この人生を
すでに一度経験したような
気持ちになることがある

高校を出て
失われた十年が
やがて二十年となり
ある日突然
大切なものを失う

そして私は
実家の庭の ....
 
 
欲望にはかなわずに
まあその辺は
勘弁していただいて
いくつかの
間違いもございましたが
おかげさまで
今こうして
なんにもない、に
なりました
とで ....
峠を越えると
雨は止み
雲の隙間から
一筋の
光が降りていた

神様が
父を迎えにきたのだ
私を待たずに

もう何もない
父の体を抱く
まだあたたかいのは
生きて ....
はじめて
父さんに会ったのは
いつだろう

その人を
父さんと呼んだのは
なぜだろう

最後に
父さんに会えるのは
いつだろう

父さんと呼びなが ....
スルメイカの
矢印が
空を差している

私は
宇宙から
来たのだと

故郷の星へ
帰りたいのだと
もはや私ではない
父になってる

父はよく怒鳴った
怒鳴らなくてもよかったのに
わけもなく怒鳴った
そのわけを
今知りはじめていた

こんな家
はやく出ていきたいと
 ....
立ちションしてたら
虹がでた

手のひらで
掴もうとした
おしっこが終わるまで
何度も何度も

隣の姉さんが
バス停を降りるのが見えた
高校生になっていた
おしっ ....
 
 
大家族から核家族へ
核家族から核個人へ
人は自由を求めて
分裂を繰り返してきた
原爆のように
大きなものを
小さな核が分裂して壊し
残ったのがこの街だ
 ....
ある真夏の日
万障繰り合わせの上
故郷の川で
友釣りを始めた

はじめに私を鼻に掛けて
流心に泳がせていく
すると懐かしい
あの顔とあの顔が
あの顔のまま針に掛かって
 ....
全うできなかった
今日一日が
人生なのではないか

あれもしたかった
これもしたかった
と思いながら
終わるのが
人生なのではないか

それでもまだ眠れずに
朝まで起 ....
 
 
こうして向日葵になって咲いてると
あんな嘘をついたことが
嘘のように思えてしまう

さっきから父親と思わしき人が
私の隣に小さな子供を立たせて
写真を撮ろうとしている

あ ....
 
 
家に帰ると
知らない人がいた

遠い親戚なのだと
母が教えてくれた

秋になれば
コオロギが
玄関で鳴いている

追い出さないで
耳をすまして聞いてい ....
 
 
ある晩
遠い親戚夫婦が家を訪れた
このあたりでは
数百万円で家を買うことが出来ると聞いて
驚きました
旦那が言うと
奥さんは口に手を当てて笑った
私はまだ子供だったので
よ ....
 
 
朝めざめると
あなたは哀しい
人の形をしていた

毎朝きまって
そうなのだとしても
本当のことは
けっして言わなかった

言葉にできないことや
したくないことを
たく ....
 
 
「ね」から
「ね」をとると
なんにもなくなってしまうから
かみさまは
「こ」をあたえて
そのどうぶつを
「ねこ」となづけた

「ね」がなくても
「こ」がのこる

もと ....
 
 
さかみちを
くじらがおよいでいく
つきをさがしにきたのだ
きみとふたりで
みていたうみから
やくそくを
まもるために
 
 
 
 
きょうのすてきな
いちにちが
まだうまれない
あなたにもおとずれるだろう

きょうのすてきな
いちにちを
まだうまれない
あなたとわかちあいたく
なるだろう

そして ....
 
 
高層ビルのマンションが
あまく灯るころ
隣のビジネスビルには
まだ冷たい灯りが残っている

欲望と
欲望を支える人々の
コントラストの
夜景が今日もまぶしい

明け方
 ....
 
 
おかねをかりに
まちにきたと
つまがわたしに
でんわした

こんなにてつやして
やすみなくはたらいても
まだたりないのだ

しょうひんけんをかう
そのとなりで
はしゃ ....
私は私の、古い影を。地面に落とし、新しい光をさがしに行く、きっと壊れた匂いが、地平線の辺りに溜まっている、すべてはそこに。向かっているのだ、と、創造上の世界で。想像上のあなたが、私にも言う。  
 
さんじゅうすぎて
こいをした
あさぎくにこに
どうきゅうせいは
にていた

つまにはいわない
むすこには
いつか
はなすかもしれない

プロポーズした
ゆめのなかの ....
 
 
かえり道
コンビニに寄る
誰もいない
レジの奥で
店長が眠ってる
そのことは知っている
私は万引きせずに
発泡酒ではない
ビールを二本買う
おーい
店長を呼ぶ
どうせ ....
 
 
ひとつしかない
祖母の乳房を
ぼんやりと見ていた
そういうものなのだろう
と思っていた
幼かった私

手術したのだ
その晩
どれだけの悲しみに
打ちひしがれていただろう ....
 
 
まもなく
トンネルを通過します
と車掌が告げると
列車はわたしの耳を
通過していくのだった

長い車両は
途切れることなく
睡眠の世界を通過していく
暗闇の中
回転する ....
 
 
日曜日
おまえと遊ぶよりも
おまえに見送られることが
多くなった

きょうもおしごと
といって
目を合わせて
目をそらす

自転車に乗せて
おまえと出かけられる日は
 ....
 
 
あの車窓から
見えているのだろう
二階の窓から電車を見てる
私が景色のように

走り過ぎていったのは
私かもしれなかった
あわてて階段を降りていくと

そこには妻と息子が ....
 
 
もも肉が
百グラム当たり
九十八円で
売られている

もしわたしが
鶏だったなら
もも肉
という名で
売られていたのだろうか

わたしの名を呼ぶ
母さんを
追いか ....
 
 
今日は
金曜日だったね
通りすがりの
人がいう

ふりかえると
そこには
金色の
金曜日が
あるのだった

繁華街が
眩しく
私の背中にも
反射している
 
 ....
 
 
窓のむこうから
こちらを見ている

あの日とおなじ
空がまだ
そこにはあるんだろう

雨が降っている
あなたは雨を
まだ知ってるでしょう

セピア色の
窓のむこうに ....
 
 
たまたまいきている
わたしがしをかいている
しのせかいをおもいだしながら
そこからみえるけしきを
なつかしんでいる
そこにはことばがある
ことばではいいあら ....
小川 葉(1581)
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テレビゲーム自由詩310/7/28 1:56
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