深夜帰宅して
一人で遅い食事をしていると
ふと封が開けられないままの
なわとび縄を見つけた

息子がなわとびが苦手だから
ある休日
百円ショップで買ったものだった

次の ....
 
 
この街の
いたるところにかけられた
モザイクを撤去する
工事がはじまっている

モザイクがかかっていた
懐かしい街並は
高層マンションに立て直され
その中の暮らしは
モザ ....
 
 
幸せな人はなぜ
不幸せな人が
見えないのだろう

生きている人はなぜ
成仏しない魂が
見えないのだろう

ほんとうは
見えているはずなのに
見ようとしないだけ

も ....
 
 
いつもの帰り道を
いつものように歩いていると
知らない道を歩いている
どこかから寝息が聞こえるので
誰かの夢の中だとわかる
寝息を頼りに知らない道を歩いていくと
知らない家にた ....
 
 
犬につながれて
紐が散歩している

紐は鳴かないけれど
犬はよく鳴くので
紐を可愛がった

どちらも
ペットショップで
買ったはずなのに
思い出せない
可愛がるべき対 ....
 
 
洗濯機がうるさいので
蓋をあけると
見知らぬ人が泳いでいた
はげしい渦潮に飲まれぬよう
必死に波を越え泳いでいた
息継ぎをしながら
何か言っているけれど
よく聞こえない
耳 ....
 
 
いつ死んでもいいように
道に枕をならべていく
ふりむけば枕
一日ひとつずつ
与えられた枕をならべてきた
曲がりくねった道
まっすぐな道
雨が降っている
峠道の枕はまだ濡れて ....
 
 
海に
休日が浮かんでいる
動物園に行けなかった
象の親子にかたちが似ている
わたしたちはなぜ
檻に入りたがるのだろう
スターバックスの窓の向こう
本を読み
ノートに文字を記 ....
 
 
みあげると
よぞらである

ほしひとつない
わたしのひふの
うちがわである

こえがとどく

あなたのよぞらから
わたしのよぞらへ

ろっこつを
ひからせるのは
 ....
 
 
昨夜ゆめで
理想の乳房のおんなを抱いた
てのひらから
少し余る大きさの
まるみを撫でたあと
乳首を摘んだ
すると地震である

おんなは声をあげた
震源地では
いくつかの ....
 
 
病院の待合室で順番を待つ
備え付けの椅子に座り
備え付けのテーブルに置かれた週刊誌を読む
言葉の意味はわからないけれど
挿絵などを見る限り
最近の出来事がなんとなくわかる
あれ ....
 
 
掌に海がある
水平線のむこうから
海賊船がやってくる
わたしから大切な記憶を盗み
それで得た金で
毎晩酒を飲み騒いでるのだ
わたしは海に飛びこみたいけれど
この体から出ること ....
 
 
秋の高い空
少女が
羊占いをしている

すき、きらい
すき、きらい
一頭ずつ
羊をころしていく
日がくれるまで

やがて空は血に染まり
はじめから
すきなものもきら ....
 
 
真夜中の
高層ビルを写真に収めると
ワンフロアだけ
灯りが点いている
残業してる
君がまだ
一人だけそこにいる

+

掌に宇宙
君の掌にも宇宙がある
手をつなぐと ....
 
 
一人暮らしするのだと言って
秋が家を出ていった
おかげで夏が終わると
すぐに雪が降るので困ったけれど
お盆とお正月だけは帰ってくれるので
夏は涼しく冬は少し暖かかった
一人暮ら ....
 
 
午後零時
敵の偵察機が空を旋回してる
ジャングルの中に
野営したのだが
見つからない可能性は零ではない

午後三時
遅い昼休みのはずが
通信兵が
微弱な音波をキャッチする ....
むかし泊まった
民宿の部屋で
小説を書くことにした

スキーに来たのに
雨が降っていて
しかたなくこの民宿に
もう一泊することにしたのである

窓から雨の雪 ....
関さん、という鳴き声の
鳥が鳴いている
それはある種の進化かもしれないし
退化かもしれなかった

私は河原にいた
どのような経緯で
この河原にやってきたのか
遠い昔の記憶な ....
 
 
朝帰り
ラップにつつまれた目玉焼きが
テーブルの上に置かれている

朝帰りと気づいたのか
仕事の書類を開いたまま
あなたはテーブルで寝ていた

いつからか
あなたが一番
 ....
 
 
ひとりぼっちは
自由だと
わたしは思っていた

ひとりぼっちは
淋しいとも
わたしは思っていた

道ばたに
ひからびただんごむしが
死んでいる

だんごむしが
息 ....
 
 
葬式に出るために
首周りを測ってる
ワイシャツの
サイズがわからなくなったのだ

店員さんも
わからなくなったのか
ありもしない数値をおしえてくれる
あなたのサイズはありま ....
 
 
水の三行が
流れている

川、という字に
とても
似てるかもしれない

おとうさんと
おかあさんと
そしてぼく
 
 
 
 
スーパーで
買い物してると
茄子に
モザイクがかかってる

商品名も
お○す
と伏字になっていて
かえって恥ずかしい気がした

キャベツを買おうとすれば
その中心部に ....
 
 
秋の空に
突き刺さる
ほそい針金が
風に揺れている

揺れているのは
黄金色の穂
だけではない
帰り道なのだった

その角を曲がれば
たどり着くだろう
その家が
 ....
 
 
ぼんやりと
ゆびさきを見ていると
いつのまにつくられたのだろう
小さな工業地帯ができている

ほんとうは
いけないことなんだけれど
たくさんの需要があるため
煙突からは有害 ....
 
 
さもなければ帰ることが出来ない
と、言うところから
その夢ははじまっていた
いつか見た夢の続きかもしれない
よくわからないけれど
帰ることが出来ない理由もわからない
さもなけれ ....
おもしろいいろ
しろいいろ
しろくまのいろ

しまうまのいろ
しろかくろかわからない
しまうまのいろ

きりんのいろ
きいろにたくさん
てんてんがあるいろ

サバン ....
 
 
ははににたろうばが
えきのまえにすわってる
ちいさなリュックひとつで
このひとにも
かつてしあわせなひびがあったのだ
としったのは
わたしがこえをかけたからだ
それだけでわた ....
 
 
しあわせと
ふしあわせが
こうえんのシーソーで
あそんでる

ふしあわせが
あまりにもおもいので
シーソーゲームが
なりたたない

そんな
くよくよしてないでさ
も ....
 
 
四十九日
冷たい雨が降っている

きっと
わたしが帰らないからだ

どれだけ
待っていたことだろう
わたしの帰りを
孫と一緒に暮らしたかった
日々を

待たずに父は ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
白い手自由詩510/10/19 2:13
モザイク自由詩510/10/18 6:11
死なない蛸の殺し方自由詩0*10/10/18 1:33
寝息自由詩510/10/16 5:47
虫の声自由詩010/10/15 7:53
選択記自由詩210/10/14 3:52
遺言自由詩1*10/10/13 2:07
休日自由詩510/10/12 6:17
夜空自由詩610/10/12 5:47
震源地自由詩110/10/11 5:15
光景自由詩510/10/10 4:35
記憶の海自由詩610/10/9 3:36
羊占い自由詩310/10/9 2:56
寝帰り自由詩710/10/8 3:04
一人暮らし自由詩2*10/10/7 2:11
戦時記自由詩010/10/6 4:49
自由詩210/10/5 5:10
関さん自由詩310/10/3 19:29
目玉焼き自由詩010/10/2 8:07
秋の夕暮れに自由詩010/10/1 2:30
葬式自由詩210/9/30 3:45
水の三行自由詩310/9/29 1:46
わいせつ自由詩5*10/9/27 22:15
秋の思い出自由詩810/9/27 2:07
ゆびさきのくに自由詩210/9/26 22:29
午睡自由詩310/9/26 20:04
サバンナ自由詩310/9/25 23:26
かかわり自由詩610/9/25 4:06
シーソーゲーム自由詩010/9/25 3:18
四十九日自由詩510/9/23 3:55

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