朝が来るごとに
あなたが私を忘れていく
遠い誰かの名前を呼びながら
階段を上っていくその背中は
その先へ、飛び出していくように見えて
私はそっと指先を噛む

目の奥を覗き込みながら
通 ....
プラットホームの青いベンチの背もたれには
落書きをこすり消したような跡があります
飴玉を失くした包み紙には
ミルクという文字があります
先頭車両の風に振り返るも、風ばかり
最 ....
片足だけ靴履いて
レプラコーンに会いに行こうよ
どこにも続かない道を
どこまでも行こうよ
書けなかった詩の断片が
ちぎれた草になって

風に舞っている

いのちは永すぎる未完
死してなお
始まりにさえたどりつけない 未完

私の夜はいつもと同じ旋律を
内側の街路にまきち ....
あなたの姿を まぶたの裏側に
赤い 糸 で繋ぎとめ
下の名前を そっと 呟いてみる


あなたへの 気持ちを 確めたところで


  ぬかるむ春の気配に取り残された針金細工
  忘れ ....
西日の頃には
空は白く霞んでいたらしくて
滲んだ街の、ビルから生える空の景色を
ふうわりと、抜けたくて
前後左右、サングラスの目線で
せわしなく行き過ぎる人たちからは
あの強い、レモンの匂 ....
このコインの桜をじっと見てください あなたはだんだん春になります



失踪は春の間に すれ違う人がよそ見をしているうちに



肩と肩近づいていくまだ雨はそうだね雪のにおいがするね
 ....
四番線
長いプラットホームで君は
耳を塞いで、流される街を眺めている
夢の覚め際を誤ったばかりの
振り返れない体の振れ幅を
寒いベンチの隅に馴染ませて
いつも、端の見えない駅の景色の
そ ....
まだ見たことのない

果実に境界線を張り

流漂する異国の砂漠

三日月が蒼く涙する

空で暗雲が轟き裂けて

光速でかおるレモン
そのとき私は
この上なく上手に手を引かれ
視界は薄紅と肌
幾度瞬いても
ある薄紅、と、ある肌の


指の届く範囲に全ての指が在り
与えられた視界に全てが揃い
あの薄紅、あの肌 ....
風のための門を
行き来する影がみえる

波を越えて続く
その道を

懐かしさではなく
今日の温度で
凍えるだけ渇いて
鈴の音も響かせず
降り積もる雪の夕暮れ

雲母の肌が 幾重にもはがれていくのです
許されてしまう小さな嘘 をつくたびに
セロファンの音を立てたりはしないのです

涙の ....
ゆうらりと
ゆれてしまえばかげひとつ
かげとかげとがかさなって
もっとおおきなかげひとつ
もっとおおきく
もっとかぼそく
うたってしまえば 月 むざん
うたってしまえば 夜 むざん

 ....
声は告げる
「風が少し強くなったような気がします」

問う前に答える
「岩と岩の間を行きましょう
枝で隠された路を」

独り言のようにつぶやく
「昔は水のにおいがしたもので ....
 ?
あなたは白い直線を引いてある水面です。
わたしは、赤い曲線を水面に描き込みました。
其 ....
                    
あなたがいて
華のようなあなたがいて
あなたが動くと、わずかにか ....
 21

アリストテレスと荘子の対話
アンデルセンとジェイムズ・ジョイスの対話
モーツァルトとフレディ・マーキュリーの対話
カフカと稲垣足穂とダリとガウディの対話
地球と月の対話

 ....
いつまでも、それを手に入れたいと
弱々しい手で、僕らは汲む

井戸の底に微かに照らし出される
月の光の輪郭のようなものを

  楽しいといっては  ひとつ汲み
  愛しいといっては  ひ ....
空が青いよ。
哀しいことも辛いことも
そんなのはきみのせいじゃない。
そんな小さいてのひらで、
護れるものなんて少ないでしょう?
傲慢じゃないかな。
誰かを救えるなんて、
本当に思ってい ....
 11

「地球は二酸化硅素の体を持った生物である
 ことが最近になって判明した」と
夢の中で見たプラカードに書いてあった

地球が寝返りをうった 地球がくしゃみをした
その際に起こりう ....
 1

「静かの海」に移り住んで五年
いつしかぼくは
ブロード・ビジョンに映される
地球の姿を見続けていた

何も入っていない写真立てを
そっと伏せる
ゆっくりと死んでいく巨 ....
光もなく影はあり
暗がりの上ゆうるりと
さらに暗いものが映りひろがり
そこだけが薄く押されたように
夜の道にたたずんでいる


得体のしれない心が歌い
海辺をひとり歩い ....
大きなわたしが眠っているあいだ

小さなわたしは岩影で待っている

大きなわたしがむっくり立ちあがると

小さなわたしは手を叩いて踊りだす

中くらいのわたしは いつも宙に浮いてい ....
生まれた時にばらまいた名前を
はしごにのぼってあつめていた
古い煉瓦に囲まれた白い街は
遠くの太陽に照らされ
すこしずつ飴色に変わった

明日を紡ぎながら飛行している風が
手をあげたわた ....
夜明け前に呼吸が足りなくなって
遠い地名を呼びながら目が覚める
ほんの、少し前まで
そこにあったはずの夢に
花を、植えたい
声の鳴る丘、霧降る峠、新しい駅の三番線
いつか出会ったような
 ....
正確な、正確な、階段を
カン、カン、落下、してゆく音で
冬の風が半音上がって
度重なる半音分の痛みが次々に
刺さっては馴染んでゆくこめかみ
更に
視覚
という切れ目へと
 ....
ソーダ水の浮上する泡に
空想をのせていける午後
冬と呼べる景色でよかった
北に向いた窓を開けると
区切られた言葉が通り抜けていく


君の途中で
空の色とかたちを書き残す
嫌になるく ....
カーテンが窮屈そうに夜を待っています
奥で鳴り響くような声で飛行機が
空をつたって午後へ


飴色の今日が沈みます
目を細めるカーテンは笑っているよう
手を広げるのを待つ夕へ


 ....
アルコールと 朝が
溶けあって 光って
カーテンです


そこへ向かう明るい少女は
睫毛です カーテンに
きらきら きらきら向かう 明るい少女は


瞬きのたび ....
生まれた時から蛍光灯は明滅を続け
息吹の動きを受けずに四隅の埃は

存在しない思い

廊下の奥の黒電話


硝子戸を乱雑に引き押ししては
夕暮れの色の中に灰褐色のラッパが響き

 ....
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