みかんはみていた
そのいちぶしじゅうを

いまでくつろぐ
かぞくたちを

だれもいない
いまであったことも

ぜんぶみていた
たべられるまでずっと
 
 
ようじもないのに
ころがっていく

さかみちを
みかんが

さかみちの
はてのはてまで

それが
ようじであるかのように
 
 
そらに
コップがうかんでる

ほんらいの
とうめいなすがたで

にどと
われることもなく

コップに
なることもなく
 
 
 
 
うみに
まくらをうかべていく

めざめることのない
きみのため

あのひから
ひとつずつずっと

きみとぼくの
ふたりのうみに
 
 
 
 
ものがたりが
おわる

すっかり
いみをなくして

それでも
いみがあったのだ

あとがきが
みずのように
 
 
 
 
わたしが
しあわせになるために
ぎせいになった
きみへ

わたしより
としうえというりゆうで
きみはいのちを
ゆずってくれた

うまれなかった
あによ
いつからわた ....
 
 
だいどころで
ピアノをひいている

きょうはやけに
かなしいねいろで

しなずにすんだいのちを
しょくたくにならべていく

おもいだせない
メロディのように
 
 
 
 
ふうがわりなふくをきて
ちちがははを
こんわくさせる

にあってると
おもってるみたい
ふきだしながら
ははがわたしにみみうちする

だからだまって
にあってるねと
 ....
 
 
かべよ

となりのへやから
こえがきこえる

なんだ

かべがこたえる
わたしのかわりに

おまえは
かべか

かべがとう
こんどはわたしに

そうだ
か ....
 
 
わたしがみてるせかいは
サンプルだ

たくさんのサンプルをみて
えらぶのだ

ひとつだけの
わたしのサンプルを

だれかのためによういされた
サンプルをすてて
 
 ....
 
 
アルバムをひらくと
わたしがいる

みんな
わたしだとおもって

いまもどこかで
わたしだっただれかが

わたしをおもいだして
わたしをみている
 
 
 
 
ふと、とまる

みえない
レールのうえで

きみとなら
どこにでもいけた

どこまでも
いけたはずなのに

ぼくのきしゃが
とまらない
 
 
 
 
えきまえでねむる
しらないひとをみとどけて
ごぜんよじごろ
いえにかえる

いちにちもやすまずに
しらないひとは
えきまえでねむり
わたしは
はたらきつづける

さい ....
 
 
やねのうえを
あめがあるいている

なかにはいりたくて
しかたがないのだ

しめわすれたまどから
なかをのぞいて

さんのあたりを
なみだでぬらして
 
 
 
 
てんぷらやのごしゅじんが
きょうも
てんぷらをあげている

あきないのだろうか

きのうより
きょうが
おいしくなっている

あきないのだろうか

てんぷらやのごし ....
 
 
あるひ
あるわかものがやってきて
わだいこを
たたきはじめた

かおはちちににていて
ははににている
わたしにもにてるけれど
おなじではない

わかものはなぜ
たたき ....
 
 
かおりのいえの
あかりが
まだついている

あいかぎで
かおりの
いえにはいる

くることを
しっていたのか
りょうりを
つくっている

ゆめかも
しれなかった ....
 
 
まりが
はずんでいる
えきのホームで
けいたいでんわを
いじりながら

まりが
でんしゃにのる
まんいんでんしゃに
おしつぶされそうに
なりながら

まりが
ころ ....
 
 
索引にない
言葉をさがしにいく

言葉では
伝えきれない
感情を

日々新しい言葉が
この国では
生まれているというのに

そういえば
略語で父と母を
呼ぶことは ....
 
 
生まれた家をさがしに
旅をしていると
雨が降ってきた

私は寂れた商店街の
農業用品店に
傘を買うために立ち寄った

ごめんください
というと
見覚えのある人が
店に ....
 
 
あれはなんだろう
そらにうかぶ
くじらのむれのようなもの

ひかりにはんしゃして
なにもみえない
そのあたりに
みえているもの

せんねんまえまで
せんこうねん
と、 ....
 
 
白い肉饅に
口がしゃぶりついている
乳房か何かと間違えているのだろうか
ひとくちも食べようとしない
口は口でしかないので
赤子のものかもわからない
肉饅に見えるものも
形が似 ....
 
 
あめのおとを
きいている

とおもっている
わたし

ひとのこころが
みえている

とおもっている
あめ

のようなきがして
まっている

すてられた
とう ....
川の音と母の中にいた記憶目を開けるまで生まれるまで  
 
むぎわらぼうしをかぶって
うみにいったまま
かえってこない
あのなつのひのかぜ

まっくろにひやけして
かえってくるはずだったのに

ぼうしには
なまえがかいてあるので
 ....
 
 
わたしは
夜のトイレの
においが好きだ

扉をあける前の
懐かしいにおいと
便座にすわるときにする
芳香剤のにおい

背後には
紅白歌合戦の
賑やかな音声と
家族の ....
 
 
ひでおさんを
プロモーションするために
ビデオがつくられた

けれども
できあがったビデオは
暗闇の映像と
水の中にいるような
音が聞こえるだけだった

誰もが失敗を確 ....
 
 
そらに
くもがうかんでいる

いつかのきゅうじつにみた
あのくもと
おなじようにみえるけど
あれはあれで
しごとをしているのだ

いつまでも
くもでいられるように
い ....
 
 
にわにさく
はなをみている

きょうもきれいに
さいていると
おもっている

はなも
わたしをみて
ひとがいきていると
おもっている

きょうもきれいに
いきてい ....
 
 
なにかをやりつづけていると
なにかをやりつづけているなりに
できているわたしがいる

こんなこともできるんだね
あるひとが
あるわたしをみつけて
いってくれた

それでい ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
みかん自由詩110/11/12 3:57
自由詩8*10/11/11 22:25
コップ自由詩310/11/9 7:43
二人の海自由詩110/11/8 2:35
水のあとがき自由詩410/11/6 10:03
犠牲者自由詩410/11/6 9:04
メロディ自由詩410/11/5 4:36
試着自由詩110/11/5 3:34
かべ自由詩210/11/4 0:33
サンプル自由詩210/11/3 5:43
アルバム自由詩210/11/3 3:53
レール自由詩210/11/2 2:02
みずしらずのあなたに自由詩110/11/1 6:41
自由詩1210/10/31 3:29
商い自由詩3*10/10/30 7:28
和太鼓自由詩310/10/30 6:51
かおり自由詩610/10/29 4:59
自由詩310/10/29 4:16
索引自由詩110/10/27 4:21
生まれた家自由詩210/10/26 2:50
標識自由詩210/10/25 4:56
他のもの自由詩010/10/24 22:59
透明傘自由詩710/10/24 5:31
温泉短歌110/10/23 13:51
麦藁帽子自由詩210/10/23 2:40
夜のトイレ自由詩210/10/22 0:25
プロモーションひでお自由詩010/10/22 0:23
理由自由詩110/10/21 2:44
自由詩410/10/20 1:07
ふさわしいひと自由詩710/10/19 3:56

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