夜のトイレ
小川 葉
わたしは
夜のトイレの
においが好きだ
扉をあける前の
懐かしいにおいと
便座にすわるときにする
芳香剤のにおい
背後には
紅白歌合戦の
賑やかな音声と
家族の笑い声
ふと気がつくと
ひとりきりの小さな世界
そこからいつでも
帰ることができた
終りがないと思っていた
トイレにいくたびに
あの夜が
今夜も
自由詩
夜のトイレ
Copyright
小川 葉
2010-10-22 00:25:50
縦