置く
行っておいで
想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
雨が降っている
雨だと思う
すべてが細くなる
無い言葉
はずれた草花
消えていく庭は
町工場のところで
途切れてしまった
ノートの中にある
わたしの罫線
罫線に隠している
....
新しい童話ができました
美しくて優しいお話でした
子供たちは喜んで読みました
けれど一番夢中になったのは
大人たちです
雨上がりには虹が出ると
いつまでも信じ続けました
どこから ....
小径にすぅと鬼やんまが消える時も、
林のひんやりとした木陰にある草はじっとしている。
座椅子にふんわりとすわる。
自室の窓から入ってくる光が淡くなっていく夕方。
今日死ぬかもしれない私。
....
銀河の岸に
青い花
青い花摘む
小鬼がひとり
私に手をふる
小鬼が言ったありがとうに
私は縁どりをして
「ありがとう」と返したら
小鬼と私は消えて
「ありがとう」がのこった
....
「私たちのそれぞれにある魂という命は、
宇宙の魂と今もつながっていると思う」
こう書き出した あなたへの手紙。
何気ない今がうれしくありがたい。
窓からの光を見つめて思い出す
たいせつな気持 ....
僕の部屋は世界の一部を切り取ってできた図書館
明るい修道院でフィヨルドの冷たさを内包している
戦争でたくさんの僕が死んでゆく
たくさんの君が失われてゆく
誰も混沌からの道筋を知らない
....
春はゆううつにね
外はうつくしいんだけどね
空は
空の外をしらないね
僕はいつか
僕の外を知ることになるね
たぶんそうなれば
春も空もなくなって
僕も僕の ....
混乱と叫喚が殺伐とした公演から
喝采が剥がれ カーテンコールが轢かれたときに
眼光に直結する額縁を掛けかえる
今宵の円舞曲は
ネオン街に煤けた焔の幕にございます
憑物を尾としたポートレートが ....
これも運命
天の自由だ
と
真昼の幽霊は言った。
天気雨きららきらら
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
{ルビ蜩=ひぐらし}の歌う
夕暮方に
西の空は 蒼く透けて
予感が
宙に解ける
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
くすぐったいほどに会いたい
あなたはイメージそのもの
手を伸ばせばすり抜ける
あなたは実在していないから
ただ陶酔だけをくれる
眩しく形のない憧れ
水を得た夜空です
夜には澄んだ真水がある
手をのばして
触れようとすると
逃げてしまうんだね
小さな星に隠れた
君の息づかいを聴いていると
とても静かな胸の内では
真水が溢れてくる
....
魚が星を眺めている
水の中には他に
眺めるものがないから
魚はただ
そこにいないかのように
ポカンと
存在だけがある
ふと最終列車が到着する
魚は乗り込み
自分から遠 ....
遠くまで
悲しみを はこぶのに
蝶をつかった
少しずつ
少しずつ
悲しみをちぎっては
蝶たちの背にのせた
けれども
かなしみは もう
重すぎて
蝶はみな とべなくなった
....
漆黒の
闇の静かさに
潜むもの
余白、一拍
風吹き抜け
傘がない
貴女に逢いに行かなくちゃ*
街はイルミネーション
降りしきる
雨、冬の
開ける海
初めてみた
その広漠 ....
私の
命は
傷だらけ
だけれどこの傷も
命の一つ
楽しいことも
苦しいことも
人生ゲームだと
思えば
レベルアップ?
月の光に
照らされる小石
私は今夜 ....
―野原でまぼろしが燃えていましたね。
―ええ燃えていましたね。
―あのあおじろい火から
燃える蛍のランプはいくつ作れるのでしょうね。
―ええいったいいくつ作れるのでしょう ....
それから
わたしたちは
小さな書物になりました
耳を閉じて
陽の当たらない書庫に
丁寧に並べられて
呼ばれない名前を付けられ
秋が去るのを知りません
鳥たちは渡っていったのか
薔薇の ....
そして
宙の月の光に
照らされて
魂(いのち)は
歌を歌う
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
今年も
お墓参りが
出来た
夏が
終わってゆく
悲しい と
空気へつぶやく と
涙がふ と零れた
星々の
澄んだ光
この悲しみは
こころの
青い部分が
....
そして私は
静かに
狂う
小径で すぅと
鬼やんまとすれちがう
ありがとうが
口ぐせの私だが、
礼も過ぎれば
無礼になる
それでもさ
誰もいない
林の陰で ....
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