ふりむけば
母がいる
ふりむかなくても
父がいる
はずだった

およぎ続けなければ
死んでしまう
魚のように
生きている

けれどもぼくは
人間だから
時々
息 ....
 
 
真夜中帰宅して
玄関の戸を開けると
一面の海だった
私は港にある船に乗って
家族をさがしに海に出た
息子が見つかった
ウミガメに乗って
竜宮城に行く途中だった
お土産の箱を ....
 
 
ちちとははに
はじめてあった
なんおくこうねんのかなたに
わたしはひとりいた
たしかにわたしは
ひとりだった
 
 
 
 
愛のことばを
ささやきたいのに
君に微笑むこともできなくて
かなしみに暮れていく
そんな星がある
今は三日月になって
わらってる
 
 
 
 
都会の暮らしを
母は嫌った
あの時の母の歳に近づくほど
その気持ちが
わかり始めている

わたしは間違っていたのかもしれない
けれどすべては過程なのだ
あるべきところに
 ....
 
 
街を横断する途中 
戦場とお花畑が混在していた 
血を流して歩く兵士も 
花輪を編んで笑う少女も 
同じ街に生きていた 
そのどちらにも属さずに 
風は吹いていく 
この街に ....
 
 
わたしは
人になりたくて
生まれたのだろうか

なりたくて
生まれたわけではないのに
慰めてくれるのか
牛よ
 
 
 
 
休日の午後
自転車を走らせたら
荷台に乗せた息子が
妹って何、と
わたしに問うのだった

わたしは答えた
おかあさんが
まゆみちゃんの妹で
おとうさんの妹が
かおりちゃ ....
 
 
泡がうまれ
浮かんでいって
はじけて消える
泡が泡として存在した
一瞬のいのちが
空中へ放たれてゆく

窓のそと
にゅうどうぐも
夕立がくる
ひとり
またひとりと
 ....
目を瞑ると
葱畑が見える
むかし
実家の裏にあった
あの葱畑だ

あの頃のように
目を瞑ったまま
人差し指を立ててみる

赤トンボが止まっている
目をあけると
それ ....
 
 
庭にいたはずのニワトリが
二羽いない
はじめから一羽だったのか
あるいは一羽もいなかったのか

隣の家から
客が出ていくのが見える
名残惜しそうに
もう柿を食べることはない ....
 
 
こどもの服が
床に落ちている

拾うとわたしは
着たくなっている

こんなに小さな服に
おさまっていた
わたしが
 
 
 
 
ここを去っていく人は
わかっている

だから
もう言うな
最後まで他人だった君

零した涙に
海が写っている

砂浜に
さよならと書く
君も写っている
 
 
 
 
恋と詩と
あとひとつ
思い出せないのです
と言って
遠いところへ
いってしまった
あとひとつ
それはあなたの
声、かもしれなかった
 
 
 
 
ついに私は
私を演じきれなくて
舞台の幕を下ろしている
途中なのだった

ふと私は
我にかえり
路上で目覚めたのだ
役者のように
服を着て

それ以外に
何もなかっ ....
 
 
故郷の
桜の木が老いている
むかし酒屋だったところが
更地になっている
火の見櫓もなくなって
夕方になれば
知らないメロディが
柏の原に鳴り響く

昨日見た夢を
母に話 ....
 
 
詩を書くときは
人間を
あまり書かないほうがいい

どうしても
書かなければならない時は
人間の
うしろ姿を書くほうがいい

そしてその先にある
地平線にまだ
赤く燃 ....
 
 
紫陽花の花弁の数の命かな
 
 
 
 
1センチメンタルの感傷を
長さの単位に
置きかえていく

長さは日々伸びていき
縮むことはない
ただ、忘れてゆくのだ

見あげる夜空に輝く星まで
何センチメートル
ある ....
 
 
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた

わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから

おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
 ....
 
 
セーターを忘れたことを思い出す
戻るべきか残すべきか


その部屋がこの部屋になる君の部屋
あのセーターが君の部屋着に


レコードも本もおかしな置き物も
君の部屋に残し ....
 
 
都会の道ばたに
一人立ちつくす感じと
故郷の川べりに
一人立ちつくすあの感じは
とても良く似ている

人は道を泳ぎ
魚は水底で働くのだ

生きるために
どちらも正しくて ....
 
 
川であそぶ
私と私
私はどうして
二人なのか
水面に写る
ある日の私
水切りしたら
私が消えた
渡船の船尾から
私が私に手を振って
私も私に
手を振った
ある日の川 ....
 
 
コンビニに行くと
夜の人がいる

その人が
昼の人と違っても
私はかまわない
いつもそこに
いてくれるなら

ある晩
父親が亡くなって
その人ではない人が
私を待っ ....
 
 
空色が
損をした
生まれてはじめて
ソーダ水を知ったから

どこまでも青い
嘘のような
真実なのだった

外は雨

気が抜けるまで
止むだろうか
今にも浮かんで ....
 
 
休日の午後
息子と散歩した
飛行機を空に見つけて
あんなに飛んで
どこまで行くんだろう
と息子が言った
西の空を見ては
あそこに夕方みたいなのがあるよ
と僕に教えてくれた
 ....
 
 
ときのほとりで
さかなつりをした
たくさんつれたけれど
いっぴきもつれないひもあった
さかなはつまがりょうりした
おいしいとつたえた
たべないひもあったから
あいしてるとつけ ....
 
 
とても壊れやすい成分で
あなたは人になった

よりによって
ヨーグルトだった

カスピ海
と、発音さえできない

あなたの名前の
一部なのに
 
 
 
 
お葬式が終わるまで
隣の部屋で待っていた
テーブルの上に焼き魚があった
ラップがかけられていて
冷たくなっていた
誰かがお葬式に来れなくなって
余ってしまったんだろう
僕は早 ....
 
 
きらきらと
光が降りている
あれは神さまが
写真を撮っているのだ
という話を
君としたかもしれない
木漏れ日の下で
あの日僕らは
どんな生き物の姿で
 ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
息継ぎ自由詩410/6/22 6:09
家族島自由詩310/6/21 4:40
コンタクト自由詩010/6/20 3:31
くちなしの星自由詩3*10/6/18 4:06
過程自由詩410/6/17 1:23
風は吹いていく自由詩210/6/16 2:51
慈悲自由詩210/6/15 2:21
きょうだい自由詩510/6/14 3:50
炭酸水と夏の気配自由詩510/6/13 0:31
葱畑自由詩210/6/12 19:52
早口言葉自由詩110/6/11 8:48
自由詩5*10/6/10 3:03
砂浜自由詩010/6/10 2:38
恋と詩と自由詩4*10/6/10 2:04
劇場自由詩210/6/9 1:46
自由詩410/6/8 1:51
詩を書くときは自由詩3*10/6/6 23:02
紫陽花俳句110/6/6 1:45
Sentimental centimeter自由詩2*10/6/6 1:12
雑草自由詩17+10/6/5 14:45
私物短歌410/6/4 23:53
生きるために自由詩610/6/4 1:41
ある日の川自由詩410/6/4 1:11
コンビニ自由詩010/6/3 1:31
空色の損、ソーダ水自由詩2*10/6/1 23:03
親子自由詩710/6/1 3:52
時のほとり自由詩610/5/31 0:23
カスピ海ヨーグルト自由詩2*10/5/29 4:39
焼き魚自由詩310/5/27 4:47
木漏れ日カメラ自由詩14*10/5/26 3:09

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