わたしのとなりで
ねいきをたてている
ひとがとなりにいるのなら

ひとりではない
わたしなのだとおもう

ねいきのむこうに
せかいがある
そのとなりで ....
 
 
かあさんが
ぼくをみとった

そのひとが
つまなのだと
きづいていた

かあさんが
ぼくをみとった

そのひとが
むすめなのだと
きづかなかった
 
 
 
 
もうだいたい
春になったので
よしと言って
神さまが立ち上がる

立ち眩む
夏になると
いつものことだと
神さまが言う

もうだいたい
人になったので
よしと言って ....
 
 
隣では男が死んでいる
私は蓋を探している
どんな蓋だったのか
男を見て形を思い出している
見かねた男も探している
隣には男ほどの大きさの窪みがある
そっと触れるとまだあたたかい ....
 
 
にかいのへやで
あそんでいる
たたみのふちをせんろにして
おもちゃのきしゃを
はしらせている

たたみのかどを
もうひとつのきしゃが
うせつする
わたしもさせつして
そ ....
 
 
イマ カエル

妻に電話する
自分の声がおかしい

イマ カイモノ シテル

妻の声も
カタカナになっている
おかしい

近くで息子の声がする
オツキサン ミエナイ ....
 
 
ふるさと
というものが
わからなくなって

しょもつのいえに
あなたはかえる

かえって
みたところで
わかったような
かおをして

なみだぐみ
ぺえじをめくる
 ....
 
 
しじみが
しみじみしてるのは
しじみがまだ
生きてるからだ

わたしが
しみじみしてるのは
わたしがまだ
生きてるからだ

しじみでも
わたしでもない
だれかが
 ....
 
 
スーパーにいくと
果物ばかり買ってくる

もう一人
いるみたいに

声はしないのに
それはたしかに

+

骨をのこして
魚はいってしまった

これが最後です
 ....
 
 
やはんすぎから
ふりはじめたあめが
あさめざめると
やんでいる

それはきっと
そぼのしわざだ

まいあさ
ひめくりをめくる
そぼをみていた

しわだらけのゆびで
 ....
 
 
ことばが
わたしのように
かがやくとき

んだべがな
とおもっている

んだべ
とだけおもえば
いいものを

がなが
じゃまをしている

がなはまもの
が ....
 
 
青く繁る
高い木の枝から
飛び降りた

木漏れ日に
初夏の
水面が見えたのだ

水面に届くまで
永遠に続く
夏の思い出が

いま一瞬の
出来事のように

落ち ....
 
 
あめがふると
くさがはえていた

いのちが
うまれるのは
なぜだろう

あめに
なまえがないのは
なぜだろう

それで
やくにたっている

ここにいることが
 ....
 
 
ある日曜日
友達の家に遊びに行った
団地と呼ばれていた
うっかりお昼過ぎまで
友達と部屋で遊んだ
お昼ごはんをご馳走になった
コロッケとパン一枚だった

家に帰ると
塩鮭 ....
 
 
ある日曜日
友達の家に遊びに行った
団地と呼ばれていた
うっかりお昼過ぎまで
友達と部屋で遊んだ
お昼ごはんをご馳走になった
コロッケとパン一枚だった

家に帰ると
塩鮭 ....
 
 
あなたの
まじめさはいい
ただしさはいい
はじめはたにんを
ひていしなかった
けんきょさがいい
ひとがらもよかった

けれども
ひていしている
ひていしはじめている
 ....
 
 
わたしは
わたしという
のりものにのっている

わたしのなにが
のっているのか
みえている
わたしのからだに
こののりものに

とおいごせんぞさまの
みこころが
わ ....
 
 
非常階段で
指切りした

非常だから
爆弾が
落ちてくる

爆弾を
避けながら
約束した

知らない国の
戦後の春

階段は
ただの階段に
なっていた
  ....
 
 
このみちを
あるいていけば
しあわせになるのだと
ははがいう
そのみちをあるきつづけて
ときおりみちくさをしてるうちに
みちはもはや
みちではなくなっているのだが
このみち ....
 
 
駅前を歩くと
街が
ビルが
私を押しつぶそうとする
私という
正確な座標の
一点を目指して

押しつぶされる
私のそばで
今この街に来たばかりの
かつての
私のよう ....
 
 
ついに
質量をうしなって
浮かんでいる

夕焼けに
焼かれてもなお
輪郭を保ち続けて

やがて点となり
そのさらに
小さな点の中心へ

飛行機は飛んでいく
私の知 ....
 
 
不在票が
届いている

裏の公園の
桜が散ったのだ

こんなにたくさん
さよならを伝えたくて

春が終わっていたのだ
私がいない時に
 
 
 
 
どうぶつは
おとなになってもなく

うれしいときも
かなしいときも

ここにいるよと
いってるみたいに

にんげんはどうだろう

ためしにないてみると
どうしても
 ....
 
 
ははが
ないている
わたしのしらない
もうひとりの
ははが

わたしのしらない
こえをころして
せなかのむこうで
ないている

しんしつの
きおんが
じょうしょう ....
 
 
ちちおやふざいのいえに
ひさしぶりにかえる

ちちおやふざいのいえに
ちちおやになりかけた
むすこがいる

いみもなく
むすこをどなる
どなるとすぐに
こどもになる
 ....
 
 
わたしのなかには
ちちとははがいる
それがわたしだ

かんがえごとばかり
してるははと
せわしなくうごいてばかり
いるちちと

ちちはははに
しんぱいないという
はは ....
 
 
むねからひばながでる
ぜんまいのおもちゃであそんでいたのは
きのうのことだった

そぼがそれをみていた
それはきのうのことではなかった

さんじゅうねんの
としつきがすぎて ....
 
 
目を開けた
まま眠ってる
アパートの
水槽の部屋
見知らぬ魚
 
 
 
 
ひとはうまれたとき
いちばん
しゅっせしてる

ぶちょう
とりしまりやく
ひっとうかぶぬし
それどころではない

このせかいで
さいこうのちいを
ひとはうまれたときに ....
 
 
わたしの妻になるひとは
どこにいるのだろう
漠然と考えていた
頃があった

もしわたしがこの街に
来なかったなら

あなたはもっと
幸せな人生を
歩んでいたことでしょう ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
寝息自由詩310/5/25 2:45
にせもの自由詩210/5/25 0:46
夏のゆらぎ自由詩2*10/5/23 1:15
自由詩210/5/22 1:53
汽車自由詩510/5/21 1:48
帰還自由詩4+10/5/20 2:04
書物の家自由詩2*10/5/19 2:14
しじみ自由詩210/5/18 23:24
呼び名自由詩4*10/5/16 23:51
空色めくり自由詩3*10/5/14 2:17
がな自由詩110/5/13 2:44
初夏の水面自由詩110/5/13 2:28
写生自由詩410/5/12 3:25
団地(再投稿)自由詩4+10/5/10 11:07
団地自由詩0*10/5/10 3:53
人間のしくみ自由詩1+*10/5/8 2:20
のりもの自由詩210/5/8 0:27
小指から散る自由詩0*10/5/6 23:35
みち自由詩110/5/6 22:18
上京自由詩2*10/5/6 0:30
飛行機自由詩410/5/5 1:06
不在票自由詩910/5/3 16:22
越境自由詩710/5/2 19:49
other=M自由詩4*10/5/2 2:32
父親自由詩110/5/1 23:56
葛藤自由詩110/5/1 2:45
年月自由詩310/4/30 4:09
短歌410/4/30 2:34
出世自由詩310/4/30 1:18
自由詩610/4/29 4:30

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