(足音が空に響く)
木枯しの吹く 門の影にひとり
傘を片手に
かんざしをなおし空をぼうっと見つめる
黒髪がしん
と光る寒さに
空はなにもいわず
そのままの形で をんなは立ち
「あ」
 ....
むかいあった
瞳の奥も雪が降る
水彩画になる
そして
嵐の夜
白と黒の町
{ルビ礫=つぶて}のなかの
廃屋をめぐるまわり道


螺旋階段に立つ人々
雨のなかの天使を見下ろしている
瞳から瞳へ落ちてゆく滴
水彩の ....
わたしたち砂にまみれた膝をいとおしむ
わたしたち砂にまみれた膝をいとおしむ
わたしたち砂にまみれた膝をいとおしむ
これは骨のかけら
それとも砂糖つぶ

はちみつのようにとろりと濃い夜が明け ....
わたしにゆるされることは手をかさねること
六月の墓地でしゃがみこんで草笛を吹くと
わたしの手はやわらかい土のように
生まれたてのなめらかな手を覆う



(ささやくのはありふれたうたのよ ....
一歩一歩沈む
沈む
さ迷う森のあなたに
黒く湿った土が香り
白日夢の欠けた月が
まあるく青ざめて眠る

白む指先で
鼓動にふれる声が
ふるえて腐蝕へ沈む

をんなは
なぜか黙り ....
{引用=光に向かい その光で自分たちの闇を照らす
   私たちの音楽だ すべては私たちの音楽だ
               by JEAN-LUC-GODARD『NOTREMUSIQUE』}
 ....
読みかけのグリンバーグが落下した
僕と都市をコラージュする窓ガラスの夕陽
ディクショナリーの見開き
メルカトル図法のグリーンランドが好きだった
あの人の季節が始まった






 ....
冷たい砂浜に、誰か
体で泣いている


空生まれの灰が沈んできて
波へ死んできて
折り畳まれてゆく、その灰の
海はノイズだ


今は、眼を閉じて
耳だけの ....
放課後の廊下を歩いていた

右手には教室が並んでいて

どこまでも続いて終らない

左手には中庭の木立が並んでいて

無数のヒグラシの鳴き声が

窓ガラス越しにじっとりと暑く

 ....
一日はそのように始まって
一日はそのように終わっていく
きっと



部屋の隅、テレビの上
ほんの少しの暖かさ、の裏側で
空が重心を失って色を零していく
十時十分
並んでいる時計の ....
金木犀の小花が
打ち明ける秘密を
直ちに忘れてしまってこそ空は
どこまでもひとつの
どこまでも青く澄み切った隙間です


衣服を自らほどいたわたしたち ....
視線をゆきます。

ひっそりとした
鋭角な色のない
告白にも似た存在の道

とぎすまされた意志の果てには重く輝く種子が宿る

涙で
洗われた深い瞳
そこに秘密を映す

答のない ....
さよなら
を言いそびれたから
本当は帰りたくなんてなかった
日比谷線が
たくさんのさよならを詰めて
こうこうと光っていく

あの向こうへ行きたいな
苦しくなんてないけれど



 ....

の奥
の枝葉
の枯れ屑へ
足音の一人分を 
沈め続け


祈り
の指を 
耳たぶ一人分に
勘を頼り当てやるも
冬に備える温度の一人分も
何処にも少しも ....
午前零時、手を繋いで光る橋を渡る

窓ガラス全部割ってステンドグラスに再構築

地球に派手に落書き
消えない様に
真夜中の
骨の色素が熱を帯びて
暗く
暗く蒸発してゆくのです
未だに守れぬ約束へと

恐ろしく白い
わたしの骨は
いったい何を支えている
夢か幻か否現実か
未来は己で決める

 ....
目に見えない時を読めるようになったのは
あのひとと次の約束をするためだった


等間隔にきざまれた目もりを
瞬間の目印にして
大きな流れの中でも
わたしたちがまた、手をとりあえるよう ....
木がねむると
木のなかに
ほんとうの木がうまれて
風にふれようとする

風がねむると
風のなかに
ほんとうの風がうまれて
空にとどこうとする

空がねむると
空のなかに
ほんと ....
破裂する宇宙服からこぼれ出すはるかな草原駆けゆく少女


一片の光は遂に熟れ過ぎて落下してゆく宇宙の果実


むらさきの虚無が飛来す青空の上で吐血す宇宙飛行士


太陽のひかりときお ....
ギターの弦を
思いっきり緩めて
今日が明日に変わる瞬間の
その境界線上に
そっと置いてみな

弦を弾くと
その揺らぎが
その振動が
今日と明日の境界線を
ぼやけさせて
曖昧にして ....
どろどろになった夜が
行き詰まる

収束された光が逃げ場を探しながら
飲み込まれていく

限りなく肥大した闇が舌を延ばして
ひとつ
ずつ
街灯を吹き消していく




誰も ....
プレゼントの
箱のリボンを解くと
中には世界が入っていた
逆さまにして振り落とすと
すべてがからっぽになる

 落としたものはどこへ行きますか

一人の部屋で逆立ちをしていると
一日 ....
干からびた時間を笑ってすごす。

白い幕に閉ざされた窓の向こうに
僕の行けなかった黄昏が潜んでいる。

澄んだ青い海を背に小石を拾うと
波の音で囁きはかき消されるのだ

寂しさが満ちる ....
透過傾向にある
あこがれを{ルビ禁=いさ}めて
風と{ルビ心中=しんじゅう}
(危うげに傾倒する風脈)
距離は
あこがれを侵食するのか
もう発生です
雨天決行よしなに

風はどちらか ....
羽虫の身震いが
きらきらしている、音
夜の
羽虫への
局地的な雨上がり、のあと
雨上がりの羽虫の
きらきらの
身震い


わたしが
裸の少女のようであるときは決まって ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける

楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
憧れが
ささやかな私を満たす時
ひとつの幸せを見る

あなたは
時間とともに
美しくなってゆく

朗らかに広がる樹木から
眩しくはない光が差すように
あなたがいる場所には
精霊が ....
 ピアノの鍵盤はじける
 もどらぬ深海の底に

 画用紙をはみだした黒と
 混じり
 内出血は生まれる




 願いをこめた文字に
 紙やすりをかける

 ....
たぶんぼくはぐちゃぐちゃのどろどろのけつえきのかけめぐるたいないのはじけるだろう


傷口を更に深める部屋を出てぐいっとひらく赤い雨傘


ドライヤーで髪を乾かすときに目を閉じる あなたの ....
塔野夏子さんのおすすめリスト(1212)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬の葬列- こしごえ自由詩13*05-10-27
リヴィエラ- 米倉瑠学自由詩305-10-27
円原視座- 木立 悟自由詩1005-10-26
Sugar_raised_ver.3.0- なを自由詩15+05-10-25
Linda- なを自由詩7+*05-10-25
腐蝕- こしごえ自由詩14*05-10-25
NOTREMUSIQUE- 本木はじ ...短歌1405-10-25
グリーンランド- 米倉瑠学自由詩3*05-10-23
架空のかもめ- A道化自由詩1405-10-23
斜影- 相馬四弦自由詩3*05-10-21
サボテン- 霜天自由詩705-10-21
空隙一過- A道化自由詩1105-10-19
- こしごえ自由詩15*05-10-18
本当に出て行くのならばドアからでなくてもいい- ピッピ自由詩1205-10-17
冬の科学- A道化未詩・独白605-10-16
やってみたい- hao自由詩405-10-16
虚空の骨- こしごえ自由詩16*05-10-15
サーモクライン- 望月 ゆ ...自由詩25*05-10-15
詩の書けない夜に- ZUZU自由詩1505-10-14
宇宙葬前奏曲- 本木はじ ...短歌1505-10-13
濁流- 大覚アキ ...自由詩405-10-13
最果て- tondemon自由詩805-10-13
重心- 霜天自由詩605-10-10
砂浜- 佐藤伊織自由詩1*05-10-10
運転- こしごえ未詩・独白7*05-10-8
身震い、きらきら- A道化自由詩805-10-8
風葬- 落合朱美自由詩42*05-10-8
憧れ- 未詩・独白9*05-10-8
内出血- カンチェ ...自由詩1005-10-7
殻ー(XXXI)- 本木はじ ...短歌1005-10-5

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